元聖剣勇者と魔剣アズガレナ
今日、2話目です
「うぁぁぁぁぁぁ」
女の子の膝枕の経験がない俺は慌てて状態を起こす。余りにも慌ててたせいで、俺の様子を見るためか少し前屈みになっていた少女のおでこと俺のおでこが凄い勢いでぶつかる。
「痛ぁ」
思わず頭を押さえる。
「痛ぁ、じゃないわい。痛ぁじゃ。なんで、ちゃんと周りを確認してからゆっくり起き上がってこないのじゃ。ううぅ、頭かち割れるかと思ったぞい」
少しボサボサのショートの赤い髪でゴシックのドレスを着ている彼女の方は涙目になりながら、頭を押さえている。
「あぁ、ごめん。だから、その‥‥‥泣くな」
急いで彼女の頭を撫でる。
「泣いてなんかないわい!子供扱いするでない。お主より妾はだいぶ前から生きとるからな」
彼女によって、なでていた手はふりほどかれる
「生きてるっていつから?」
「約三千年前からかのう」
「三千!!!」
予想していた数より桁2つぐらい大きいんだけど。
あれ?ということは‥‥‥
「君が俺の契約者?」
「ふむ、ようやく気づいたようじゃな。そう、妾こそがあので「あーーーーーーーーーーーーー」」
近くに落ちていた俺が使っていた剣を見つけて思わず声を上げてしまった。拾い上げてみると、無茶な使い方をしたせいか刃こぼれは酷いけど、修理すれば使えそうだ。よかった。
「それで、なんて言おうとしたんだ?」
彼女の方を向くと、彼女は何かしらのポーズの途中で止まったまま、目にはうっすらと涙が。
「悪りぃ、その‥‥‥多分、君にとってのその見せ場を邪魔しちゃって」
「お主、わざとじゃないんじゃな。違うんじゃな」
「あぁ、違う」
「そうか、なら、気を取り直して。刮目せよ。妾こそがあの伝説と呼ばれた魔剣アズガレナ。いくつもの大戦で赤い悪魔と称されたかの有名な魔剣じゃ」
「‥‥‥はぁ。ていうか、魔剣なのか。えっ、喋っているのに?」
アズガレナと名乗る少女は決めポーズまでして高々と発表してたが、残念なことに俺の知識に魔剣アスガレナなんて存在はない。というか、聖剣は喋って人間のようになるのは常識だが、その特徴を持つ魔剣なんて聞いたことがない。
「うむ、妾が滑ったみたいなのは少々しゃくじゃが、そういえば今はそういう認識じゃったのう。さっき、お主から知った」
「えっ、俺から知ったってどういう」
「契約してお主が寝ている間にお主の記憶を見させてもらった。お主、なかなか面白い人生を歩んでいるようじゃな。まさか、聖剣使いだったとは」
なんか、知らない間に凄いことされてるんだけど。
「魔剣なのは本当じゃよ。こういう風じゃな」
アズガレナの身体が光ると、俺の手に怪物が持っていた真紅の魔剣がある。
「こんな感じでいいかの」
もう一度、光ると少女の姿に戻った。
「まぁ、妾の過去や聖剣や魔剣については後で暇な時にでも話しやるとして、おい、お主。なんか、体に異常はないか?」
「異常ですか。いや、バリバリあるな。なんで俺の右目見えなくなってるんだ。その、意識失う前に聞こえた代償ってやつなら仕方ないんだが」
さっきから右目を開けようとしても全く開く様子がない。
「あー、それはじゃな。非常に言いにくいことなんじゃが。その‥‥‥‥‥‥お主の過去を見てな、顔を変えた方がいいと思って変えようとしたんじゃ。成功はしたんじゃが‥‥‥‥‥‥右目が潰れてしまって‥‥‥‥‥‥でもの、妾的には‥‥‥貞操を奪われてもいいぐらいイケメンに仕上がったから‥‥‥その、許してほしいというかの」
バツの悪そうな顔と顔色でアズガレナが言う。
「そうか。なら、いいや」
俺がそう言うと、アズガレナはキョトンとしていた。
「いいのか?」
「いいですよ。貴方が俺のことを考えてやってくれたんでしょ。それなら、文句を言うのはお門違いだ。そうだなぁ」
俺はさっき拾った剣で見えなくなった右目の辺りを縦に切り裂く。
「お主、何をしている!!」
アズガレナが慌てる。
「いや、どうせ見えないならこれの方が歴戦の勇者っぽくて良いと思って。これに眼帯でもつければ、尚更」
「お主の美的センスはよくわからんし、そう思ってもするのか普通?」
若干、アズガレナは飽きれているようだ。
切ったところから血が滲み出してきたので、右手で拭き取ると手に青色の血が。
「えっ、なんだ、これ」
「そう、妾が言いたかったのはそれじゃ。妾と契約するとお主の身体が妾にあったように変わる。それで、お主を生きながらせてたわけじゃが。そこまで血を見るまで違和感に気付かないとなると失敗はなさそうで安心じゃな」
「あぁ、まぁ。ところで失敗したらどうなってたんだ俺」
「良くて、お前が戦った化け物。悪くて灰じゃな」
失敗したときの自分を想像してゾッとする。
「それは、まぁ、よかった。ところで、なんで青い血なんかに」
「簡単に言うと妾が血を使う魔剣じゃからな。まぁ、そのあたりの話もこの後していくから安心するのじゃぞ。それより、早くここから出んか?妾、この場所に三千年いるからもう外に出たいのじゃ。ほれ、あの転移魔法陣に乗って、とっととここからおさらばしゃ」
アズガレナが指差す先に緑に輝く丸い円が見える。
「安全ですか、それ」
「妾が契約を済ませた時に出てきたし、光ってるってことは多分、大丈夫じゃよ。ほれ、早くこんか」
「ちょっと待ってくれ。俺はここに置いていくものがあるんだ」
「はて、お主は置いていくようなものを持っておらんようしゃが」
「せっかく、生き返らせてもらって顔も変えてもらったんだ。バレるリスクはできる限り避けなくちゃと思ってな。だから、キースの名前はここに置いていく。ついでに口調もだな。アズガレナが言うぐらいイケメンならこの口調は合わなそうだからな。それで、何かいい名前はないか?」
「律儀なもんじゃのう。う〜ん、急に言われてものう。そうじゃ、リューズなんてどうじゃ。少々、妾には思い入れのある名前じゃ」
「わかった。じゃあ、今から俺はリューズって名乗るよ。それじゃあ、行こうか」
「本当に少し口調も変えておるな。まぁ、まだ会って少しだから違和感は少ないが」
俺がアスガレナに続いて光る緑の円に入ると、俺らの身体はその場から消えた。
アズガレナはロリ熟女を目指しています。
うまく書けたらいいな。
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明日も2話投稿できるかも。