元聖剣勇者と魔剣の怪物
基本的に平日1話投稿、休日、2話投稿を目指します。
えっ?今日は休日だって?
今日も明日も学校だよ、こんちくしょう(泣)
「魔剣を持った魔物ね。聞いたことないんだけどなぁ」
モンスターの中にはゴブリンやオーガ、ゾンビなどの二足歩行で武器を使う奴も存在はするが、そいつらが魔剣を持って暴れたなんて報告は1度もない。全てが人間によって、引き起こされている。
「しかも、魔剣を持っていても、所構わず攻撃をしていないし、あのモンスターが特別なのか、魔剣が特別なのか、魔剣だという俺の勘が外れなのか。1番最後だといいけど、多分外れだろうな」
魔剣は持った人を狂わせ、周りの人間や建物を片っ端から殺し、破壊して回る。どんな魔剣でも普通の冒険者の手には負えず、その周辺の聖剣を持った勇者パーティーが討伐することがほとんどだ。
俺がそのモンスターに数歩近づくと、今まで微動だにしていなかった怪物が持っている魔剣を振りかぶる。
「ようやく、臨戦態勢か。こっちも準備はできてる。安心しろ、逃げはしない。死ぬまでやりあおうぜ」
俺は持っている鋼の剣をその怪物に向ける。
この場所にあったのが魔剣な時点で毒によって俺は死は確実になった。
そして、もしかしたら、俺がこの部屋の扉を開けたことでこの魔剣の封印が解けてしまったのかもしれない。俺が読めなかったあの字がこの部屋は決して開けるべからず的な内容だったのなら、俺はこの化け物を世に解き放ったわけだ。そんなことは許されない。だから、倒す!
「元だけど聖剣使いの最後が魔剣退治なのは本望だよな」
今までにない最悪なコンディション、正直、魔剣に対してかなり格下の剣、それなのに1人。正直、悪い点をあげればたくさんある、でも、今回の俺は死ぬ気じゃない。死にに行く。相打ちでも構わない。俺の全てでこいつを倒す。
左右に身体を動かしフェイントをかけながら、怪物に近づきながら、俺は持っている剣で怪物の左脇腹目掛けて剣を下ろす。カキンと音を立てて、剣が弾かれる。剣でガードした形跡はないし、怪物はその場を微動だにしていない。多分、全身に膨大な魔力を通して、身体を出来る限り固くしているのだろう。
お返しとばかりに魔剣が俺の右肩目掛けてふられる。それを受けるために剣を自分の前に出す。完璧な位置。弾いて、次の攻撃に繋げようと思っていた矢先、剣が交わった途端、後ろに引き飛ばされる。そして、体勢が崩れたところを異常な速さで迫ってくる。なんとか無理やり身体を右にそれ回避したが、左腕に深い傷ができる。
「利き手じゃないだけマシか。それにしても、高防御、高威力、高速ってマジかよ」
すぐに攻撃の考えを捨てて、回避に専念する。
今まで戦ってきたモンスター達に比べても、能力が全体的に高い。
この怪物は本来は1人で戦うことなんてしないやつだ。あの攻撃を防げる奴がいて、あの身体を傷つけられるだけの武器や技量を持っている奴、あの速さを止められる魔法を打てる奴、仲間を負傷をカバーできるやつに、回復できるやつ。
そんな最上級のパーティーが討伐できる代物だ。そう、例えば、俺がいなくなった勇者パーティーみたいな‥‥‥。
そんな悔しいことがあるか。絶対、倒す。
それから、幾度となく打ち合った。いや、正確には初めて剣で打ち合ってから、1度も打ち合ってはいない。魔剣を俺は全て避け、俺の剣は全て弾かれている。
唯一の幸運は、この怪物が膨大な魔力を持っているにもかかわらず、広範囲の魔法どころか、一切、魔法を使ってこないこと。魔法を防ぐ方法が回避しかない俺にとっては、剣筋に集中できるのでありがたい。
怪物か魔剣かはわからないが、どうやら俺のことを狩るべき相手と認識してくれたらしく、始まった時よりもより早く、より鋭く斬りこんでくる。それにより、こちらの手数は減ってしまっているが、致命傷となる傷は避けている。
ガンズ、リシア、お前らはよく俺に「聖剣使いなのにこんなに怪我するな!避けろ!」と怒鳴ってきたが、俺が初めにパーティー組んだ時に頼んでいた通りに、お前らが出来る限り俺を相手の範囲魔法攻撃から守ってくれさえいれば、俺は物理攻撃だけだったら聖剣がなくたってここまで避けられるからな。
「うっ」
より怪物の攻撃が激しくなった時、不覚にも毒で目眩が起きてしまう。
もちろん、怪物がそんなあからさまな隙を逃すはずもなく、俺の左肩から左脇腹が斬られ、血が吹き出る。
動揺し、隙を見せた俺の左足を怪物の魔剣が突き刺す。これで俺にとっての最大の武器である機動力が消えたことを意味する。
だから、狙わした。
モンスターにしろ、人間にしろ、必ず急所というものが存在する。これは冒険者ギルドで1番初めに教わることだ。どんなに魔力を通して固くなったり、身体そのものが硬い存在でさえ必ず存在するその箇所は他のどんな場所より攻撃が通りやすい。
だが、みんなこれを狙おうとはしない。なぜなら、急所は同じ個体でも1匹ごとに違い、また剣ひと突きほどの大きさしかないため、世間では当たったらラッキーぐらいの感覚である。
でも、俺はその感覚を徹底的に鍛えた。そして、急所を見抜く技を自分なりに会得したからこそ、中級冒険者まで1人でいくことができたんだ。
そして、いま、見抜いた。
俺の左足を突き刺したことでガラ空きになっている怪物の右脇腹から左へ6センチ、上へ20センチのところを狙う。
ピンポイントで狙った場所に剣が届くと、今までの硬さが嘘のように簡単に怪物の中に剣が刺さる。
「グォゥグゴガァ」
言葉になってない怪物の咆哮がこだますると、俺を仕留めようと、魔剣を抜き、俺の首目掛けて魔剣を振り下ろそうとするがもう遅い。
ルージュ、お前は『なんで水系統の魔法しか使えないのに、それすらコントロールできないの?ただでさえ、少ない魔力しか持ってないのにそれを一発で全て使い切るって。あんた本当に勇者?』って言ってきたな。否定はしない。俺は魔法自体そもそも苦手だ。
でも、一撃の威力バカでもこういう使い方は出来る。
「〈ウォーターボム〉」
「グァギグガグ」
突き刺した剣の先から水の塊が破裂し、怪物の体内を破壊していく。とはいっても、『ウォーターボム』は水系統魔法の中でも威力は弱い方で、俺の少ない魔力が全て消費されたところでこいつを倒せるとは思ってない。
それでいい。内部が破壊されたことで、こいつの身体を覆っている魔力が乱れ、少なくなっている。今なら、切れる。
持っている力を全て込め、突き刺さっている剣を左に向かって抜こうとする。
だが、例え、魔力が乱れても、まだ、俺が切れる硬度じゃない。少し、進んだところで右手の指からゴリっという音共に骨が折れた。
こんなところで諦めてたまるか!!
俺はボロボロの左も使って、力の限り!
歯を食いしばりすぎて口の中も血でいっぱいでも気にしない。
「これで、終わりだぁ!!!」
剣が怪物の左肩から抜ける。
レイン、お前は俺のことを『聖剣に選ばれたのは何かの間違えなんじゃないか。お前はそんな男じゃない』とよく言っていたな。よく見ろ。1人で凶暴な魔剣を持った怪物を倒す俺。聖剣に選ばれる人間とふさわしいと思わないか。
まぁ、誰もいないこの場でかつてのパーティーメンバーのことを思っても、あいつらの俺への評価は変わらないと思うがな。
ほとんど、真っ二つに斬られた怪物の最後は何も発さずに塵となって消えた。
カランと音を立て、真紅の魔剣が落ちる。
戦いが終わったのを確認すると、鋼の剣が手から滑り落ち、俺は仰向けに倒れた。
下の☆
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