魔剣使いと借金狐
ルナとの約束の通り、明後日、俺たちは彼女が住んでいる村についた。
昨日、雨が降ったせいで、地味にぬかるんでいる。
ちなみにアズガレナたちが浪費した分はしっかりと昨日のうちに討伐の換金で補填した。
換金場のおっさんが「聞いてはいたけどあんたすげ〜なぁ」って言っていた。
魔法じゃ倒しにくいけど、物理だったら戦える相手ばかりが残っていたのでかなり儲けた。
「それで、どのくらい投資する予定なのじゃ」
「うーん、今の所持金が41金貨で、相場が10金貨から20金貨だから、普通に投資するだけなら15金貨ぐらい、仲間になるんだったら別にそこは気にしないかな。まぁ、仲間になってくれなくても、どこかの才能ありそうな魔法使いをアズガレナが捕まえて、彼女の理論を会得できれば十分戦力だから」
偽魔剣討伐の裏金的なボーナスと、意外に盗賊狩りがいい稼ぎだったので、金銭的には余裕がある。
「お主、さらっと妾をまた勧誘要員にしたな。まぁ、良いか。お主のあの体たらくだと捕まるものも捕まらん。それで、お主、ここに来て、1つ質問したいことがあるのじゃが」
「うん?なに?」
「昨日、お主にルナのことを話したじゃろ。なんで彼女は9歳の時に気づいた理論を12歳の今に発表したんじゃ?発表するなら早くていいし、隠すのならこの時期に発表する意義はないと思うのじゃが」
「あー、確かにね。俺もそれはわから‥‥‥‥‥‥ごめん、今、わかった」
指定された村から少し離れたところにある青い屋根が特徴の小さな家のドアを大柄の男たちが占領している。
金、なかったんだね。
「なるほど、金がなくて借金が返せないから仕方なく発表した感じかのう。妾に対する反応が凄く嬉しそうだったのも納得じゃな」
「あっ、逃げた」
家の小さな窓から逃げたルナだったが、すぐに見つかり追いかけっこが始まる。
獣人だからなのか、すばしっこく、なかなか捕まらない。
「転んだのじゃ」
だけど、濡れた地面に足を取られて、顔面から泥にダイブした。
その隙に男たちがルナを追い詰める。
「いく?」
「いくのじゃ」
若干、乗り気じゃないけど、俺は大柄の男に声をかける。
「その子、借金あるの?」
「なんだ、お前?」
男が俺のことを睨みつける。
おー、怖い。怖い。
「一応、彼女の取り引き相手なんだけど、借金ってどれくらい。ものによっては取り引きから手を引くことも考えているんだけど」
近くにいたルナが泥で分かりづらいけど、悲壮な顔をしている。
いや、当然ですよ。
「こいつの借金は金貨40枚だ」
うわぁ、なんか凄く運命ぽい。
俺の今の所持金が金貨41枚だから、ギリギリ払えるいいライン。
「じゃあ、わかった。これがその金貨40枚な」
持っていた袋から金貨を一枚抜き取ると、残りをその大柄の男に投げる。
予想以上の出費だけどこの運命を信じてみようと思う。
男は一瞬、驚きながらも袋の中の金貨の枚数を数える。
「確かに40枚だな」
「嘘は付かないよ。これで、その子に対する借金はないな」
「ああ、ないから安心してくれ」
仕事を終えた大柄の男たちは帰っていった。
「とりあえず、いろいろ説明してもらえるかな」
♢♢♢
「その、私、実は故郷を飛び出したんです」
神妙な感じがする。
ちなみにルナは泥だらけになった服や身体を綺麗にして、俺たちを家の中に入れてくれた。
「それで、此処に来て、親切なおじいさんにこの家を無料でもらったんですけど、生活するためのお金がなくて、生活費と研究費のために借金をして、それが今日、来てしまって。払えなくて、あんな感じに」
耳が完全に萎れてしまっている。
「そなたは魔法が何種類も使えるのじゃろ。それなら、稼げると思うのじゃが」
「あっ、私、魔法、使えないんです」
俺らの根幹が崩れた。
隣でアズガレナが驚きすぎて、すっころんでいる。
「あっ、違うんです。正確には今は使えなくて、魔法虚弱症で」
「ああ、なるほど」
「お主、なんじゃ、魔法虚弱症って」
「えーと、魔法を使えた人がトラウマなんかで魔法を出したくても出さなくなる症状のこと。冒険者だと自分の魔法が暴発したとか、強力なモンスターにあって、パーティーが壊滅したとかでなることが多い病気なのかな」
「それです、私の場合は故郷の村からの移動の時に襲われたのが原因で。なので、この2年はずっと魔法だけ作って一度も試せてないんです。あっ、治れば魔法は使えますよ」
色々と理解した。
「とりあえず、投資はあの40枚で」
「はい、ありがとうございました」
ルナが深く頭を下げて下げる。
「実は俺たちは魔法使いの仲間を探していて、実はルナに入ってほしいと思っていたんだけど今の状況じゃ、厳しいかな。まぁ、とりあえず、金貨40枚も投資したから、出来れば1つお願いしたいのだけど」
「はっ、はい。どうぞ」
「とりあえず、1か月、俺のパーティーに入ってくれない。1か月はこの近くに住むから」
「えっ、ど、どういうこと」
「ルナの魔法虚弱症を治してみようと思って。魔法虚弱症の1番の治し方はトラウマに慣れるだから。なら、俺らと一緒に森に戻って、モンスターに対する感覚を鳴らしていけば、魔法が使えるように戻るかなる。それで、一緒にいて、少しでも俺たちと仲良くなってくれれば、魔法が戻った時に、仲間として、一緒に冒険者をやってくれる可能性は高まる。もちろん、お金は払う。どうかな」
「そ、それなら、1か月、よろしくお願いします」
俺のパーティーにルナが一時的に加入した。
少し強引にいった感はある。
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