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魔剣使いと勧誘のアズガレナ


妾は少女との話し場所に近くにあったいい感じのカフェを選んだ。

昼食の時間を過ぎていたおかげで待つことなく席に案内された。


「どうぞなのじゃ」


「し、失礼します」


妾が席に座ると少女は妾の正面に座った。


「さて、何か頼むかの。そなたも頼むがよい。お代は妾が持つからの」


「は、はい」


うーん、まだ彼女に硬さが見えるのう。


「別に何を頼んでもいいのじゃぞ。あやつの金なんじゃから」


メニューにざっと目を通したのじゃが、財布を圧迫するような高価なものはなかった。


「いえ、そこまでは。でも、お腹は空いているのでご飯はいただきます。じゃあ、これで」


そういって彼女が選んだものはこのカフェのご飯の中でも安い値段のものだった。

あの馬鹿はこんないい子にあんな迫り方したのか。というか、あの馬鹿がちゃんと勧誘していれば妾、自ら勧誘することはなかったのじゃ。

考えれば考えるほど苛立ってくるのじゃ。


妾は店員を呼ぶと彼女の注文をした後、この店のスイーツを全種類頼んだ。

まあまあの出費じゃが、妾の機嫌直しとして我慢してもらう。


「いいんですか、そんなに頼んで」


「いいのじゃ。あの馬鹿にはいい薬じゃ。それじゃあ、あらためて自己紹介じゃな。妾はアズガレナ。そして、さっきの馬鹿がリューズ。妾たちは冒険者をしている」


「えっと、ルナです。一応、魔法を研究しています。見てのとおり、獣人です」


「ふむ、ところでお主、何歳じゃ」


「えっと、今年で12歳です」


「そっ、そうか」


三千年も生きているというのに、身長も発育も12歳に負ける妾。

もう少し成長させてくれてもよいのじゃないか。


「アズガレナさんは?」


「えっと、三千年?」


「アズガレナさんも冗談いうんですね」


ルナが少し微笑む。

嘘ではないんじゃが‥‥‥まぁ、ルナの緊張が少し溶けたのならよい。


「さて、それじゃあ、あの論文の話に移るのじゃがルナは若いのに目の付け所が良いな。妾もルナの魔法の捉え方のような考え方を持っておってな」


「そうなんですか。嬉しいです。私、発表した時からあまり好ましい反応受けなくて」


「それはこの時代のものが馬鹿なのじゃろ。お主のような逸材を逃すのはもったいない」


「そんな、好評価なんですか!」


「そうじゃ。だからこそ、初対面の対人関係の築き方が最悪の男が暴走したのじゃが、まあ、それは置いておくとして、お主の理論は今、言われている火、水などの属性魔法の区分がおかしいのではないかじゃったな」


「はい、私は最初に神によってその個人の魔法が決められるって言うのが信じられなくて、私、無神仏論者なので。それに、皆さんがいう魔素って同じものなのに使えない魔法があるなんておかしいと思いまして」


「それはその通りじゃな。普通はおかしいのじゃが、皆、決められた魔法しか使えないと思い込んでおる」


「これはさっきの発表では言わなかったのですけど、私は魔素という概念にも疑問を抱いていて。皆さんは魔素が身体を硬化させて、真剣に取り憑かれた人や私たちが身体を守っていると思っていますけど、なのに、魔法のような炎を放つモンスターは魔素で身体を硬化させることはないじゃないですか。なら、魔素って言われているものは魔法を使うために必要なものじゃないんじゃないかって思ってるんです」


「お主、なかなか凄いのう。魔素まで言及するとは」


「それを8歳の時に気付いて、9歳の時に私なりの論理を完成させたんです。それで」


「ちょっと待ってくれるか。お主、それを8歳では思いついたのか?それで、1年で完成?」


「はい、そうですけど」


リューズも身体能力的に化け物じゃが、目の前のルナも魔法関係したら化け物じゃな。

化け物通しは惹かれ合うのかのう。


「すまん、続けるのじゃ」


「それで、私は風と水魔法の適正しかないって言われてたんですけど、炎魔法も使えたので、自分の理論があっていることがわかって、今はどのカテゴリーにも属さない魔法の開発中です」


「なるほど、はじめに言っておくと、妾たちはそなたへの投資は行おうと思っておる。金額についてはあの馬鹿を含めて相談じゃな」


「はっ、はい。お願いします。えっと、明後日の昼ぐらいから時間は空いているので、出来るだけ早く。あっ、私、ここから少し離れた村に一人で住んでいるので、これが地図と住所です」


ルナが持っていた鞄を漁ると、中から一枚の紙を渡してきた。

紙には文字が書いてある。

これが住所なのじゃろ。


「ありがたく受け取っておくのじゃ。妾からはもう少し、妾たちの今後について話しておきたいのじゃが、それは明後日、リューズと一緒に伺うときにするのじゃ。あやつにもこの理論を説明しなきゃならんからの」


「はい、お待ちしています」


そこまで話し合えた時、妾たちが頼んだメニューが運ばれてくる。

デザートの皿が机を覆いつくす。


「これは少し頼みすぎたかのう」


「そうですね。これは凄いです。一緒に食べましょうか」


「うむ、お願いするのじゃ。それじゃあ、妾たちの関係を深めるため、魔法の話でも他愛のない話でもかまわぬ。何か話そうぞ」


その後、1時間ほどおしゃべりをして、2人は別れた。

その後、アズガレナから代金を聞いたリューズは頭を抱えた。


ブックマーク、評価、感想、お待ちしております。


今日、短パンで出かけた自分を殴りたい。

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