魔剣使いと初めての勧誘
10月8日
少女を猫獣人から狐獣人に変えました。
申し訳ない。詳細は後書きに書きます。
「ほんと、あの男の発表、無駄な時間だったのじゃ」
論文発表会の会場を出たアスガレナがため息をつく。
あの少女の後の男の発表が三十分にも及ぶ超大作だったことがかなり尾を引いている。アスガレナにとっては早く行きたいのに無駄な発表が長々と続いていたので、だいぶ苛立っていた。
まぁ、彼の熱弁のおかげで、一定数の冒険者がその場を立ってくれたから、スムーズに抜け出せた。
「それにしても、どうするのじゃ。完璧に見逃しておるぞ。見つけるのは骨が折れるのじゃ」
「あっ、それなら大丈夫。さっき、あの子の気配は覚えたから。もう見つけてる」
投資に来る人を待っていたのか、少女はあまり遠くには離れていなかった。お陰で俺の気配察知範囲から外れていなかった。
「お主、時々、さらっと凄いこと言うのう。じゃが、よくやった。すぐに追いつこうぞ」
少し急ぎ足で歩くと目的の少女はすぐに見つかった。
耳も尻尾も垂れていて、トボトボと歩いている。わかりやすく落ち込んでいる。
「よし、お主、行ってこい」
「いや、ちょっと待って。無理。なんて、話しかければいいのかわからない。ここは、彼女が暴漢なんかに襲われたり、絡まれるのを待って」
「なに、周りくどいことを考えておるのじゃ。ほら、とっとと行くのじゃ」
アスガレナが俺の背中を思いっきり押す。
流石は魔剣なのか、その幼い容姿からは想像もできない力によって、バランスを崩した俺は少女の背中にぶつかった。
「キャア」
悲鳴を上げて、少女が倒れる。
「すみません。ちょっと押されちゃって」
転んだ少女に手を差し伸べる。
「いえ、私もちゃんと周りを見ていなかったのが悪いので」
少女が手を取って、立ち上がる。
黄色の耳と尻尾を持つ狐の獣人の少女は近くで見ると、アスガレナよりも同じくらいの身長しかなかった。
こんな小さい子にぶつかったのか。
さて、勧誘しないと‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
何から、始めればいいんだ、これ。
「‥‥‥‥‥‥ご、ごめんね‥‥‥そ、それじゃあ、気をつけて」
「は、はい。そちらこそ」
逃げるように少女と別れ、アスガレナのもとに戻る。
「な、何やっとるんじゃ、お主!!勧誘も論文の感想も全くなし。あんなのただの挨拶じゃないか!!」
「いや、俺には無理だって。何から話し始めればいいのさ」
「感想でも言って、話がしたいって言えばいいじゃろ。それなら、彼女だってわかってくれるはじゃ。彼女もお主と同じような引っ込み思案タイプなのじゃから、お主が主導権をとるのじゃ」
「ど、どういう風に言えばいいのかな」
「知らん。お主の周りのいたやつの真似でもしておけ。ほら、先回りしてもう一度、行くぞ」
少し、裏道を使って、少女を先回りし、今度は前からその少女が迫ってくる。
「よし、行くのじゃぞ」
「ちょっと待って。一回だけスルーさせて。心の緊張がやばい」
「とっとと行くのじゃ!!」
同じようにアスガレナに突き飛ばされ、体勢を崩し、少女にぶつかりそうになる。
方向を変えればまるでデジャブだ。
「危ない、どいて」
「は、はい」
今度は声かけしたおかげで、少女は右に避け、俺に当たることなく俺が地面に膝を強打した。
「だ、大丈夫ですか」
「は、はい」
少女が手を差し出してくれる。
本当にデジャブだ。
「あっ、やっぱり、さっきの方ですよね」
まぁ、眼帯をした特徴的な顔を十分で忘れるのは無いよな。
「そ、そうですね」
「凄い偶然ですね、フフ」
俺は追いかけたから偶然ではないけど。
「そうですね、ハハ」
「‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥」
またも沈黙が訪れる。
「そ、それじゃ、また」
少女が挨拶をして離れようとする。
「あっ、ちょっと待ってください」
「は、はい。なんでしょうか」
ここで、また何も聞かずに離れたらアスガレナに何を言われるかわからない。
俺が知ってる女の子を誘う人を真似して。
気張れ、俺。
「君、かわいいね」
「うぇ!!」
「本当に可愛いと思う。ねぇ、そこらへんでお茶しない。色々と話したいこともあるし」
「あっ、あっ、あの」
少し、反応が悪い気がする。
アスガレナは俺と同じ初対面の人に緊張するタイプって言ってたし、もっと押し込んでもいいかな。
えっと、俺の記憶の中で1番、押し込んでいた誘い方は‥‥‥‥‥‥
「おい、俺がせっかく誘ってやってるんだぜ。なら、行こうぜ」
「えっ、えっ、えっ、あの、どうし」
「何やっとるんじゃ、お主!!!」
死角から飛び出してきたアスガレナが後ろから強烈な蹴りを俺の大事な急所にヒットさせる。
ゴラム、お前、こんな痛みを味わったんだな。
あまりの痛みに前から崩れ落ちた。
「お主、何やっとるんじゃ!!最初のナンパ男は百歩譲って許したとしても、次にやったのはゴラムか!!お主が助けに行ったゴラムの真似をしたのか!!見るのじゃ、完全に怯えておるではないか。お主、馬鹿なのか。いや、馬鹿じゃな」
そういいながら、アスガレナは俺の背中を一定の感覚で蹴る。
かなり痛いので辞めてほしいけど声が出ない。
「はぁ、もう妾がやるのじゃ。そこの彼女」
「は、はい。私ですか?」
「そう、そなたじゃ。このたびはこいつが失礼したのじゃ。不快な思いをさせてしまったのじゃ」
「い、いえ。大丈夫ですけど」
「そうか、実は妾はそなたが発表した論文を気に入ってな、話をしたいと思っておるのじゃが‥‥‥どうじゃ、そこの喫茶店で軽い食事でもしながら。代金はこちらで持つし、こいつも一旦置いていくのじゃが」
「は、はい。論文の話だったのでしたら、喜んで。あと、別にその人も一緒でもいいですけど」
「いや、こやつは反省としてここにおいていくのじゃ。お主、財布はもらって行くぞ」
アスガレナは俺の懐から財布を強奪していった。抵抗なんてできない。
「さて、行くか」
「は、はい」
2人は離れていった。
俺はそれをうずくまって見送ることしかできなかった。
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さて、理由ですが、どうしても猫獣人だと語尾を『ニャ』にしなければ気持ち悪く感じてしまい、でも、『ニャ』にすると予定してる性格的に気持ち悪いし‥‥‥なら、動物変えるか。
ていう感じです。
見切り発車で申し訳ないです。




