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魔剣使いと論文発表


魔法論文発表会。

それは1か月ごとに行われる発表会。

魔法を研究する学者が自分の研究を発表する場。

その場で発表される魔法や魔法具が素晴らしいと判定されると本格的にまとめられ、公開されたり、後で、その場で鑑賞していた冒険者などから個別に投資してきたりする。


「それで、なんでここに来たんじゃ」


アスガレナは鑑賞している席の背もたれに寄りかかっている。若干、眠そうだ。


ちなみに席は日付ギリギリなのもあって、発表場所からは遠い席だけど、しっかりとギルドが確保してくれた。遠い方がアスガレナが目立ちにくくていいから、俺としては嬉しい。

このチケットのお代もギルドが持ってくれた。

そんな法外な金額ではないけれど、ギルドが俺を甘やかしてくれる。

最大限、受け取ろうと思う。


「街にも魔法使いはたくさんいるけど、この場所ならより上位の魔法使いがたくさん来ると思ってね。冒険者になり始めて浅い魔法使いは新しい論文の技術なんて求めないから」


「なるほど。理にかなってはいるとは思うが、お主、さっきのちょっとした休憩時間の時、他の冒険者が挨拶をしたり、自己紹介しているなか、ずっとこの場から動かず、誰とも話さなかったのはなぜじゃ。誰かを勧誘するなら話しておくべきじゃろ」


「いやだって、初対面の人と話すの怖いし、断られたくないし」


カートたちはカート達から話しかけてきたから、初対面でもある程度話せたけど、なんの関係性もない人といきなり話すのって何話すの。


2人の間に静寂が流れる。


「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥お主、まさかとは思うが、待ちの姿勢なのか‥‥‥」


「うん。そのつもりだけど。だから、不謹慎だけど、この場で何か起きないかなっていうか思ってる。俺のアピールになるから」


何回か前にモンスターの捕獲に使えるという魔法具を発表した人の魔法が壊れて、モンスターが暴れ出したことがあった。

魔法使いは強い前衛を求めているので、そういうことが起きれば俺のもとに来る人も。


「なるほど、お主が1人だったのがよくわかったのじゃ。はぁ、これは大変じゃな」


アスガレナが頭をわかりやすく抱えた。


「まぁ、後は有用そうな魔法具が出るか見ておきたいのもあるけど」


今は老人の魔法使いが自身が作った炎魔法の威力を1度だけあげる魔法具を紹介している。


「これらがかぁ?さっきから見ておるが、ろくなもんないぞ。それがなんか良い判定されておるし。こんなもんゴミじゃろ」


「そんなに?」


「そんなにじゃよ。妾たちのような魔剣を作ったり、魔法だったら、妾たちをあの遺跡から脱出されたあれも魔法だしな。レベルは確実に下がっておるな。どうしてこんなになっておるのか不思議じゃ。ほれ、また良い判定が出た」


さっきまでのおじいちゃんはホクホク顔で、その場を離れる。それに呼応する様に何人かの冒険者がその場を離れた。多分、投資にいくのだろ。

彼の代わりに狐耳の獣人の少女が出てきた。

背丈はアスガレナと同じくらい。


この論文発表会は年齢制限とかはないんだけど、こういう少女は現れない。


発表内容は魔法に対する新アプローチ。

どうやら、魔法とは本来、炎や水、雷などに支配されないものであり、魔法は子供時代の適正によっては決まらないことを自分の体験談を持って話しているらしい。

本当だったら、すごい発見だ。


アスガレナの目が輝く。


「ほう、いるのじゃな。こういう考えができるやつが」


「そうなのか?」


「お主には分からんと思うが、これは三千年の考えと非常に酷似しておるし、どうやら自分だけの魔法の開発も行っておるようじゃ。この時代なら多分、格別の逸材じゃろ。ああいうのが、仲間だといいのじゃが。こんな凄いこと発表してしまったのじゃし、引く手数多になってしまうじゃろう」


「あっ、それなら大丈夫だと思うよ」


「なんじゃと」


彼女の発表が終わり、判定が下される。

判定はアウト。

彼女の論文は認められず、彼女はトボトボとこの場を後にした。それに呼応する冒険者もいない。


代わりに次の発表者が入ってくる。


「おい、お主。どういうことじゃ。なぜ、彼女はダメなのじゃ。あの判定員は頭が終わっておるのが。それとも、こんな高度なことは分からぬのか」


アスガレナが俺の肩を思いっきり揺らす。

少し頭がぐらぐらするのでやめてほしい。


「彼女自体が問題なんだよ」


「どういうことじゃ。彼女は何か犯罪でも犯したのか?」


「彼女は女性の子供で、あの発表内容、まずこの時点でツーアウト。子供の戯言だと思われて、まともに話を聞いてもらえない。あと、獣人っていうのも最悪だな。獣人は魔法が不得意な種族として知られているから。だから、この結果かな」


「なんじゃ、その差別は。才能はどこに転がっておるか、分からないじゃろ」


「その通りなんだけどね。さて、目立たないように次の発表が終わったら、投資すると見せかけて外に出て、彼女を探そうか」


「もういいのか?」


「アスガレナが逸材っていうなら間違いないでしょ。なら、彼女を仲間に加えられるなら、これこの場所にいる意味もないし。なら、早くしたほうがいいでしょ」


「その通りじゃな」


俺たちは論文発表会を切り上げることを決めた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 1日で読みましたw 面白いです話がしっかりしててサクッと読めます [気になる点] 誤字脱字が気なってしまいました (誤字脱字報告何件かさせてもらいました) [一言] これからも頑張ってくだ…
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