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魔剣使いと初買取



「すみません。買取お願いします」


冒険者ギルドに登録した日の午後、その日の討伐を終えて、買取部位をギルドに提出する。この場所で買取をしてもらうと、ランクアップのポイントと買取分の金額をもらえる。


「はいよ、うん?見ねぇ、顔だな。兄ちゃん、ここは初めてかい」


買取部署には立派な髭が特徴の30代後半の男がいた。筋肉もあるし、多分、冒険者引退からのルートだろう。


「はい、今日登録したばかりなので」


「へー、新人さんか。そういえば今日、登録して、いきなりゴラムの奴とバトった奴がいるって聞いたが」


「それは彼女ですね」


隣にいるアズガレナを見る。


「おう、このガキがか?へぇ、ちっちゃいのによくやるね」


アズガレナから不機嫌な空気を感じる。多分、ガキ、小さい、辺りへの反応だろう。


「気を付けろよ。そのガキとはいえ、保護者のお前に飛び火する可能性は高いぞ。冒険者は人付き合いだとは言わねーが、目をつけられると面倒なやつがいるからな」


「御忠告感謝します」


まぁ、飛び火するとは思う。


「ほれ、それじゃあ、ギルドカードと今日の分の部位を出しな」


ギルドカードと今日の分の討伐部位、2袋をテーブルの上に置く。


「兄ちゃん、お前、頑張りすぎか、運がいいな。今日、登録してこれぐらい持ってこれるなんてな。待ってろ、すぐに精算するからな」


男は袋の中から次々と討伐部位を出し、確認していく。


「きっちり、討伐部位だけ入れてくれているから、確認が楽だな。いい、冒険者の師匠でもいたか。これが、あれで‥‥‥‥‥‥うん?」


男の顔が次第に険しくなる。

そして、2つ目の袋を見た途端、男の顔はさらに険しくなった。


「おい、今日、このリューズってやつを登録した受付嬢は誰だ!!呼んでこい!!」


男が後ろにあった扉を開けて、ギルドスタッフたちに怒鳴った。



「私です、エリクさん」


少しして、朝、俺のギルドカードを登録してくれた女の人が後ろの扉から入ってくる。


「ニーナの嬢ちゃんか。なら、不正はないよな」


「どうしたんですか、エリクさん。何か問題でも。あっ、お久しぶりです、リューズさん」


「どうも」


軽く会釈をする。


「まぁ、言うより見たほうが早いな。これを見ろ。こいつの今日の討伐部位だ」


「多いですね‥‥‥えっ、ボーリックウルフの牙に、ウラフアルマジロの皮、それにクラッチスライムの核までどれもE、Fランクのモンスターですが、これって!!」


「あぁ、どれも凶暴性が非常に高かったり、討伐が面倒だったりして、ギルドが討伐クエストを発注しているものばかりだ」


「どういうことでしょうか。まさか、素材を買ってのポイント上げ?」


「いや、それはない。俺は素材を見ることに関しては自信を持ってる。少し、核に入っている傷や残っている液体などはこれが討伐して得たものだという確信をもたらしてくれる‥‥‥はぁ、久しぶりに規格外かぁ。すまんがニーナ、今から、ある素材言うから、該当するクエスト、確認してくれるか」


「はい、わかりました」


ニーナさんは急いで、その場所から出て行った。


「悪いな、慌ただしくなって。ちょっと、お前の討伐部位が新人としては凄くてこっちが混乱中だ」


まぁ、わかっていた。

一文無しの俺らは出来るだけ今日は多く稼がないといけない。俺たちには宿も食事も何も買う金がない。

流石にDランクのモンスターを倒すと怪しまれそうなので、片っ端からE、Fランクに指定されているモンスターを倒していったんだが、多く残っているのはさっき言ったように、討伐が面倒なモンスターだ。

まぁ、俺らには関係ないのでサクッといかせてもらった。

まぁ、今、特例のSランクだったり、A、Bランクにいる人たちはほとんどおかしなことをしている人たちばかりだし、このぐらいは大丈夫だろ。俺もそのランクにはいく予定だし。


「いい師匠でもいたか。できれば教えて欲しいんだが」


「あぁ、いますけど、師匠が俺が師匠なことは広めるなって。面倒くさいらしいんですよ」


「そうか、悪かったな聞いて。でも、師匠がいるなら納得かな。いい師匠に出会えたことはお前の幸運だな」


「ですね」


まぁ、いないけど。

俺の剣は全て独学だし。

まぁ、リューズの剣はキースの剣だから、実質、キースを師匠とすれば嘘はついてない。

弟子、弟子か‥‥‥


「エリクさん、終わりました」


「おう、ありがとうな。すまんな。出来るだけ素早く済ますからまっててくれ」




「おう、終わったぞ。ニーナの嬢ちゃんもここにいるし、本来は受付でやることだが、今日はこっちでいいな」


「構いません」


「それでは、確認させていただきます。部位合わせて112個。そして、完了クエスト、6件です。ギルドカード、返却致しますね。それで、おめでとうございます。これにより、Fランクに昇格になります。凄いですね、1日で見習い卒業ですからね。この支部では初めてですよ!」


「それで、これが報酬の合計で10銀貨だ。凄いな兄ちゃん、胸張っていいぞ」


10銀貨なら、1番安い宿なら20日、そこそこいい宿なら12日泊まれる。

うん、いい稼ぎだ。


「ありがとうございます」


「それで、面倒なモンスターをたくさん討伐してくれたお礼としてこの支部として何か用意して欲しいものがあれば、用意しますけど、何かありますか。例えば、パーティーメンバーとか」


「パーティーメンバーは不要です」


「そうですよね。今の貴方のランクだと貴方に不釣り合いな人としかなれませんから」


「それじゃあ、討伐した物を入れる袋と物を入れるリュック。あと、安いやつでいいのでポーションなんかをいただけたら。あっ、多いなら。別に最初の袋だけでも」


「そのくらいなら大丈夫ですよ。明日、私のところに来てくだされば、お渡しします。それと、私、ニーナが貴方の専属の受付となります。ギルドカードのポイントの更新は私にお声がけください。あと、他の地域へ移動される際も一言お願いします。その地域のギルドへの仲介や移動手段などをお手伝いしますので」


「俺がエリクだ。討伐部位の査定の時は是非、俺のところへ来てくれ。まぁ、俺はニーナの嬢ちゃんみたいに専属じゃないがな。よろしく頼む」


「よろしくお願いします」


「それでは明日、お待ちしております」


一文無し無しから、十分なお金。

それに専属の受付嬢もついたし、ギルドの中で顔も広がった。キースの時は専属の受付嬢付くのもっと遅かったし。


キースの時にもあったことあるけど、やっぱりあの2人は仕事が早いな。はじめにこのギルドを選んで、ニーナさんのところで登録しておいてよかった。


さて、隣で大人しくしてくれたアズガレナにおいしい物作ってあげるか。

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