現役最強の魔法少女VS伝説の魔法少女
ウルータ将軍は叩き上げの軍人だ。研鑽を積んだ猛将だ。だが今回は相手が悪かった。
「さすがは生え抜きの勇士だ。武名を轟かせているだけのことはある。なかなか楽しかったぞ。ウルータ」
「ハァ…ハァ…」
疲弊しきったウルータは気力をふりしぼって斬り込もうとする。だが握っていた剣をグリルノートの大剣に打ち落とされてしまった。
「!?」
「さらばだ」
グリルノートは大剣を振り下ろして、ウルータを屠ろうとする。ウルータが死を覚悟したその時…
「そうはさせねえ!」
駆けつけたナックスが強化した腕で大剣を止めた。
「!?おぬしは…」
軽んじていた者に助命されたので、ウルータは感無量になる。
「ナックス…!」
目当ての敵が参じたので、グリルノートは胸が弾む。
「ここからは俺が相手だ!」
「決闘に相応の場所を見つけてある。ついてこい」
珍しく笑みを見せると、グリルノートは目的地に向かって歩き出す。
「え?お、おう…」
戸惑ったが、とりあえず彼についていくナックスだった。
◇
街中では夏希と紗季が激戦を繰り広げている。
「『エアツイスト』!」
紗季が夏希に手を向けると、ねじれた空気が夏希を襲う。
「おっと!」
夏希は洗練された動きでそれをかわした。
「『ねじれ』の能力か。性根がねじれてるアンタにピッタリの能力ね」
『ねじれ』の能力は触れたものを何でもねじれさせる。殺傷力が高くて、えげつない能力だ。
「ほらほらぁ!どんどんいきますよぉ!」
ねじれた空気が襲いまくるが、夏希は華麗によける。
「荒削りだけどセンスがいいわね。頭角を現してるだけのことはある」
「他人の批評なんてしてる場合ですかぁ!?」
襲ってくるねじれた空気をよけながら、夏希は反撃する。
「『プラズマジャベリン』!」
飛んでくる電気の槍をよけながら紗季は攻撃する。
「『エアツイスト』!」
夏希がねじれた空気をよけると、紗季は錠剤を取り出して飲みこむ。
「?」
夏希がその行為を不思議がっていると、紗季は説明する。
「あーこれ?数日前に魔法少女組合が開発した魔力を回復する薬です。うらやましいでしょ」
この薬品は技術の粋を結集して開発した代物だ。夏希は興味深そうにニヤリと笑う。
「へえ、いいもの持ってるじゃない」
「あげませんよー」
またねじれた空気で攻撃してきたので、夏希は軽やかによける。すると紗季は手の平を地面に密着させる。
「『ソイルツイスト』」
「!?」
今度はねじれた地面が夏希を襲う。意表を突かれた彼女はギリギリでかわす。
「『エアツイスト』!」
「うっ!?」
体勢を崩したところで、ねじれた空気が命中した夏希は勢いよく吹き飛んだ。
「何が伝説。もうアンタの時代は終ったんや。くたばれ夏希!」
紗季は倒れた夏希に決定打を与えようとする。だがそれは無理だ。
「!?」
突如、夏希の姿が消えた。
「どこに行った!?」
「ここよ」
いつの間にか夏希は紗季の背後に立っていた。
「このっ!」
紗季がキックを放った時にはもう夏希はいなくなっていた。
「瞬間移動?いや、超スピードか!」
紗季が対応に困っていると、夏希は彼女の背中を蹴飛ばす。
「うっ!?」
「ご明察ね。これがアタシの奥の手『電瞬駆』よ。疲れる技だから、あまり使いたくなかったけど」
これは電気を通して手足に指令を送り高速移動する技だ。この技は天賦の才が必須なので、会得している雷使いはごくわずかだ。夏希はまた紗季を蹴飛ばす。
「うっ!?」
倒れた紗季は立ち上がるが、速すぎる夏希にまた蹴飛ばされる。
「うっ!?」
立ち上がった紗季は超スピードに翻弄されてまた蹴飛ばされる。
「あうっ!?」
とんでもない高速移動を前に紗季は為す術がない。
「なんて速力や。速すぎるやろ…!」
「格の違いが理解できて?現役最強の魔法少女さん」
夏希は紗季の顔面を鷲掴みして後頭部を地面に衝突させる。
「んあっ!?」
「アンタは才能にあぐらをかいてる半人前よ。基礎訓練からやり直しな」
(これが白鳥夏希…これが伝説の魔法少女…!)
厳しい現実を痛感した紗季は失意しながら気絶した。
「悪いけど失敬するから」
夏希は紗季の服から魔力回復の薬を拝借する。そして、それを飲んだ。
「これで魔力が回復するはず」
「紗季に勝ったんですね!さすがです夏希さん!」
ボロボロになった春奈が感激しながら駆け寄る。
「アンタも勝ったようね春奈。えらいわ」
春奈は紗季の手下二人と対決して、辛勝したのだ。夏希は春奈の頭をなでながら賞した。
「えへへ~夏希さんにほめられるなんて多幸多福~」
春奈が満面の笑みで喜んでいると、勝利を見届けたセラリスがやってくる。
「夏希さん、春奈ちゃん、お疲れさまです」
一安心したセラリスは苦難を乗り越えた彼女達を労った。




