続・追いかけました。
泣き声をする方に行くと何が待っているのやら
泣き声をする方に進む。
「泣き声が聞こえてるのはあっちかな?」
「河童、本当にあってるのか?というか、猫又着いてきたのか?」
「当たり前だ。泣いている者を放っておけるか!」
段々と泣き声が大きく聞こえて近くなのがわかる。
「あっ!見つけました。あそこです」
「うぇ~ん。」
河童が見つけた。そこにいたのは猫系の妖怪の子供だった。
カラス天狗が聞く。
「どうした。迷子なのか?」
「う…うん」
「迷子の迷子の子猫ちゃん、あなたのお家はどこですか?」
「わからない」
「名前は?」
「…ウ…」
「えっ、何?」
「…マソウ…」
「そうか、マソウっていうのか。じゃ親がこの辺……」
「なぁ」
「なんだ。猫又?」
「猫系の子供にしては体が大きくないか?」
「成長期なんだろう?」
河童も子猫に声をかける。子猫はぼそっと言う。
「君は、お父さんとお母さんと一緒にきたのかな」
「…マズ…」
「何?」
「…ソウ……」
「えっ!?」
カラス天狗が河童に言う。
「何やっている。マソウの親を探しに行くぞ。」
「あっ!う、うん?」
子猫のいた所からだいぶ探して回っている中。
「マソウの親どこですか。いませんか」
「カラス天狗。その子、お前になついているな。まるで大事な物を無くさないように掴まって」
「どうにかしてくれよ猫又。歩きにくくてしょうがない」
「あのお二方。話があるのですが」
「何だ?」
「何かな?」
「実は先ほど…」
河童が話始めた時、子猫も話始めた。
「お腹すいた。食べたい」
「えっ!お腹すいたって。待って何かあったかな」
「お腹すいた!」
「ちょっと待ってて」
慌てるカラス天狗。
「食べたい!」
「だから、ちょっと待ってて!」
声を大きく返答したら泣き始めた子猫。
「うぇ~ん!」
子猫の泣き声が響く中、茂みの方から何か近づいてくる気配がする。
茂みの中から出てきたのは巨大な虎みたいな妖怪だった。
「誰だ!わしの子供を誘拐して泣かしている奴は!」
「父ちゃん!」
虎みたいな妖怪に近づく子猫。もとい子虎。
「よくも泣かしてくれたな」
襲いかかってくる虎。逃げ出す三匹。
「ち、違う。誘拐なんてしてないし!泣かしてないし!」
必死なカラス天狗。
「猫科猫属じゃなくて猫科豹属だったか、どうりで大きい訳だ。それにしても話を聞かずに襲ってくるなんて酷い奴だ」
「お前が言うなよ。猫又」
「なぜだ?」
「さっき、お前がオレ達にしてただろうが!」
「あっ?!」
「マソウ君も何か言ってくれ」
「マソウって誰だ?」
「えっ!あなたの子供の名前はマソウじゃないの?」
「わしの子供の名前はマソウじゃない、何を言っている」
「父ちゃん。あれウマソウ。食べたい。」
そして確信した河童。
「あっ、やっぱり。私のことをマズソウと言っていたので、名前じゃなくて、天狗さんのことをウマソウと言っているのかと考えていたんですが合ってたようですね」
「そうすると今まで懐いていたんじゃなくて、オレを食べるために逃がさないように掴んでいたと?」
「はい、その通りです」
「それ、早く言って!」
「いや、言おうとしたんですが…」
虎がしゃべる。
「安心しろ、わしは好き嫌いが無いからどっちも食べてやるぞ」
「嫌ぁー!…猫又。お前、実は獅子の妖怪でしたって事無いの?オレを襲った時のように得意の体術で倒せないの?」
「普通の猫の妖怪だし。同じ体格ならいいが、あんなデカイ奴を倒せない!」
「そうか。…こうなったら、いっせいに三方向に別れて逃げるしかないな」
「それでいこう」
「そうしましょう」
「じゃ、行くぞ。せーの!」
虎が戸惑うのかと思えばカラス天狗に追いかけてくる。
「ええー!なんでオレの方を追いかけくるんだよ」
「子供が食べたがっているのだから当たり前だろうが」
「そういえばそうだった!どうしたらいいか…」
上を向いて空を見て考える。
「…あっ!そういえば。オレ、空飛べるんだった」
羽を広げ飛んで逃げる。大声を出す虎。
「空を飛ぶなんて、卑怯な。降りてこい!」
「いやなこった、じゃあね。…それにしても、また河童とはぐれてしまった。確か逃げた方向あっちだったよな。次こそ捕まえるぞ!」
という訳で次回へ。
捕まえた後のこと考えてないです。