探し始めました。
河童探し始めました。
上司の命令で、村外れの河童を探さなければならなくなったカラス天狗。すぐ見つかればいいのだが。
「さあて、どこから探すかだが。河童の村の周辺を探してみるか…」
探し始めてあちこち見てみる。
「まずい。思ったより見つからない。今日中には無理か」
探す範囲を少し広げ捜索、しばらくして日が沈み出した。
「もう暗くなるから、上司に報告に戻るか」
捜索を切り上げて戻った。
そして上司に報告しに戻ってきたら上司が。
「ご苦労。戻ってきたか」
「いや、暗くなってきたんで帰ってきました」
「あ!?見つかってないのか?」
「え!?見つかってないですよ」
「お前、俺何て言ったか覚えているか?」
「えーと。見つけるまで戻って来るな…って、まさか本当に?」
「本当だ。今日はもういいが、帰って荷物をまとめて明日の朝一番から探してこい!今度連れて来なかったら…どうしよっかな?」
「はい!失礼します!」
上司の凄みのある顔から逃げるため、すぐに家に帰るのであった。
そして、朝一番から捜索を開始。
「まさか、昨日の言葉が本気だったとは。あの雰囲気だと本当に連れて帰らないとまずいよな…あぁ。とりあえず探すか、河童の特性からして水が近くにあった方が良いと思うから川を沿って行ってみるか」
川沿いを見ていると誰かが倒れているのを見つけた。近づいてみてみる。
「倒れてるんだよな。天国に行っちゃってないよね」
「スヤスヤ。スヤスヤ」
「ふー、よかった。寝ているだけか…って、村外れの河童じゃないか!」
「スヤスヤ。スヤスヤ」
「やったー!意外に早く見つかった。さあ、とっとと連れて帰るか。おーい起きろ」
声をかけたら目を開け始め河童がつぶやいた。
「あぁ…、なんなんですか?」
「オレは天狗のー」
「テングダケは毒キノコじゃないですか。食べれないのはいらないです。では、お休みなさい」
「おい。お前、寝ぼけてるな!起きろー!」
叩いて起こそうとしたら。
どこからか声がした。
「待て!」
「だ、誰だ」
「貴様のような奴に名乗る名前はない。この悪党が」
「何言っているんだ。オレのどこが…あっ!」
物影から出てきたのは妖狐。
妖狐は、中国や日本に伝わる狐の妖怪である。人間をたぶらかしたり、人間の姿に化けたりすると考えられている。化け狐などとも呼ばれる。
ここらへんでは妖術に関する事が他の妖怪より知識があり上手い者達なんだが、二枚目風の真面目なのが一匹、目の前に現れた。
言葉をかけられ自分の姿を改めて見てみると、相手の襟首をもって腕を上げていて、相手は正確には寝ているのだが他から見たらぐったりしている様に見える。これって、暴行しているように見える状況だと気づき妖狐の方による。
「たまたま、ここ通りすぎようとした所。目に入ったんだが、明らかに弱者を痛ぶっている様子」
「待て、勘違いしているぞ。そうじゃないから話を聞け」
「ほう、勘違いか。この状況で話す内容とはどんな内容か聞いてやろうではないか」
妖狐と話してる最中に河童が目を覚ました。
「ふあぁ~。よく寝た。何か騒がしいですね」
妖狐と言い争っている所を見る。
「何か揉め事ですかね。巻き込まれないよう此処から移動してましょう」
「だから!オレは何もしてないんだって。どうすればわかってくれるかな。あっ!河童を見てみればいいってキズなんて無いから、ホラ」
河童の方を指の方を差して振り向けば、河童がいなくなっているのに気づく。
「あー?!いなくなってる。何処に行った。運良く見つけたのに…」
回りを探してみるが見当たらず。
「また、探さなくちゃダメか」
「どうやら、行ったようだな。君から暴力受けて怖かったんだろう」
「だから、何にもしてないって。よし、こうなったら、一緒についてこい。河童を見つけて無罪を証明するから」
こうして妖狐をつれて探索が続くのであった。
無事に会えるといいね?