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奇異染手  作者: 河童執事
1/12

何でこうなった?


それは、ある天狗の物語

ここは北の大地。


鳥妖怪達を束ねる天空の大魔王、鵬魔の王の統べる領地。


「カァァ~!助けてー」


今、天空にそびえ立つ城で戦闘が行われているなか、逃げまどう河童とカラス天狗の二匹の姿があった。


「河童、てめえが絡むとろくな目に会わねえな」


「何を言っているんですか、頭についている札のことを忘れてませんか?」


「あぁ、そうだったな」


今から少し時間が遡った時の出来事。


「足手まといにはなりませんよぉ~!」


この天空城に仲間が捕らわれており助けに来たのだが、城の正規兵の他に城主に操られている様々な鳥の妖怪達がいて次から次と襲いかかってくる。それを逃げてはかわして、札を使った妖術で応戦している妖怪がいた。


「少してでも多く私の方に敵を引きつけて倒しておかなければ…」


河童の妖怪。名は沙悟浄さごじょうである。沙悟浄は空を自由に動ける雲に乗り戦場を掻き回しながら敵の大群を自分に引きつけていた。


「それにしても、こんなに敵がいるとは。たくさんの札や道具を用意して作戦も考えてきましたが…いえ、弱気になってはいけません。覚悟を決めたのだから、やるのです」


気を取り直し改めて敵の大群を見てみると、一匹見なれた妖怪が混じっているのに気がついた。気のせいかと思い見直したが間違いなさそうだった。


「えっ!なんであの方が混じっているんですか?」


それは、生まれ故郷で何かと縁があったカラス天狗であった。


「正規兵では無いから操られているのでしょうけど、せめて近づけられたら試しに作った術を解除する札゛解除札゛を使えるんですが。でも、この解除札は効果があるか使った時が無いから効くかどうかわからないんですよね。それに今回の戦いで使う時があるとは思っていなかったので一枚だけですし」


考えているせいか速度がお落ちていたようで鳥妖怪達が追いついてきた。


「今度こそ捕まえるぞ。素直に倒されろや!」


「いやです。私にはやらなければならないことがあるんですから。皿手裏剣!」


皿手裏剣とは皿のような円形の光の物が手裏剣のように四方八方飛び、眩しいだけで相手に殺傷力が無い技。


「からの火薬札です!」


目眩ましにより動きが止まった敵達の風上に回り火薬札を散らばせまいた。火薬札が体に貼り付いた敵から次々と大爆発をしたのだ。が、その大爆発の中にカラス天狗も混ざっていて墜落していく。


「あ!やってしまいました。いや、逆に良い機会かもしれません。」


沙悟浄は急加速で、落ちていくカラス天狗を助け物陰に隠れた。


「気絶しているうちに解除札を貼って、そして効果があるか起こします。」


気絶しているカラス天狗の顔叩いて起こしてみた。


「カァァー!痛ー」


「よかった。意識はあるようですね」


「痛いじゃないか!何するんだ」


「うわー!襲いかかってました。札の効果が効かなかったかみたいです」


「逃げるな。沙悟浄!」


「えっ!?私のことがわかるんですか?」


「ん?お前、沙悟浄だろ」


沙悟浄を見て動きを止めているカラス天狗に沙悟浄がカラス天狗に頭についてる札を剥がす。するとカラス天狗の様子が変わり。


「クアァー!お前をぶっ飛ばしてやる!」


剥がした札を、もう一度張ると札の効果が出てカラス天狗の様子が変わり。


「カァー。何してやがる?」


「いえ、札の効果をですね」


また、カラス天狗から札を剥がす。


「クアァー!」


そして、また張る。


「カァ?」


札を剥がす。


「クアァー!」


張る。


「カァ?」


剥がす。


「クアァー!」


張る。


「カァ?」


剥がす。


「クアァー!」


張る。


「カァ?」


そして剥がそうとすると。


「オレで遊ぶな!」


「ごめんなさい。どのくらい効果があるか気になってしまったら、つい」


「ま、いいか。ところでここは何処なんだ?なんで俺はここにいるんだ?」


「あ、それは。かくかくしかじか…」


沙悟浄が今の状況を説明する。


「えっ!?それって今まずい状況なんじゃ」


「はい、そうです」


そして、どこからか敵の声が聞こえてくる。


「おい!みんな見つけたぞ。ここにいるぞ!」


敵達がいっせいに追いかけてきた。大急ぎで逃げだす二匹。そして最初につながる。


「ちくしょう。お前に関わらなければ、本来ならば故郷で゛王印おうしるし超歌市場ちょううたいちば゛で、タムラうさりん(ウサギの妖怪)、ミズキにゃにゃ(ネコの妖怪)、ホリエゆいぬ(イヌの妖怪)などを見ていたはずなのに…。」


故郷で、かわいい歌手の生演奏を見れなかった悔しさが混み上がったカラス天狗。


「大丈夫です。また、ありますよ」


「そうだね!歌手達側は、またあるけど。オレが今、またあるかどうか危機的状況なんだけど。あぁ、どうしよう…(ん?待てよ。追いかけている奴らって沙悟浄を追いかけているんだよな。ということは沙悟浄から離れればいいんじゃない?)」


「どうしました?」


「河童。二手に別れたらいいと思うんだ。敵達の数を分散させて戦う数を減らした方が戦いやすいじゃないかなって」


「そうですか。でも、そっちは一人で大丈夫ですか?」


「オレの方は大丈夫だよ。気にせずに戦って、仲間を助けに行ってくれ」


「ありがとうございます。では、無事を祈ります」


そして二匹は絶好の瞬間を見計らって別れた。別れてから距離が離れたところで沙悟浄の方


(ハァ…ハァ…)


(もう少し…)


「大分引き連れて来たようですね?では、この辺で良いかもしれません!」


一方、カラス天狗は…。


「えー!なんでこっちに来るの?」


「弱そう奴と一緒にいたから仲間なんだろ。なら敵じゃないか。敵なら、ぶっ倒さないと」


敵達が全員が沙悟浄の方に行くと思ったら一部の敵達が自分の方に来て慌てていた。


「まずいぞ。ぶっ倒されてたまるか」


「待ちやがれ!」


「うわー、こないでー…ドン!」


後ろの敵を注目しながら逃げていた時逃げる方向に方に何かがあたった。


「痛っー!危ねぇじゃないか。邪魔するな」


「あっ?何?ぶつかってきたのは、そっちでしょ。」


「げっ!?暴力女!」


「お前、確か河童ちゃんの知り合いだったわね。河童ちゃんが何処にいるか知らない?」


そこには、鉄扇てっせんという女性妖怪がいた。この妖怪は前に揉め事があってあまり良い印象が無いんだが。


「そこをどけ!そいつはオレらの獲物だ」


「うるさいわね。雑魚は邪魔」


一瞬にして鉄扇の技で追いかけてきた敵が一掃された。


「で、どこなの?」


「どうして、ここにいると思う?」


「風の噂でここにいると聞いたのよ」


「噂でって、どう考えても後を追いかけて…」


言い終わるか終わらないかの瞬間オレの喉元に、鉄扇が鉄の扇の端を突き付けてきた。


「知らないなら、さっきの奴らのようになるけど」


「知ってます!言います!しゃべります!あっちにいます。」


沙悟浄がいる方向を指して答える。


「そう…。待っててね。河童ちゃん」


「あぁ、怖かった。やっぱり、河童と絡むとろくなことがない。こんな所とは、とっとと離れよう…」


戦場から離れていった。


「オレが、何でこんな目にあっているんだろう。本当なら悠々自適に暮らしていたのにー」


それもこれもあの日のあの時あんなことさえ起きなければ。

沙悟浄にさえ出会わなければ!!

オレはきっかけとなった、あの日のことを思い起こしていた。




























なんでだろう。

そんな続きなのです

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