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超能力の守護者  作者: プラナリア
12/30

第十二話 過去と覚悟

 午後十一時十分前。新菜は自室のベッドに座っていた。

「よっし。行きますか」

 新菜は風呂あがりの寝間着から外着に着替え、ポケットから輪ゴムのようなものを取り出す。

「まずはこれを――」

 弘美に教えられた手順を思い出しつつ、新菜はそれをドアノブに引っ掛ける。二重に縛って、ドアノブとドアの小さな隙間に押しこむ。

 これは弘美が普段から仕事用に持ち歩いている、侵入者を検知する道具だ。ドアノブを誰かが回せば、端末に信号が伝わる。信号伝達自体は端末と同じ仕組みになっており、動作が単純な分、一度力を注げば一晩は効果を発揮するという。

 新菜はベッドに戻り、ダンボールを置く。ダンボールはしっかり組まれているが、一片がパタパタ開け閉め出来るようになっている。その上に敷布団をかぶせれば、布団の一部が盛り上がる。

 これで、傍目には誰かが布団をかぶって寝ているように見えなくもない。

 これらは、深夜外出がばれないようにするためのものだ。

 誰かが部屋に入れば、端末に連絡が来る。

 新菜はそれを受けるなり、ハイパースペースを通って部屋に戻る。

 あとは現実世界のダンボールの下に直接這い出て、一片を開けて身体を出し、あたかも寝ていたようにゆっくり起き上がれば、ずっと寝ていたフリができるという寸法だ。

「端末は持った。とりあえず他の持ち物も大丈夫。さて、行きますか」

 今一度ポケットの中身を触って確認し、新菜は南――紬のマンションがある方向を向いて左腕に巻いたバンドを凝視する。ギリリ、と力を込めた時、新菜の周りを一陣の風が吹き抜けた。

 ――広いけど殺風景ね。

 一面に白い床と白い天井が見える空間に出た新菜は走りだした。

 途端に、セレナの姿が見える。気配も感じる。無事にマンションに到着できたようだ。

「時間ピッタリ。勤勉さは素晴らしい」

「ありがと。初日は大体気負いが過ぎるのよね、人って」

 新菜の言葉に、セレナは渋い顔を隠さなかった。

 元の世界に戻り、新菜はマンションのダイニングでセレナから説明を受ける。

「まず、開始信号として――」

 昨日の警報音の意味について説明するセレナ。

 基本的に単音と長音、無音と開始音でと構成され、ひとかたまりを終えたら再び開始音がなり、ループする。これを三分間繰り返し、警報は自動で止まる。

「まずは最初、場所を示す音。長音と単音の組み合わせは……」

 セレナは新菜が話を聞きながらシャーペンとメモ帳を構えたのに気づき、話を止める。

「あ、もう準備はできたわよ?」

「何の?」

「メモの」

 新菜がいつでも書き始められるように構えていると、セレナがメモ帳を取り上げる。

「メモは取らないで。何処かから漏れると困る」

「いや、誰にも渡さないわよ流石に」

「そんなのはわかってる。盗まれると困る」

 セレナは頑としてメモを返さず、訥々と語り始める。

 相手が警報の情報を手にすれば、それは大きな情報となる。どこで何をすればバレるのか、逆にバレないのはどのような状況か。警報を用意する以上はそこに何かしらの情報があると考えられる。重要そうな場所に警報が仕掛けられていない事もバレる。これらは具体的にどこを如何に攻めればいいかを考える上での大きなヒントとなる。

「そもそも、こんなメモ帳が盗まれるかしら?」

「当然。秘石自体がすでに盗まれそうになっている。相手が何をしてくるか見通しが立たない以上、こちらからもしっぽが出ないようにしなきゃいけない。あなたには緊張感が欠けている。自前でメモを持ち歩かなくても――」

 セレナはダイニングの脇の棚から、コピー紙を一枚取り出す。

「警報機に貼りだしておけばいい。できれば覚えてほしいけど」

「わかったわ」

 新菜はコピー紙を受け取り、シャーペンをサインペンに持ち替える。

 ――緊張感が足りない、か。

 確かに、セレナのほうが今がどんな状況なのかを理解出来ているようだ。一つ盗むも二つ盗むも同じ、というわけでもないだろうが、目的のために手段を選ばなかった結果、秘石の前に新菜のメモを盗む形になる可能性はあるといえばあった。新菜が不覚を取った時、自分が何も言わずとも重要な情報を相手に奪われる可能性がある。それを避けるための忠告だという事は、新菜も説明されて理解した。

 セレナはいくつかの場所と、それに対応する信号音、そしてその場所への方角、人数についての音の仕組みを新菜に教えていく。新菜はそれを紙に書き留めながら覚えようと努力する。

「これで完成かしら」

「そう。警報装置の下に貼り出しておく。必要なら見て確認して」

 セレナはセロテープで居間にある電話の下に紙を貼る。

「それが警報装置なの?」

「電話回線を使うから。普段は電話としても使うけど」

 セレナは新菜の方に戻ってくる。

「何故あなたには危機意識が足りない? 手助けだと考えてる?」

「危機意識、って言うより、知識というか考え方の問題な気がするけど……一応手助けだと思ってるわよ?」

「それでは困る。真剣にやってもらいたい」

「手助けだからこそ真剣にやるんじゃない」

 セレナのヒヤリとした視線をかわし、新菜は断言した。

「手助けがそういうものだとは思えない。あなたにとって手助けとは何?」

「何って言われても手助けとしか言いようが無いけど……多分、昔あった事を手本にしてるから、何かと答えるならその話のまんまになるかな」

 新菜はなんとも表現しがたい概念の代わりに、かつての経験をセレナに語りだした。

 

 ***

 

 それは新菜が幼稚園の年長に上がった頃、八年ほど前の事だ。

 公園で、小学生と口論になった。

 遊び場をどちらが使うかという、それなりに喧嘩になりやすい物だったが、この頃から新菜は我の強い子どもで、相手も歳の差をかさにかけていたため、こじれにこじれた。

 最終的に、新菜と小学生数人の殴り合いの喧嘩になりかけた。一人囲まれても新菜は引かなかったが、それで場が収まる様子はなかった。

 そこに、一人の少女が割って入った。

 年の頃は新菜と同じくらいの、赤い髪の子だった。

「よわいくせにみんなでよわいものいじめなんてサイテー」

 少女の言葉はこれ以上ないほど小学生たちに突き刺さり、一触即発だった状況は一気に殴り合いに発展した。

 しかし、少女は一人で小学生たちを相手にした。

 可能だった理由は簡単で、武術の腕があったからだ。

 手にトンファーを持っていたその子は、バッタバッタと相手を叩き倒していった。

 新菜はその姿を鮮烈に覚えている。

 まるでまばゆい光のように、赤い髪と短いスカート、そしてトンファーがきらめいて彼女の脳裏に残り続けている。

 新菜が空手を始めた動機も、出来る限り手助けをしたいと思った動機も、この少女とその手に握られたトンファーから来ている。

 空手の道場に通い始めたのは、その直後だった。

 時々、新菜は少女の事を思い出し、結果として手助けをしている自分が、その少女の後姿を追えているのかと思ったりする。

 新菜は、手助けとはこの時の少女のような行いだと思っている。

 

 ***

 

「ま、聞いてもおもしろみのない話よね。結局具体的にどんなものなのかも自分でわかってないし。付きあわせてごめん」

 新菜は自分も面白みを感じていなさそうに話をまとめた。

「……構わない。確かに真剣味の理由はわかった。強くなって、弱い者を虐げようとする事を咎められるようになったおかげで、私たちも助かっている。そこは考えを改める」

 対してセレナは、力の入った目で新菜を見る。

「でも、あなたにはやっぱり緊張感が不足している。注意すべき事を注意すべきと理解するにはそれがないといけない。気負いすぎるほど気負うに越したことはない」

 新菜はセレナとの間に如何ともし難いしこりを感じた。

「結局、どうすればいいの?」

「それは――」

 セレナが口を開いた時、部屋に警報が鳴り響く。

 すぐに目を閉じるセレナ。

 新菜は注意深く音を聞き、内容を解読する。

 場所はマンションの近く。

 相手は三人。

「すぐ近くじゃない! 急がないと!」

 新菜はセレナが未だ目をつぶっているのに気づかず、バンドに力を込め、ハイパースペースへと侵入した。

 

 殺風景な白い空間に立った新菜は、あたりを見渡す。人影はセレナしか無い。

「そういえば紬は? バンドは外してたの?」

「いないのだから当然の帰結。そういうところに意識が行かないのが、緊張感の欠如だと言っていたつもり」

 セレナの言葉をイマイチ理解しづらく思いながらも、新菜は音が示した南の方角へ走り出す。

「すぐ動くのはいいけれど、しっかり考えているのかが不安になる」

 セレナは直接的に新菜へ苦言を呈しつつ、後に続いた。

 三人の男が、中腰から立ち上がり新菜たちを見て驚く。どうやら警報の存在を知らなかったらしく、様子をうかがっている最中に不意打ちされたようだ。

 そこへセレナの銃弾が降り注ぐ。

 慌ててバラバラになる三人の男。そのうち一番背の高い者に、新菜が走り寄る。

「そっちは一人で潰して」

「一対一ならやれると思うわ!」

 セレナと言葉をかわし、男の構える苦無を弾く新菜。

「っとぉ! 武器は大事だ。落とす訳にはいかない」

 男は苦無を持った右手を小さく振りつつ、新菜から距離を取る。

「俺ぁ偵察専門なんだがなぁ!」

 構えなおす新菜に飛びかかる男。

 新菜は飛び上がるように蹴り上げ、男を迎撃する。

「わっつぅ!」

「セレナ! 超能力って使っていいの?」

 空中で姿勢を崩す男を着地して追いかけつつ、新菜はセレナに確認する。

「問題ない。バイタルがあればケガもないのはどんな手段で攻撃を受けようが変わらない」

「了解!」

 返答の合間に男を殴って打ち上げた新菜は、自分もジャンプして追撃を加える。

 ――身体がどうこうじゃなくて、単純に動きが普段と違うわ。

 物理的に有り得ない動きをしながら、新菜は冷静に普段と違う動きをこなしていく。

 ダウンする男を踏みつけ、トンファーを振りぬいた新菜は、距離の離れる相手に向かっておもいっきり「力」をぶつけた。

「弾けろっ!」

 力を言葉にも込め、思い切り叫ぶ。

 言葉通り空間が弾け、背の高い男の気配が一気に弱くなり、潰える。

 ――これ以上やると危ないわ。

 新菜は男の倒れた場所に走り寄り、本当に気配が消えているのと気を失っているのを確認し、セレナの方を向いた。

 セレナが、ロケットランチャーを構えていた。

 距離を詰め切れなかった残りの二人に向かって、スイッチを入れる。

 戦車をも破壊する砲弾が二人の足元を穿ち、耳をつんざく爆音と強烈な爆風が二人をまとめて宙へと放り上げる。

「ん、あ?」

「動かないで」

 その衝撃に目を覚ました背の高い男にトンファーを突き付けつつ、新菜は気配の変化から勝負がついたと判断した。

 三人を二人で抱え、新菜は超能力を緩め、現実へ戻ろうとした。

「待って」

 それをセレナが制する。

「何?」

「あたりに人がいる」

 はっとする新菜。言われてみれば、自分たちは紬のマンションから近くの相手を迎撃に出てきていたのだ。当然自分たちがいるハイパースペースは今、外と対応する場所にある。

「そもそも、誰の目があるともわからない場所で急に湧いて出ようとすること自体迂闊。せめて、雑木林の中に移動するぐらいは考えてほしい」

「あ、ごめん……」

「よくわかった。あなたは緊張感が足りないんじゃない。視点が狭い」

 呻く新菜。自らがあまりに危うい事をしかけたので、セレナの言葉が嫌なくらい突き刺さっている。

「どうするのが正解か考えて」

 セレナは一人下を向いたまま止まってしまった新菜に促す。

「……紬の部屋に戻るのが最適だと思う」

「正解」

 セレナは小さく頷き、二人は白い空間を歩き始めた。

 ――気負いすぎるほど気負うに越した事はないって、気負いすぎて気疲れしてでも、こういう時にきっちり考えられるようじゃなきゃダメ、って事よね。

 数歩の間に、新菜は自分の中で戦闘前にセレナに言われた事を噛み砕いていった。

 新菜は引っ掛かりを感じる。

 昨日の昼と同じく、目的地に付いた証だ。

 新菜は超能力を緩め、現実に帰還する。

 フローリングの床に三人の男を並べ、ひとりひとりに目を光らせる新菜。

 セレナがまた縄を持ってきて、手際よく縛る。

 尋問は、結局警報の作動に超能力を刺激されて起き出してきた紬が受け持った。端末と同じく、警報装置は作動する時に超能力者に嫌な感覚を覚えさせる。それはいわば目覚ましとしての役割も果たす。彼女は数日後に控えた中学進学を前に、普通のライフスタイルを組み立てている最中だった。昨日の一件で業務が忙しくなった今だからこそ、仕事を外れている時にはライフスタイルをしっかりするように弘美から言われての事だ。そんな彼女が叩き起こされ、居間に出てきた時には既に新菜やセレナの姿はなかった。新菜がいの一番にかけ出したせいである。

「つまり、指示を受けたと」

「ああ。様子を探るだけならと思ったんだが」

 この三人と、昨日のニット帽他とは同じグループを組んでいるらしい。

「ともかく、あなた達の情報はわたしが握っている事をお忘れなくお願いします」

 昨日と同じく金で自分の側に引き入れてから、紬は忠告した。

「怖いね。ま、これ以上何かしてそこの姉ちゃんに殺されたくはないからな。おとなしく逃げるさ」

 紬は相手の三人の名前を聞き出し、書き留めた。多くの超能力者は各守護者の元にデータがあり、情報の照会が可能だ。腰を据えて調査すれば、彼らの言が正しいか判断は付けられると紬は言う。

 男たちをマンションから放り出し、紬は自分の部屋へ戻る。

「ではわたしは寝ます。以後、よろしくお願いします」

 新菜は紬を見送り、隣のセレナを見る。

 右手に包丁を持っている。これは銃の代わりだ。相手が超能力を使えない状況で縛られていた以上は物々しく脅しつける必要もなく、紬が尋問の内容をしっかり聞いている中で隣にいなければならないかといえばそれもない。彼女の言うところの気負い、緊張感の現れとも思えた。

「ねえ。セレナは何でそんな緊張を保ってられるの? めちゃくちゃ大変そうだけど」

「緊張感を切らすと、失態に繋がる。少し理由があって、私たちソレーヌ家は失敗を許されない」

「そう……大変なのね」

「秘石のせいでもある」

 新菜は驚く。

「それって、紬のせいってこと?」

「違う。ソレーヌ家は、秘石の問題を紬たち天道家に押し付けてしまう事になった」

 セレナは時間があるから、と自分の出自を語り始めた。

 

 ***

 

 ソレーヌ家は、本家を西欧某国に置く名門だった。しかし、今は天道家のような大家ではない。百年以上前の失態が原因で没落したのだ。

 当時のソレーヌ家は、秘物の中でも一際破壊力の大きな物を任されるほどの大家だった。

 しかし、その中でも特級の秘物を組織的に狙われる事態となった。動乱の世の流れの影響もあり、ソレーヌ家は自衛出来る限界を迎え、大きく動いた。

 本家の特に大きな立場の人間が直接動き、防衛線を展開。その結果、秘物を守り通すことに成功した。

 が、次は無い、と周囲の超能力者たちは見た。多くの大家も同じように捉え、また、実際に秘物を守ったソレーヌ家自身がその問題を一番理解していたので、ソレーヌ家は慣例に従い守護者の任を辞し、同時に大家として超能力者の世話をする役割も放棄する事になった。

 昨日紬たちが語っていた、秘物にまつわる権限や盗難によって発生しうる問題とそれを回避するための権力放棄である。

 ソレーヌ家が預かっていた秘物は世界各地の大家に譲渡され、ソレーヌ家自体も信頼回復のため、世界各地に家の者を派遣し、率先して従者に付いた。セレナの父母もそのために別々の国におり、セレナもまた幼くして天道本家の敷居をまたいだ。

 今、セレナは紬の従者として全力で働いている。

 それは紬に対しての思い入れもあるが、もう一つ理由があった。

 紬が守護者をしている秘石は、もともとソレーヌ家の守護していた秘物の一つである。

 自分の祖先たちがかつて守っていた物を、紬とともに守る事が出来るのは幸運でもあり、そのために自分の実力を発揮する事は、家の権威を取り戻すためにも意味がある。

 セレナには、手を抜ける理由がないのだ。

 

 ***


「あなたも、本気で真剣に人助けをするのなら、力の入れどころを間違えないで欲しい。それだけで、あなたの存在は更に強い味方になる」

 セレナの目は、どこか遠くを見ていた。

「……ホントに大変なのね」

 新菜もまた、一人下を見ている。

 紬が秘石を守れなかったなら、同じ道をたどるかもしれない。

 彼女の背負った責の重さを、ひしひしと感じていた。

「同情は行為で見せてくれればいい」

「わかった。やれるだけやってみる」

 セレナは視線を下げ、新菜は視線を上げ、両者の視線が交わる。

「するべき事は監視と戦闘だけ。もう教える事はない」

「じゃあ、少し気合を入れ直すわ」

 宣言通り、新菜は静かに呼吸を整え始めた。

 深く息を吸い、呼吸と精神の動きを同調させ、良いものを吸い、悪いものを吐く。

 身体に入った無駄な力を抜き、力の流れを整える。

 視線は一点に置き、ブレから現在の集中の状態を推し量る。

 空手で習った呼吸を基本に、本で見聞きした事なども混ぜ込んだ、新菜無手勝手流の呼吸を中心においた精神統一の儀式だった。

 ――何だか、超能力をぶつける時と似てるなぁ。

 さっきの背の高い男への一撃を思い出した新菜は、呼吸と視線のズレが消えたのを確認し、元の呼吸に戻る。

「今のは何?」

 新菜の一連の儀式が終わったのを見たセレナが尋ねる。

「呼吸を整えてたの。集中力が増すわ」

「そう。少し、超能力のコントロールと似ていた」

 セレナは新菜の方へ座り直した。

「へぇ。そういえば、バンドをしなくても超能力をコントロールできる方法、まだ教えてもらってないけど……」

 セレナは首を横に振る。

「それは必要ないと思う。今、あなたのパワーは安定していた。超能力のコントロールでそれ以上に重要なものはない。強いて言えば、いつもその状態を保つよう心がけて」

「パワー?」

 端末の説明書に記述があったのを思い出す新菜。どうやら、その時考えたのと違い、パワーとは超能力そのものでは無いらしい。

「超能力を発揮するための根源がバイタルだとすれば、パワーはそこに投下する燃料。つまり、これが安定していれば暴走はない」

「あんまり自覚ないけど、そのパワーっていうのは意識したほうが良いのかな」

「出来るに越した事はない。上手くなれば、それだけ応用も効く」

 新菜はそのパワーとやらを想像しつつ、首を縦に振った。

1/29記載:筆者のPC故障の影響で、更新が遅れておりますことを謝罪いたします。環境の調整等の問題があるため、まことに勝手ながら次回更新日を変更させていただきたく思います。

変更前:1月27日(金)予定

変更後:2月3日(金)予定

更新遅滞、およびその連絡が遅れたことをお詫びいたします。

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