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7モフ目

お読みいただきありがとうございます

 朝。起きて尻尾を見てみれば。

「はぁ」

 見事な十円ハゲ。


状態異常:毛根の死滅


 ははっ。結局白衣君に教えてもらったトリートメントは効果なかったわけだ。

ぽーん

 噂をすればかな。

『おはようございます。トリートメント効果ありましたか?』

『見事に禿げたよ』

『それは、ご愁傷様です。昨日落ちる前にうちの師匠に毛皮丸さんのことを話したんですよ』

 なん……だと……。

『醜態をさらせと!笑いものにされろと!』

『いえ、師匠曰く、発毛薬の臨床試験するならただで薬をやる、とのことです』

 発毛薬!そんなものもあるのか。

 世の中のお父さんの気持ちがわかった気がするな。

『すぐに行く!』

『そういうと思って毛皮丸さんの宿の前です』

 なんというイケメン。

「行くぞ淡雪!40秒で支度しな!」

「きゅい!?」

 ゆっくり毛づくろいしていた淡雪だけれど、僕の言葉で一気に全身を舐め終える。

「ラピュ……じゃなかった、発毛薬は本当にあるんだ!」


 外の出ると、白衣君と初老の男性が待っていた。

「おはよう、毛皮丸くん」

「おはよう。隣の人が?」

「うん。薬剤師の師匠」

「もったいぶることでもないからな。さくっといくぞい」

「お願いします」

 拒否してもどうにもならないので、瓶に入った薬品の中身を振りかけてもらう。

 わずかなエフェクトの光を確認して尻尾を見れば。

「伸びすぎじゃね?」

 禿げていたところだけ毛が伸びて筆のようになっていた。

「ま、まあ、切ればいいですし」

「うむ。尻尾専用というわけにもいかぬし、第一、尻尾の毛が短い種族だけではないからな」

 まあ、それはしょうがないか。

 うん。状態異常が治っただけでよしとしよう。

「これで用事は終わったな。人体実験の被験、感謝する」

 うわあ、ぶっちゃけたよ。

「では、な」

 二人を見送って改めて尻尾を確認する。

 うん。金髪用発毛薬じゃなくてよかった。

「よし、レベルアップに行こうか、淡雪」

「きゅいっ」


「せいっ!」

 森に入って何度目かの戦闘。

 肩で息をし始め、倒したモンスターの数はもう覚えていない。

 おいしい獲物でもないかとちょっと奥に来ればこのざまだよ。

 まあ、推奨攻略レベルに対して僕の方が下なのか、経験値の実入りはいいけど。

「手刀!」

 【徒手空拳】の技をようやく使ってみる。

 鉈より切れ味は悪いが、それでも切れる。極めれば、どこぞの大魔王様のようにオリハルコンの剣と打ち合えるようになるんだろうか。

「迦具土炎槍」

 火の符を引き抜いて使うそろそろおなじみの術。

 熟練度が上がってきたおかげか、このあたりのモンスターなら大抵一撃で終わるようになってきた。

 ≪おめでとうございます。プレイヤーがレベルアップしました。任意のステータスに2ポイント割り振ってください。≫

 おっと、上がったか。


プレイヤー:毛皮丸 Lv:4 up


 HP:71 up

 MP:38 up



 STR:13

 VIT:10

 DEX:16

 AGI:14 up

 INT:12

 MIN:10


 あと一つ上げれば同時召喚ができるようになって、森の先へ。

 でもなあ、たとえ正規ルートとはいえ、ほかの人と同じように動くのも面白くないよなぁ。


スキル:テイム:2 [3/3]

    召喚:1

    徒手空拳:1

    鉈:1

    陰陽:1

    筆記:3

    写本:2

    写経:1

    読書:1

    鑑定:1

    識別:2

    解体:1

    ブラッシング:2

    愛撫:1

    高笑い:1

    爆笑:1

    引き笑い:1

    皮革加工:1

    付加:1


 あれ?

 ここに来て重大なミスをしていることに気が付いた。

【採取】有効化してないじゃん!

 そういや、薬草の採取とかやってなかったなぁ

 この際だ。有効化できるものはみんなやってしまえ。

 とりあえずは、っと。


薬草 


傷の治りを多少はやめる。


 あたりを見回して【鑑定】で探せばすぐに見つかる。

 ≪スキル:採取 が有効化されました。≫

 よし。

「淡雪、走るぞ!」

「きゅい」

 十分程走ったころ。

 ≪スキル:ダッシュ が有効化されました。≫

よし。

 森の中をモンスターに見つからないようにこっそり移動すれば。

 ≪スキル:忍び足 が有効化されました。≫

 さらに走った勢いを殺さずに正面にあった木に飛びつく。そのまま3mほどの高さにある枝まで何とか登る。

 子供のころ、登り棒さえ登れなかったけどなんとかなるもんだ。

 手近な枝に飛び移って地面まで飛び降りる。

 ≪スキル:掴み 木登り 森林踏破 降下が有効化されました。≫

 あれ?【森林踏破】?【降下】?予定していなかったスキルだけど、もらえたならまあいいや。


『森林踏破:森の中での移動にプラス補正がかる』

『降下:落下ダメージを減少させる』


 うん。使えそう。

 さて、淡雪さんはここで一回送り返そうか。

 おいでなさい、トトさん。

 そして街まで競争だ。


 目につくモンスターを倒しつつ、【ダッシュ】のレベル上げのために街まで走って帰ってくる。その間そこそこのプレイヤーとすれ違った。

 やっぱりちょっとレベルの上がったプレイヤーは森を抜けて次の町に進むようだ。

 他と同じ波に乗りたくない。

 まてよ。波か。

 師匠に連れていかれた洞窟。【水泳】があれば外に出られそうだったよな。あとは水生系のモンスターをテイムできれば。

 よし。方針は決まった。

「トト。走り回りながら目につくモンスターを片っ端からやってくぞ」

「ぷう」


 ≪おめでとうございます。プレイヤーがレベルアップしました。任意のステータスに2ポイント割り振ってください。≫

 ダッシュで移動にそこまで時間をかけなかったおかげか、夕方にはレベルアップのアナウンスが来た。


プレイヤー:毛皮丸 Lv:5 up


 HP:75 up

 MP:42 up



 STR:13

 VIT:11 up

 DEX:16

 AGI:14 

 INT:12

 MIN:11 up


 ≪従魔の同時召喚数が2になりました≫

 いよっし!これを待っていた。


スキル:召喚

我が呼び声に応えよ 汝我が友淡雪 来たりて現れよ


「きゅい」

 淡雪とトトが並ぶ。

 んー、やっぱりモフモフはいいなぁ。お互いにくんかくんかして。仲良くしろよ?

 さあ、街に戻って思う存分モフモフしようか。


 二匹を両脇に抱えて広場の片隅に陣取る。

「ふんふんふんふんふふんふーん♪」

 適当に鼻歌を歌いながらトトのブラッシングを進める。

 ≪スキル:歌 が有効化されました。≫

 !?

 鼻歌でいいのかよ!


「さあ、作ろうか」

 淡雪のブラッシングも終わるころにはいい時間になっていたので宿に戻ってきた。一応トトは送り返してある。

 まずは鞄のグレードアップからだ。

 素材としてコードバンを使うけれども、手順としては前に作ったものとほぼ同じ。そこに魔石を取り付ける。【付加】を使ってしあげてやれば


コードバンの鞄


コードバンで作った鞄。結構頑丈に仕上がった一品。

付加:内容量拡張 眠りひつじ0.9匹分 内容重量軽減 30%

 

 うん。いいものができたけど、拡張の表記がまた微妙だな。まあ、スケルトン一体よりも増えてる。よな?

 次は防具だ。適当なソルジャーアントの殻の形を整え、胸と背中を守れるように革でつなぐ。


丈夫な兵隊蟻のブレストアーマー 


ソルジャーアントの殻を使った胸当て。軽くて丈夫。

付加:耐久力向上 +10%


 この耐久力はプレイヤーのステータスではなく、防具そのものの耐久力みたいだ。要するに壊れにくい、と。

 同じ要領ですね当ても作る。

 後は靴だな。あらかじめ買っておいた木型ラストを取り出す。

 形はアンクルブーツでローヒール。ウィングチップで外羽で行こうか。靴底はハンドソーンで。

 あ、ウィングチップっていうのはつま先のパーツがWのような形になっているもの。外羽は、靴紐を通す部分が別パーツでついているもの。ハンドソーンはちょっと頑丈な靴底のつけ方だ。

 一足作るのに本来は結構時間がかかるんだけど、ここはゲーム。スキルの力を借りてさくっと作ってしまおう。


馬革のブーツ 


野生馬の革で作られたブーツ。コードバンより耐久性は低い。

付加:AGI+1 

 

 まあ、こんなものかな。

 作るもの作ったし、寝ようか。

 おやすみ、淡雪


取得スキルなどちょこちょこ変わっています

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