46モフ目
「よっとっはっこりゃおとと」
こちらお祭り会場の毛皮丸でーっす。
「この、うりゃ、とりゃ、ぐぬぬぬ」
「モフナーさんモフナーさん」
「なによ!?」
「そろそろ乙女にあるまじき顔になってきてる」
「はっ!?」
残念属性の面目躍如?
卵掬いは現状僕もモフナーも一個ずつ。
モフナーの次は危ないかな?
卵が流れている水でモナカがふやけてきている。
「もうちょっともうちょっと……ああ!」
「はいざんねーん。惜しかったねー。でも一個ゲットだ」
とうとうモフナーのモナカがくずれた。
お、よそ見しているうちにいいポジションに流れてきたぞ。
「そおい!」
勢いよく掬い上げたから、水があたりに飛び散る。
モフナーの浴衣、透けないかなぁ。
……。
「毛皮丸? 見つめてどうかした?」
「イヤ、ナンデモナイデス」
煩悩退散。
閑話休題(下半身よ静まれ)。
「最後の一個は……これだぁ!」
ちょっと奥まったところにあった卵を救い上げる。
電撃的な速さで。
これだぁだけに。
コレダーだけに。
……。
……。
……。
……。
大変申し訳ございません。
心なしか水温が少し下がった気がする。
「ハーイ、お見事さんでしたー。卵はきちんと持って帰ってね」
「どうすれば孵るんだ?」
「常に5m以内においておけば三日くらいで孵るよ」
「カバンの中は……」
「ぶちゅっといってできかけの中身が飛び散るよ?」
「ごめんなさいごめんなさい」
「大事にしてねー」
んー、どうしよ。
とりあえず懐に入れておこうかな。
「それ、ぶちゅっと中身出ない?」
……。
こう、袷からピーをしたたらせながら……。
「人とぶつからないようにしないとな」
「私も言ってから想像した」
……。
「ちょ、ちょっと休憩しようか」
「そだね」
祭りの喧騒から少し離れると、暗がりにベンチがいくつか置かれていた。
「丁度いいかな」
「あ、私飲み物買ってくる」
「僕が行くよ」
「毛皮丸はいま大事な時期なんだから座ってて」
誰が妊婦だ。
「それわかって言ってるよな。僕男だぞ?」
「あはは。女の子だったら……それはそれでいいかも」
モフナーさん、何鼻息荒くしてやがりますですか。
「ま、とにかく座ってて」
「あ、おい」
止めるのも聞かずに行ってしまった。
しょうがない。言われた通り、おとなしく座ってますか。
モフナーはそんなに時間をかけずに戻ってきた。手には飲み物を……。
あれ? ひのふの……。
なんか二人で飲むには多くありませんか?
なんだか嫌な予感がする
「ただいま」
「おかえり」
「なんかね、面白いの売ってたの。夏の水分補給 大将の漢塩。くさやのつけ汁。幽霊一番搾り」
なんだそのチョイスは。どこぞのポーション屋を思い出す、ってかここの運営だもんな。
「とりあえず、これ飲んで?」
え?
「そこはどれにする? じゃないの?」
「もうどれがどれかわかんない」
わかんないってあーた。
「それ一気一揆」
地主さんの家打ち壊すの?
しょうがないからわたされた容器を一気にあおる。
「う゛! これは……」
「何だった!?」
「すごく、汗臭いです」
大将の漢塩味か。
「次これね」
まだやるの?
モフナーの期待に満ちた目を見たからにはやらないといけないか。
匂いは特にない。
男毛皮丸、いきます!
「どう?」
これは……もったりとしてコクがある……ん? なにかのど元にせり上がってきて、うぐ、我慢できない!
「げはっ!」
「うきゃあ、吐いた!」
げふっうえっ
次から次へとせりあがってきて……。
吐き出したものはなにかもやもやと漂っている。
「なるほど。これがエクトプラズム」
「ちょっと待て、なに飲ませた!? げふっ」
「たぶん幽霊一番搾りってやつ。エクトプラズム噴きますってあったし」
「おい」
なんつうもんを飲ませやがる。
「で、モフナーは?」
「私のはこれ」
ふむ。明りに透かして見ればきれいなクリアグリーンだ。
メロンソーダかな?
「げぶはぁ」
一口含んで吹き出しやがった。
「モフナー? 乙女が出していい声じゃなかったぞ?」
「こ、これ」
「ん?」
「色だけで買ったら三つ葉味のサイダーだった」
三つ葉サイダーとか。飲みたくねー。
「飲んで」
「いらぬ」
「間接キスだよ?」
「間接キスしたいなら幽霊一番搾り飲めよ」
「エクトプラズムは乙女的にちょっと」
「もう手遅れじゃね?」
「なにおう!」
本日も平和なり。
口直しに濃縮酢昆布味ポーション飲んでおこう。
冷やし新作、始まってます
凍った時の向こうで
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ロボット物SFです




