44モフ目
「浸透波!」
実況に毛皮丸。解説にトトさんを迎えしてお送りします。
トトさん、ダイサガンのHPが全然減っていないのをどう思われますか?
「ぷう」
そうですね。浸透波で足を一本吹き飛ばしても、すぐに砂浜の砂で補充して回復してしまいますよね。
「ぷう」
そうですね。トトさんの蹴りもあまり効いていないようですし。
「ぷう」
はい。避けますよ。
あれは地震攻撃のモーションですね。
タイミングを合わせますよ。1、2の。
「ぷう」
「しっかしどうしたもんかな」
「ぷう」
腰まで海につかりながらも思案してみる。
「どこかに手があると思うんだよね」
「ぷう」
いくらここの運営でもクリアできないイベントは作ってないと思うんだよね。負けイベントならともかく、人数が参加するものだから特に。
……。
……。
……。
あれ?
「追撃が来ないな」
「ぷう」
まあ、それならそれで悩ませてもらおう。
……。
……。
……。
あー、ダイサガンがヘッドスピンしてら。
あれだけでかいとブレイクダンスする風圧もすごいな。
あー、あの風圧で奥のスイカ割れてくれないかな。
奥のスイ……カ?
「スイカがない!?」
いや、ダイサガンに気を取られていたのは事実だけど、いつの間にかスイカが消えてるなんて。
待てよ。もしかしてダイサガンの胸のスイカが、割るべきスイカなのか?
とすれば、あのスイカを割ればダイサガン自体は倒さなくてもいい?
よし。
立ち上がりざまにトトのお尻をむんずとつかむ。
スピンが途切れたすきを見計らって。ピッチャー第一球を投げました!
……。
あ。
ちょうどスピンが再開して打ち返されてきた。
見事なピッチャー返しだな。うん。
トトさん。もう一度行こうか。
「ぷ、ぷう」
またまたぁ。首を横に振っちゃって。
ブラッシングが待ってるよ?
「ぷう!」
敬礼ありがとうございます。
んじゃ、いこうか。
「ぷううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
「ぷう、ぷぷう」
そんなわけで、絶賛トトのブラッシング中だ。
ダイサガン? きっちりやりましたとも。
まあ、十三投目だったけどね。ははっ。
あ、もうちょっとこっちやれって?
はいはい。
あ、僕とトトのレベル上がってます。
プレイヤー:毛皮丸 Lv:26 up
HP:332 up
MP:295 up
STR:22
VIT:20 up
DEX:20
AGI:17
INT:18
MIN:18
アンゴラウサギ:トト Lv:12 up
HP:243 up
MP: 98 up
STR:30
VIT:20
DEX:17
AGI:22
INT:14 up
MIN:12
今の攻略組のレベルってどんなんだろうな。
「あ、毛皮丸だ」
振り返れば近づいてくるモフナーが。どことなくはしゃいでいる、か?
「ちょっとモフナー。あんた何乙女な顔してるのよ」
「えへへー。勢いで告白しちゃいました」
「な、なんだってー」
オメガがみっつほどいるかね?
「おいっす。ヒサゴさん、田吾作さん」
「こんばんは」
「どっかいくのか?」
「うん。二人と肝試しイベント行ってくる」
「まあ、経験値いいしな」
「一緒に行く?」
行くっていくかむしろ行きたいって顔してるな。
けど残念。
「トトのブラッシングをたっぷりしないといけなくてな」
「そっかー、残念」
「また行こう。ちょっとだけ強くなったし」
「そうだね。盆踊りもあるし」
「盆踊り?」
「知らないの? お盆に櫓囲んで踊るお祭り」
「いや、そんな根本的なことじゃなくてな」
「来週やるんだって。ここに会場用意して」
ふむ。
「デートするか?」
「もちろん! 浴衣用意しないとね」
あー。またマイスナとアドネーに頼むか。
って、あれ?
ヒサゴさんと田吾作さんの口から何か漏れてる。
って、状態異常:砂糖吐き ってなんじゃこりゃぁぁぁぁ。
「それじゃあ、またね」
「ああ、また」
モフナーよ。二人の状態に気が付いてやってくれ。
僕が言うことじゃない?
ごもっともで。




