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19モフ目

お読みいただきありがとうございます

 おはようございます。ここ何日かは生産系の依頼ばかり受けていました。おかげで熟練度が上がる上がる。【儀式】は相変わらずだけど。。

『魔法核生成:拠点用の核を作る』

 よくわからん。どっかの図書館に情報があればいいんだけど。

 今日の朝食は卵のおじやと沢庵。幸せだ。


「やっほー、来たよ」

「うっす、モフナー」

 十時を回ったころ、待ちに待った料理人が到着した。

 連れているのは馬とウサギと、妙に体が丸い猫。今日は一人らしい。

 ウサギはアンゴラウサギにクラスチェンジしているし、モフナーの最初のパートナーのニャコは


まねきねこ オス

テイム済

金、運、人、モンスターなどを引き寄せやすい猫。引き寄せる確率や物は制御できない。


 玄人好みじゃね?

「見て見てうちの子。クラスチェンジできたよー」

「僕のとこも、二匹クラスチェンジしてる」

「えー、見たい!」

 クラスチェンジした従魔がぼちぼちでてきてるのかな。ここで見せるには、淡雪はでかいよな。

「見せるのはいいけどここじゃあまずいから、村の広場に行こう」

「はーい」

 さくっと外に出て淡雪、ドリー、マイスナを召喚する。

「うわっ、淡雪ちゃん大きくなってる!羊さんとお人形さんは新しい子だね」

「なかなか癖が強いけどな。モフナーは新しくテイムしてないのか?」

「んー、いるのはいるんだけど、ちょっとか弱い子」

「か弱い?」

「そう」

「じゃあ、アンゴラウサギに危ない生き物がいないか気配察知させたら?」

「なにそれ」

「え?」

「え?」

「うちのトトはスキルに持ってるけど」

「うちの子ない」

「……育てる環境とか個体でスキル取得が変わってくるとか?」

「ありえるね」

「しょうがない」

 ドリーを送り返してトトを召喚する。

 そのままモフナーのアンゴラウサギと臭いを嗅ぎあう。犬かお前ら。

「うわーい、トトだ。久しぶり―」

「ぷう」

「なんか、うちの子よりモフモフしてない?」

 あ、モフナーのウサギが硬直した。

「おーい、そんなこと言うからお前のとこのが固まってるぞ。それよりもトト。周りにモンスターの気配はあるか?」

「ぷう」

 しばらく鼻と耳をうごめかせあたりを探るも、首を振って否定してくれる。

「大丈夫だってさ」

「ん。ならいいかな」

 モフナーが馬と入れ替えて呼び出すのは……ひよこ?


ぴよこ メス

テイム済

鶏のひな。ひなであるために体力はかなり少なく戦闘は不可能。むしろモフモフしているからと撫ですぎるだけでダメージを受ける。


 うおーい。かわいいけど扱いにくいな。

 これ、将来的に卵を期待できるのか?

「このひよこ、じゃない、ぴよこ、どこで?」

「ベルトリスの卵屋さんで、店頭で孵化を始めたから引き取った」

「なんという……」

「毛皮丸も、このフェルトパペットどうしたの?」

「この村でテイムしたんだけど、フェルト人形作ると200に一個くらいモンスター化するらしい。そこから逃げ出したこいつをテイムした」

「だとすると、他の街でもテイムできる可能性はあるんだ」

「だな」

「で、本日のお題なんだけど。どこで料理する?」

「んー、道具はある?」

「グリル機能付き携帯用コンロまで一式あるよ。水は魔法で出せるし」

「ならここでやっちゃう? モンスターは護衛に淡雪おいとくし」

「いいの?」

「まかせとけ」

「なら、あとはできた料理をどうするかだけど」

「容量拡張鞄置いておくから、それに入れて」

「そんなのあるの」

「これから作る。それを報酬でどう?」

 がっしと両手を掴まれる。

「毛皮丸君!」

「え? 君ってお前そんな呼び方今まで一度も」

「全力で作らせていただきます」

「お、おう」

 いやもう、むっちゃ目がキラキラしてますよ?

「作ってもらってる間お前のとこの従魔のレベル上げ行こうか?」

「いいの?」

「待ってる間暇だし」

「よろしく!」

 パーティー組んでモフナーの従魔だけ引き連れていけばできるはず。

「とりあえず鞄作っちゃうよ。デザインの要望は?」

「んー、側面茶色で正面から蓋まで白で」

「あいよー」

 さくっと作りませう。

 本当は水を使ったり、何度も染料をたたきこんだりといろいろ手順はあるんだけど、革の鞣し以上に簡略化されてる。お手軽だけど、どこか物足りない。

 性能は僕の鞄より良くなった。スキルレベル上がってるからか。僕の装備も更新しないとな。

「うっしできた」

「わー、ありがとー」

「僕の持ってる食材を全部入れておいたから好きに使って作って」

「任せて」

 パーティーを組んで、モフナーはぴよこを馬と交代。僕の布陣は淡雪、シンシナティ、ドリーとする。

「さてちゃきちゃき経験値を稼ぎますか」

 最低1はレベル上げたいな。

「淡雪、お前は一応護衛という名の留守番な」

「きゅい」

「さて、行くぞー」

「みんな毛皮丸の言うこと聞くんだよー」



「さて、と。何から作ろうかな」

 お米、赤みそ、醤油、みりん…

「モフナー 三分どころじゃないクッキング」

「きゅきゅきゅっきゅっきゅ」

「まずはご飯を土鍋で炊きます。これは【料理】スキルで速攻で終わらせて、蒸らしておきます」

「きゅっ」

「次にボールにみそを少々入れて、醤油と少量のみりんを合わせ、みそを溶きます」

「きゅっ」

「ここに蒸らしもスキルで終わらせたご飯を投入します。途中まで作ったものを用意しなくてもいいくらい簡単ですね」

「きゅっ」

「この時注意するのは、ご飯がたれに絡まりすぎるとおにぎりに握れなくなります。なので少々ご飯多めで投入します」

「きゅっ」

「しっかり絡めたら三角握って網で焼きます」

「きゅっ」

「焦げ目がついて少し締まったら完成です!」

「淡雪ちゃん味見」

「きゅっ」

 口を開いて待ち構える淡雪ちゃんに、モフナー投げます! 直球ストレート!

「きゅぐっ」

「おいしい?」

 ごくん

「きゅ?」

「丸呑みしちゃったのは気にせずに、次に行きましょう」



「ひまだなー」

 僕は今、モンスターとの戦闘という名の、従魔の食事に付き合っている。


ハリセンほうれん草

アクティブ

そばを通りかかるものにビンタをおみまいする。威力が強いやつほどおいしい。


地雷かぶ

パッシブ

上手に引き抜かないと爆発する。落としても爆発する。


 情報が増えたと思ったら【識別】のレベルが上がっていた。

 ステップニンジンや格闘大根もいる。

 馬二匹とウサギ一羽に羊一匹。片っ端から食べていく。

 食欲旺盛なのはうちだけじゃなかったんだな。

 満足するまでニャコをもふっていよう。

 ≪おめでとうございます。プレイヤーがレベルアップしました。任意のステータスに2ポイント割り振ってください。≫

 あー、上がったか。

 何かあまり経験値稼いだって感じがしないな。



プレイヤー:毛皮丸 Lv:12 up


 HP:135 up

 MP:103 up



 STR:20 up 

 VIT:13

 DEX:16

 AGI:15 up

 INT:13 

 MIN:12


 ≪おめでとうございます。従魔:シンシナティ がレベルアップしました。任意のステータスに2ポイント割り振ってください。≫

 数だけはいっぱいいるからな。


ホース:シンシナティ Lv:8 up


 HP:100 up

 MP:23 up



 STR:21

 VIT:18

 DEX: 7

 AGI:30

 INT: 7 up

 MIN: 7 up


 ≪おめでとうございます。従魔:ドリー がレベルアップしました。任意のステータスに2ポイント割り振ってください。≫


眠りひつじ:ドリー Lv:5 up


 HP:45 up

 MP:12 up



 STR:11

 VIT:10 up

 DEX: 5

 AGI:10 up

 INT: 8

 MIN:15


 シンシナティもドリーもクラスチェンジさせたいなぁ。



「続いての三分どころじゃないクッキングメニューは茶碗蒸しです。」

「きゅっ」

「基本の材料は、卵、水150cc。白醤油大さじ1。この割合で作りたい量に合わせて増やします。まず材料を合わせ滑らかになるまで徹底的に混ぜます」

「きゅっ」

「ぶもぉぉ」

「柵の向こうに見えるイノシシは淡雪ちゃんに倒してもらいます」

「きゅっ」

「淡雪ちゃん? やっておしまいなさい」

「きゅーーーー」

 淡雪ちゃんの開いた口に光の種が生まれてどんどん大きくなっていく。

 バスケットボールくらいあったのが一瞬で野球ボールくらいまで縮む。

 四肢をしっかり踏ん張って、発射。

 すごー。イノシシの背中が消し飛んじゃった。

「ドラゴンもかっこいいよねぇ」

「きゅっ!」


ワイルドボアのひれ肉 


イノシシのひれ肉。野生種のため脂身は少ない。


「これも料理に使っちゃおう」

「きゅっ」

「あ、みんなのレベルが上がった」

 毛皮丸は順調なようです。

「気を取りなおして。湯呑のような器に干しシイタケと干したエビを水で戻したものを入れます。

「きゅっ」

「そこに先ほど作った卵液をそそぎます。だいたい8分目から9分目くらいかな?」

「きゅっ」

「注ぎ終わったらこれは放置します」

「きゅ?」

「では、次の料理に移ります」

「きゅう?」



「ニャコ、顔を思いっきり引っかいてやれ!」

「ふしゃぁぁぁ」

「BUHIIIIII!」

 今僕らはオークの群れを相手にしている。


オーク オス

アクティブ

食欲と性欲が旺盛なモンスター。オスしかいない。薄い本じゃなくてもいろいろされるのに定番。


 これ、女性プレイヤー的にどうなんだろう。あまりにひどいのは防止コード入るはずだけど。

「BUGAAA!」

 馬コンビが両脇から逃げ道を塞ぎ、ウサギが骨を蹴り折っていく。それを僕がとどめをさす。鉈でポンポンオークの頭が飛んでいく。ネコと羊? おとりと牽制をうまいことこなしている。

「BUGAAAAA!」

 一匹のオークが風切り音を出しながら馬鹿でかい斧をふるっている。【斧】スキルか。【鉈】から進化か派生するといいんだけどねぇ。


オークソルジャー オス

アクティブ

オークの上位種。通常のオークより力が強い。


 他のよりでかいと思ったら上位種だった。ってか、フィールドボスクラスか?

「モフナー組とドリー、こっちに!」

 預かってるのにやられちゃまずい。

「ふんぬ!」

「BUMO!?」

 ガキッと嫌な音がするも、斧に鉈をかませなんとか止める。

 競り負けたら確実に真っ二つだ。拮抗状態? いいえ、徐々に押されてます。腕がぷるぷるです。

 止めている隙にニャコが目つぶし。そして馬コンビのダブル後ろ蹴りでソルジャーの頭が飛ぶ。

「BUHI?」

 さあ、掃討戦といこうか。


 結局オーク三十匹、ソルジャー一匹をやったところで残りには逃げられた。

 んー、ボスクラスが率いる群れだと思ったけど妙にあっさり引いたな。

 ≪おめでとうございます。プレイヤーがレベルアップしました。任意のステータスに2ポイント割り振ってください。≫



プレイヤー:毛皮丸 Lv:13 up


 HP:142 up

 MP:121 up



 STR:20  

 VIT:13

 DEX:16

 AGI:15 

 INT:15 up

 MIN:12


 ≪クリティカルヒットの規定回数 を達成しました。称号:ラッキーヒッター を獲得しました。≫

 何かもらったし。クリティカルなんて今まで出てるような感じはほとんどなかったけどな。何でこのタイミング。

 あ、もしかしてまねきねこの効果か? 幸運を引き寄せてこの戦闘でクリティカルが連発したとか。

 うん。それならボスに楽な印象を持つのも納得できるな。そしてドロップが一個もないのはその反動か。

 ≪おめでとうございます。従魔:シンシナティ がレベルアップしました。任意のステータスに2ポイント割り振ってください。≫


ホース:シンシナティ Lv:9 up


 HP:112 up

 MP:25 up



 STR:21

 VIT:18

 DEX: 7

 AGI:30

 INT: 8 up

 MIN: 8 up


 ≪おめでとうございます。従魔:ドリー がレベルアップしました。任意のステータスに2ポイント割り振ってください。≫


眠りひつじ:ドリー Lv:6 up


 HP:52 up

 MP:14 up



 STR:13 up

 VIT:10

 DEX: 5

 AGI:10 

 INT: 8

 MIN:15


 ≪従魔:ドリー は 睡眠誘導 を習得しました≫

 おし順調にレベルアップ。

「次探すぞー」



「続いてて取り出すのは、また卵です。今度はプリンです。これに村で買っておいた牛乳200ccに砂糖15g、バニラエッセンス少々。これにカラメルソースを合わせるのが通常のプリンのレシピですが、今回はカラメルソースをつくりません!」

「きゅ!?」

「なので砂糖を増やして少し甘めに作ります」

「きゅ」

「材料は基本の量なので、必要量に合わせて増量します。今回は十一倍でいきます」

「きゅ」

「半端なのは私たちの味見用です」

「きゅ!」

「材料をひとまとめにぶち込んで、毛皮丸のかたきのようにひたすら混ぜます」

「きゅ」

「うーふーふーふー、危険運転をするやつなど皆滅んでしまえー!」

「きゅ!?」

「淡雪ちゃーん、怖くありませんよー。コワクナイヨネ?」

「きゅ!」

 そんなに首を振らなくてもいいと思います。

「きれいに混ぜ終わったら目の細かい布などで漉します」

「きゅ」

「器に適当に分けたら、先ほどの茶碗蒸しと一緒に蒸します。蒸し時間など本当は違いますが、スキルが便利すぎるのでいっしょくたです」

「きゅ」

「お鍋に水を張って、はい、蒸しあがりました。プリンは水で冷やしておきましょう」

「きゅ」

「では試食です。淡雪ちゃんの口に茶碗蒸しとプリンを同時投入します」

「きゅ、きゅー?」

「一緒に食べるとおかしな味になることが確認できましたね。では次の料理です」

「きゅっ!きゅっ!」

「抗議は受け付けません」



 やあ。こいつを見てくれ。どう思う?

 すごく、大きいです。


マンモス オス

アクティブ

寒い地方に生息していたがモンスター化して熱帯気候にも適応した。鼻は器用に使える。牙は工芸品としても武器の素材としても人気。


 モンスター化といっても何でこんなところにいるんだよ。これもまねきねこの効果か?

「パオ―――」

「くそっ。【陰陽】だと属性攻撃が通らん!」

 さっきから一通りの攻撃を試しているけどダメージが入った手ごたえがない。

 尻穴突撃は高さが合わない。

「バオオオオ!」

「あれ? ニャコは?」

 なんということでしょう。ニャコさんがマンモスの鼻先に吸い付けられているではありませんか。

「にゃ」

 あっれ、ニャコさん。なんで鼻の穴に潜り込んでいきますか?

「パ!? パオックション! パオックション!」

 そしてマンモスもどんなくしゃみをしてやがりますですか。

「バオオオォォォォォォ!!」

 あれ? なんか鳴き声がおかしい。そう思ったら、マンモスの鼻が付け根から落ちた。

 え? 梅毒?

「にゃあ」

 そして落ちた鼻のほうからニャコがはい出てきた。

 ニャコさん。血に濡れた爪をぺろりとやるのはやめていただけませんか?

「シンシナティ!」

「ブヒヒーン」

 駆け寄ってきたシンシナティの手綱を掴み、その勢いのまま飛び乗る。

「正面から行くぞ」

 狙うは痛みで暴れるもこっちを向く瞬間。

 モフナー組がなんとかマンモスにこっちを向かせようとする。

 今!

「迦具土炎槍!」

 炎槍が鼻の痕を焼く。

「めえーー」

 ドリーが鳴いた瞬間にマンモスの動きがわずかに鈍る。まぶたがぴくぴくと……催眠誘導か。

「ドリー、ナイスアシスト」

「めえ」

 引き抜くは槍。

「いけ!」

 シンシナティに突撃させる。

「いってぇ!」

 マンモスが暴れた衝撃で僕はシンシナティの上からはじき飛ばされた。向こうでマンモスが地響きを立てて倒れているけど、こっちはそれどころじゃない。

「ぬおおおおおお」

 右腕を抱えて転げまわる。

 いってぇ。くそいってぇ。

 なにこれ。脛打った!

 ああ、HP半分削れてるじゃないか。

 そのまま五分ほど転がり続け、ようやく痛みがおさまった。

 槍? 鼻の痕にきれいに刺さったのが決め手になったみたいだ。


マンモスの牙


強靭な象牙質の牙。根元が砕け短くなっている。


 まあ、順当なアイテムが取れました。砕けてるのは弾き飛ばされた影響かな。たぶん、牙で掬われたんだ。


 ≪おめでとうございます。プレイヤーがレベルアップしました。任意のステータスに2ポイント割り振ってください。≫

 マンモス一体ですごい経験値だったんだな。


プレイヤー:毛皮丸 Lv:14 up


 HP:158 up

 MP:131 up



 STR:20  

 VIT:13

 DEX:16

 AGI:15 

 INT:15

 MIN:14 up


 ≪状態異常:魔力回路損傷 が発生しました。一定時間、召喚を含め魔法が使えなくなります≫

 なんだって?

 どの攻撃で発生したんだか。

 ≪おめでとうございます。従魔:シンシナティ がレベルアップしました。任意のステータスに2ポイント割り振ってください。≫


ホース:シンシナティ Lv:10 up


 HP:120 up

 MP:28 up



 STR:21

 VIT:18

 DEX: 7

 AGI:30

 INT: 9 up

 MIN: 9 up


 レベル10になっちまったな。うー、トトに変えたいけどできないんだよな。

 ≪おめでとうございます。従魔:ドリー がレベルアップしました。任意のステータスに2ポイント割り振ってください。≫


眠りひつじ:ドリー Lv:7 up


 HP:60 up

 MP:17 up



 STR:13

 VIT:12 up

 DEX: 5

 AGI:10 

 INT: 8

 MIN:15


 順調に来たけど魔法が使えないのは痛いな。一度帰るか。



「ただいま」

「お帰りー。すごいね。レベルが三つも上がったよ」

「もうちょっとやりたかったんだけどなぁ。状態異常くらったから帰ってきた」

「そっか。料理は一通りできたよ」

「焼きおにぎり、茶碗蒸し、プリン、とんかつもといイノかつ、コロッケ、から揚げ、クッキー、味噌汁。炊いたご飯もしっかり用意してあるよ」

「さんきゅー。これでしばらく戦える」

 モフナー用の鞄からできた料理を移す。

「で、状態異常ってどんなの?解除できないの?」

「最後のマンモスがちょっとばかり無茶だったみたいでね」


「なるほどねぇ。頑張ったんだ」

「問題が一個あってさ」

「何?」

「ここの宿って従魔不可だから、今日中に解除できないと野宿になる」

「あー、大丈夫?」

「まあ、野宿でも平気だけどね。淡雪とドリーに挟まれていればモフモフで寝やすいし」

「それはちょっとうらやましい」

「さて、戦闘の連続でバタバタしたし、ブラッシングでもしようか」

「あ、私も」


「どうしてこうなった」

 はじめはシンシナティのブラッシングをしていたんだ。モフナーも自分の従魔のブラッシングを始めたのを横目で見ながら、今度はドリーのブラッシングをしたんだ。

 気が付いたら僕の尻尾がモフナーにブラッシングされていたんだ。

 なんかこう、ぞくぞくというか、ぞわぞわする。

 モフナーにやり返してやりたいけど、ウサギの尻尾は短すぎる。必然としてブラッシングすると尻神様を触ってしまう。

 どう考えてもセクハラです。ありがとうございました。

「はい、できた。かわいいよ」

 気が付いたら尻尾の毛が編み込まれていました。

「ブヒヒ」

「シンシナティ笑ったな?」

 しれっと目をそらすんじゃない。

「お前の尻尾も編み込んでやろうか?」

「ぶるる」

 どうぞといわんばかりに尻尾をこっちに向けてきたよ、こいつ。

 よし、三本くらい三つ編みを作ってやって、そういえば依頼の報酬の中にリボンがあったな。三つ編みの先に結んでやろう。

「よしできた。かわいくなったなシンシナティちゃん」

「ぶるる!?」

 尻尾を横に引っ張って視界に入るようにしてやる。

「ぶるるるる!」

「抗議は受け付けません」

 さて、ステータスを、と。よしよし。状態異常は解除されたな。

「状態異常、解除されたけど今日はこのままブラッシングすることにするよ」

「のんびりだね」

「さ、シンシナティ。トトと交代だ」

「ぶるるるる」

 ま、実入りは良かったからのんびりしてもいいでしょ。

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