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苦悩

いつにも増して短いです、すいません。



泰斗とティオは順調にダンジョン攻略を進めていき、一日で25階層まで来ていた。

泰斗はいつも通りにワンパンで魔物に無双する。

ティオはスピードを生かしたヒットアンドアウェイをして魔法を当てていく戦法をとる。


そんな戦闘を繰り返して気づけば25階層に来ていた、というワケだ。

かつてここまで早いダンジョン攻略はされたことがなかったので、ティオは驚く。

そろそろティオのMPも無くなってきたので各階層にある休憩所に入る。

25階層の休憩所にいたのは泰斗達ともう一組の冒険者グループがいた。

そのグループは身長が高い大男が三人と、その奴隷のような双子の女の子のグループだった。

大男達は泰斗を見つけ、目が合うと怒鳴りちらしてきた。


「オラァァァ、こっち見てんじゃねぉ」

「あっちいけんよぉ、コラァァァ」

「嬢ちゃん、こっちで一緒に呑むかぃ?」


どうやらそうとう酔っているらしく、呂律が回っていない。

双子の奴隷は大人しく二人固まって身を寄せ合っている。

大男達の機嫌を損ねたくないように見える。

その双子をよく見たら身体は酷い痣が何箇所かあり、薄汚いシスター服とローブを着ていて髪はボサボサという身なりだった。

恐らく今までずっと暴力が振舞われてきたのだろう。


泰斗とティオはその冒険者グループから少し離れた所に魔法袋から出したテントを立て、念の為ティオの持ってきた強力な結界効果の魔法具を使う。

これで、大抵の事は防がれる。

泰斗は先ほどの奴隷のような双子の女の子の事を気にしてかなかなか寝付けず、眠れたのはそれから数時間後であった。









「んー、よく寝た」

泰斗が起きると隣で寝ていたティオも起きて朝ご飯の準備に取り掛かる。


その間泰斗が一応昨晩の冒険者グループを見てみるとすでにいなかった。

多分次の階層に行ったのだろう。

泰斗はそのグループにいた双子の奴隷を思い出す。

泰斗はこの世界に来てから“奴隷”という制度はあることは知っていたが、見たことはなかった。

やはり実際目の当たりにすると何とかしてやりたい、という気分になる。

日本には奴隷という制度もないからこその感想だろう。

現にティオは冒険者には軽蔑したような眼差し、双子の奴隷には同情のような眼差しを送っていただけだった。

奴隷というのは可哀想、とは思うが何とか助けたいとは思わないのだろう。

助けるとしたらやはり冒険者達を殺すしかない。

そんなことは今の泰斗にとっては簡単だ。

しかし、問題はその後にある。

双子の女の子を助けるという事は二人の主人が自分になる、ということだ。

奴隷を一般人に戻すには多額な貨幣が必要になるので、本来そんな事をする人はいない。

泰斗にもそんなお金を持っていない。

つまり助けた場合、泰斗が二人を養わなければならない。

助けた人物にはその“責任・・”がある。

泰斗とティオはこれからも旅を続けるつもりなのでそんな余裕などない。

そんな状況なので泰斗も困惑していた。


(助けたい。だが、その後はどうする⁉︎

このまま旅に連れて行くか?でも二人も守りながら闘うなんてキツいし、養えるかなんて分からない。んー、どうしよう?)


そんな事を考えていると、朝ごはんを作り終えたティオが目の前にいた。


「どうかされたのですか?」

「いや、昨晩の奴隷の事が気になってな。

実は…」

ティオに正直に自分の気持ちを話した。


「…なるほど。厳しい言い方になりますが、諦めた方がよいかと。私達はこれからも旅を続けるつもりなのでしょう?その二人が付いて来れるでしょうか?」

「うぅ、それはそうだよな。下手に動くワケにはいかないよな」

泰斗は完全には納得していないが、双子の奴隷を諦めかける。


「お気持ちは分かります。私も出来ることなら助けたいのですが、助けた後のことも考えないといけませんので」

「だよなぁ」

ティオは申し訳なさそうな顔をして言う。

泰斗も助けられなくて申し訳ない、という顔をしている。


「よし、とりあえず朝ごはんでも食べるか」

「そうですね」

しんみりした空気を変えるべく、ティオの作った朝食を頂くことにした。

メニューはパン、オムレツのようなもの、スープと軽い洋食みたいだった。

泰斗はオムレツのようなものを一口食べる。


「ん、毎度毎度ティオの料理は美味しいな。

いいお嫁さんになれるよ」

「そ、そんな。俺の嫁は美人で料理上手だから最高だなんて…」


そこまで言っていないのだが、ティオの脳内ではそう変換されたらしい。

まぁ間違ってないので否定はしない。

ティオは美人で可愛いし、気配りができる上に優しいし、さっきも言った通り料理が上手いし……言うとキリがないのでやめておこう。

朝食を食べ終え、テントを魔法袋に入れて出発した。


26階層からまた出発しだした泰斗達だが、魔物の力も強くなってきて、昨日のように簡単には進めなくなってきた。

泰斗はいつも通りワンパンで倒すが、ここにはティオの特訓も兼ねているのでなるべくティオが闘うようにしよう、と今朝決めたのだ。


「流石に強くなってきましたね」

「あぁ、なんつうか連携がとれてるって感じかな」

「そうですね。強い魔物は知能も高いですからね」

「強い上に連携とれるんだから油断できねぇんだよな」

「まぁ、泰斗さんには関係ないでしょう。すべて一発で倒せるんですから」

「確かにな。あ、下へ続く階段見つけたぞ」


そのように進みながら27階層に降りるとすぐに悲鳴が聞こえた。

泰斗とティオはすぐに悲鳴の元へと急ぐ。

すると、そこには血塗れで倒れている男達とその近くで蹲っている双子の奴隷、そして27階層に生息すると思われるドラゴンもどきがいた。

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