二人旅
これから多分短くなっていくと思います。
その分更新はできるだけ早くしていきたいと思います。
こんな感じですけど、ご愛読ありがとうございます‼︎
翌日、ティオは朝早く起きて旅の準備と荷物の確認を念入りにしていた。
ティオは結構ドジな様で、忘れ物がないか不安だそうだ。
三回確認して魔法袋に道具を入れる。
魔法袋はその名前の通り、付与魔法で作られた袋で値段は少し高い。
その魔法袋は本人のMPの値によって入れる量が変わる。
MP1=1kgといった感じだ。
ちなみにティオのステータスは次のようだ。
名前:ティオ
種族:獣人
性別:女
年齢:17
職業:
Lv.28
HP: 1500/1500
MP: 7000/15000
STR:35
V I T:65
A G I:1200
I N T:1000
DEX:700
LUK:20
《スキル》
・転移魔法Lv.MAX
《称号》
・転移魔法を極めし者
・兎族の突然変種
このステータスからも分かるようにティオは兎族の突然変種であった。
突然変種は他の同族にはみられない不思議な力を持ち、身体がその証拠をしめしている。
それは各々異なるが、ティオの場合は紫色の髪である。
村にいる兎族やティオの母親であるフィーの髪は白色であった。
ティオは知らないだろうが、突然変種は同族であっても忌避される存在である。
過去には突然変種というだけで殺されたという例もある。
兎族の性格が温厚で仲間思いということもあったからこそ、ティオは仲間外れにされなかったのだろう。
兎族としての特徴はAGIが優れていることだ。
要するに情報調達、スパイが上手いということだ。
ティオはその特徴も継いでいるようで、AGIも高い。
しかし、ティオの一番の力はやはり高いMPである。
泰斗は例外として兎族はもちろん、MP値が比較的高い魔族にもここまで高い者は少ない。
そして何故ティオのMPが7000/15000かと言うと昨日使った転移魔法が原因である。
転移魔法はやはり多くのMPを用いて使われるようで、ティオも例外でなく、翌朝になっても全快とはいかなかった。
泰斗も起き、三人で朝ご飯を食べる。
ちなみに今日のご飯はフィーさんが作ったらしく、まさにお袋の味という感じの料理だった。
朝食も食べ終わって、村の出口に向かった。
どうやら、そこで村人が見送りをしてくれるらしい。
行くと朝早いというのに村人全員が待っていてくれた。
「元気でなティオちゃん、泰斗くん」
「仲良くするんだよ」
「泰斗ー、ティオちゃんをよろしくな」
「ティオちゃん泣かせたらぶっ飛ばすぞ、泰斗‼︎」
ティオはもちろん、泰斗にも激励を送ってくれた。
その事に泰斗は嬉しさを覚えた。
“家族”、そんなイメージが兎族にはあって、その中に自分もいる、とそんな気持ちになった。
そして、村人全員に見送られながら、泰斗とティオは旅立った。
「さて、旅に出るのはいいけど行きたいところとかある?」
泰斗は今更⁉︎!思うことをティオに尋ねる。
「決めてなかったんですか⁉︎」
「あ…うん。何処でもいいかなぁ、と」
「もぅ、次からはちゃんと計画を立ててくださいよ」
「気をつけるよ」
「そうですね、私も泰斗さんもお互いの国には行けないので、とりあえず危なくない範囲でレベルアップをしたいのですが…」
「そっか、じゃあダンジョンにでも行ってみるか?」
ダンジョンは魔物が出る【森】と似ている。
違いと言えば【森】では魔物が死ぬと死骸はそのまま残るが、ダンジョンでは魔物が死ぬとアイテムや金貨が残る。
そして、ダンジョンにはフロアボスという魔物がいて、最下層にいるボスを倒すとダンジョンコアも一緒にドロップするようになっている。
ダンジョンコアは非常に希少でとても高額な値段で売ることができる。
なんでもMPを多く溜めることが出来るらしい。
魔石や他の鉱石でもできるがダンジョンコアは格別ということだ。
さて、どのようにダンジョンが作られるか。
それはまだはっきりとは分かっていない。
突然ダンジョンがあった、ということが多い。
ダンジョンは比較的【森】の近くにあり、難易度も異なり、初心者から上級者まで幅広く使われている。
ダンジョンでは魔物が尽きることはなく、時間をおくとまた発生するので訓練としてよく使われる。
ダンジョン内にはフロア毎に休憩場のようなところがあり、何日もダンジョンに篭る者もいる。
ダンジョンで死んだ者は装備やアイテムだけを残して死体は残らないらしい。
恐らくダンジョンの養分とされていると考えられている。
「では、私達が最初に出逢った王国と帝国の真ん中にある【森】の近くにあるダンジョンでも行きますか?」
「あぁ、そこでいいけど難易度は大丈夫なのか?」
「はい、確か中堅冒険者並です」
「そうか。あれ、ティオそんな強かったっけ?」
泰斗はティオと逢った時のことを思い出す。
確かウッドウルフ数体に襲われていたような…
中堅冒険者ならばあれくらい対処できて当然だろう。
「あ、あれは油断してただけですぅ。私だって泰斗さん程じゃないですけど村の中じゃ一番強いんですよ‼︎」
ティオは助けられたことを思い出し恥ずかしかったのか、少し赤くなって応える。
「そうか。でも危険だな。俺も初心者だし、もっと簡単なところにしないか?」
「では、この近くにあるダンジョンから廻りますか?確か、歩いて三十分くらいですよ」
「そこにするか。じゃあ、行こうぜ」
そういって、ティオに手を差し伸べる。
ティオは突然のことに疑問を浮かべる。
「どうしたんですか?」
「いや、手を繋いで行こうかな、と。
恋人なんだし、いいだろ?」
「は、はい、そうですね‼︎では‼︎」
ティオは嬉しさからか頭に付いているウサ耳がピコピコと動き、尻尾ははち切れんばかりに揺れている。
泰斗はそんなティオの様子が愛らしく思う。
(か、可愛すぎる‼︎こんな子が恋人なんて、異世界来てよかったぁ。ありがとう、神様‼︎
あ、神様ってキースって奴だっけ?まぁ、いいか。ありがとう、キース様‼︎)
そんな事を思いながら、泰斗とティオはダンジョンを目指し歩き出した。