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ステータスカード

それから王女の提案で勇者のステータスを確認しよう、ということになった。


ステータスとは?


まず、ステータスを測るには【ステータスカード】という専用のカードを用いる。

そのカードを持って、『ステータス』と念じるとカードを持っている者だけが情報を見ることが出来る。

他人に見せる時は見せたい項目だけを『オープン』と念じるとその項目だけを見せることが出来る。

この【ステータスカード】はこの世界の者は誰でも持っていると言う。

街に入る時や職に就く時に必要、ということだ。

もし失くしたとしても専用の売り場にいくと買えるらしいが、意外と高額だ。


ステータスには名前、種族、性別、年齢、職業がかかれ、偽造することは絶対に不可能となっている。


種族はやはり異世界ということで、獣人やエルフ、もちろん魔族などたくさんいて、絶滅した種族もいるし、今は何種類いるのか分からないそうだ。


年齢だが、この世界の人族の平均寿命は60歳だという。獣人は150歳、エルフは個人差があるがおよそ200〜300歳でハイエルフは約1000年近く生きるらしい。

魔族も個人差があるがおよそ100〜500歳である?

この他にも種族がいるが人族以外は基本寿命が長い。


レベルもある。

人族は最高100まで。

獣人族は150、エルフは300、魔族は500までとされている。

これ以外の種族はほとんどレベルはバラバラだが、魔族の500よりは低いとされている。

レベルは高ければもちろんステータスは高いが、人族やその他の種族も個体差があり、成長率が大きく違う者もいるそうだ。

俗にいう、突然変種という者だ。


突然変種は先祖帰りともいわれ、大昔その種族が生まれた最初の人物に能力が似ていて、その容貌もどことなく他の種族の特徴と異なるらしい。


そしてステータスに書かれている項目は次の通りだ。

HP=『体力』

MP=『魔力』

STR =『攻撃力、筋力』

VIT =『防御力、回復力』

AGI =『回避力』

INT =『魔法攻撃力、魔力回復力』

DEX=『命中力』

LUK =『運』


HPはゼロになっても死なないが気絶するらしい。逆に言うと、HPが高くても刃物で首を切られたりすると死んでしまうらしい。まぁVITが高ければ、それだけで刃物が肌を切れないということもあるそうだ。


MPはゼロになっても特に危険はないが、気分が悪くなったり、疲れが溜まりやすくなるらしい。


ちなみにLUKは80〜100で幸運。

100〜200で超幸運、300以上は運だけで何でも出来るようになる。


次に【スキル】というものがある。

スキルとは何かを習得すると得られるようだ。先天的な者もいれば、後天的な者もいるらしい。

その中でも【ユニークスキル】と言うものがある。これはその人にしか出来ない、習得する事は不可能なスキルである。【ユニークスキル】は先天的なスキルであるため生まれつき持つ者しかいないらしい。


他にも【称号】と言うものもある。

これは何かを成し遂げると得られるものらしい。特に効果はない。



王女や兵士が泰斗達に配り出す。最後の者にカードが渡った。


「皆さん、ステータスカードを受け取りましたね?では、『ステータス』と念じて見て下さい」


ステータスカードの説明を王女から聞く。

周りはそわそわとして落ち着きがないようだ。

やはり、自分自身のステータスが気になるのだろう。

説明が終わったので、泰斗も『ステータス』と念じる。

そして、カードを見てみると…



名前:桐谷泰斗

種族:人族

性別:男

年齢:17

職業:


Lv.1

H P:51000/51000

M P:12000/12000


STR:21000

V I T:18000

A G I:18000

I N T:12000

DEX:16000

LUK :300


《スキル》

技能奪取スキルハント【ユニークスキル】

・超解析

・超隠蔽

・異世界言語翻訳【ユニークスキル】


《称号》

・異世界から来た者




えぇー、泰斗は口には出さず、心の中でそう叫んだ。


レベル1だよね、俺?

なんか色々ぶっ飛んでるわー

この世界の標準が高いの?

そこんとこ知りたいわー

しかもユニークスキル?異世界言語翻訳や他のはなんとなく分かるけど技能奪取スキルハントってなんだ?


そう考えていると頭の中に【技能奪取スキルハント】についての説明がついた。



技能奪取スキルハント

…相手のスキルを奪うことが出来るスキル。

但し、自分とのレベルの差が100以上の生物のスキルを奪うことは出来ない。




何このスキル、強すぎなんだけど…。

泰斗は自分のスキルやステータスの凄さに軽く驚いていた。

そして、一応他のスキルを見てみる。



超解析ちょうかいせき

…超隠蔽と対をなすスキル。

この世界のすべてを解析できる。

但し、超隠蔽を持つ者にはみれる範囲が限定される。



超隠蔽ちょういんぺい

…超解析と対をなすスキル。

自分のステータスを変えることが出来る。

但し、超解析を持つ者には効果がレベルによって変わる。




泰斗がそうやって自分のステータスを見ていると何処からか声が上がった。

どうやら凄いステータスをもった奴がいたらしい。

おそらく八神だろう…と泰斗はそう考えていると案の定、同級生に囲まれている八神祐介の姿が見えた。


「すげぇな、祐介。俺らの二倍はあるぜ」

「いいよなぁ、お前は主人公みたいなだな。

羨ましいぜ」

「さすが祐介くん。私達のリーダーよね」

「きゃあ、カッコいいー祐介くーん」

同級生達がみんなが揃いも揃って声を揃えて八神を称賛する。

男女問わず相変わらずの人気ぶりだな…

泰斗はそんな感想を持つ。

別に羨ましいわけじゃない。断じて違う。おそらくは…


泰斗がそう思い、少し落ち込む。

しかし、まぁいっかと開き直る。

案外ポジティブな性格をしている。


八神のステータスが高いというのを聞いて、他のみんなはどれくらいなのかな、と泰斗は疑問に思って『オープン』にしてあった八神のステータスカードを人垣の陰から覗いた。



名前:八神祐介

種族:人族

性別:男

年齢:17

職業:勇者


Lv.1

H P:1200/1200

M P:1500/1500


STR:900

V I T:1200

A G I:1100

I N T:800

DEX:600

LUK:90


《スキル》

・異世界言語翻訳【ユニークスキル】

・限界突破

・聖属性魔法Lv.1


《称号》

・異世界の勇者



なんか微妙…、と泰斗は思った。

しかし、それは大きな間違えだ。


確かに泰斗のステータスと比べると八神は虫ケラのようなものだ。

しかし、それは泰斗のステータスが化物じみているだけであって、この世界の人達と比べたら間違えなくトップクラスだ。

人族の中で一番強いとされるこの国の騎士団長はレベル68で人族の最高レベルは100とされている。

それにも関わらず、八神のステータスはその騎士団長とほとんど同じである。

これから成長することも考えると八神のステータスは人族最強になるだろう。


「いや〜、そんな事ないよ?みんなもレベルが上がれば僕なんてすぐに追い抜かれるよ」


照れたように頭を掻きながら、そんな謙遜をする八神。


(これがそんなに高いのかー

八神のステータスで最強クラスなら、俺のステータスはもはやバグキャラだな。

こんな化け物じみたステータス教えると面倒な事になりそうだし、誰にも教えないでおこう。目立ちたくないしな。

…というか、この国にも同級生も気遣うことなんてないんだし一人で旅に出ようかな。)


泰斗にとって、この国の人には義理もないし、八神達がいればいいだろう、と考えていた。

泰斗は今後について考える。




一方で、…

先ほどの八神のステータスを見て驚いている王や王女、兵士達。レベル1の若者がとんでもないステータスなのだから無理もない。

それに自分達の国で最強を誇る騎士団長とほとんど同じステータスなのだから尚更だ。

異なるのは経験と度胸だけである。

それさえ積んでしまえば、泰斗はとんでもなく強くなる。

王達はそう考え、今後の育成方法を考える。


「おぉー、流石勇者殿だ。どの方も素晴らしいが祐介殿は飛び抜けて優秀であるな」

「流石勇者様ですな。そのレベルでこれほどのステータスとは」


王や大臣達はみんなを、特に八神に興味や関心を持つ。


「さすが祐介様、素晴らしいですわ。貴方様は私の勇者様ですわ。私と結婚いたしませんか?」


そう言って王女は八神に抱きつく。

八神は突然のことに驚き、恥ずかしそうにしている。しかしやはり美少女が抱き付いてきたからだろうか、嬉しそうにしている。

王女のこの行為に女子は妬み、男子は羨む。


「僕はこの世界の人間ではないし、元の世界に帰ろうとしているのでそれは出来ません。

しかし、心変わりがするかもしれないので保留というのはダメですか?」

「いえ、確かにその通りでしたわ。私は勇者様が、祐介様が好きになってしまいましたわ。今後アピールしていくので覚悟してくださいませ」


そう言って王女は八神にウインクする。


泰斗はと言うと、このようなシーンを見ようともしないで腹減ったから飯食いたいなぁ…とまたもや的外れな事を考えていた。









泰斗達がこの世界ガイアに来て一週間が経った。


ちなみにこの世界ガイアの一日の時間経過も地球と同じであった。

一週間は七日間だが、一年は360日と若干違う点もあったが概ね同じだ。


そして、この一週間の間、泰斗達は戦闘訓練を主に行ながら、ガイアの知識を学ばされた。

具体的に言うと魔法の適性がある者は宮廷魔法師に習い、剣に適性がある者は騎士団の者達に、その他弓兵や鍛治師など人それぞれに習うような形式をとった。

泰斗はというと、【超隠蔽】でステータスを誤魔化し、魔法に適性があることにし、魔法を学んだ。


特に泰斗はそろそろ旅立とうとしていたので人一倍知識を深めていった。

暇があれば国の図書館に行ったり、自分なりに魔法や魔物の研究をしたりしていた。


ここ一週間で泰斗が特に熱心に学んだことは魔物についてだ。


魔物とはその名の通り、魔力を持った生き物のことである。

魔物には沢山の種類がいて、強さもばらばらだ。

強さはEランク〜SSランクまでの魔物がいて、強ければ強いほど知力が高く、中には人の言語を喋る魔物もいるらしい。


何故泰斗が魔物を調べていたかと言うと【技能奪取スキルハント】を使うチャンス、と考えたからである。









〜ステータスカードを見た日の夜〜



技能奪取スキルハント】の説明には人ではなく生き物、と書いている。

このことに泰斗はある仮説をたてた。

もしかしたら魔物から奪えるのではないかと思い、夜中こっそりと城から抜け出して最初に召喚された森の中で魔物を探すと全長一メートルくらいのウサギがいた。

ウサギの名前は【ビッグラビット】という何とも捻りのない名前をしている魔物で、ランクはE。

これはチャンスと思い、泰斗は後ろからこっそり忍び寄ってまず、【超解析】を使ってステータスを確かめる。

すると、基本ステータスは雑魚だったのでなんなく倒せると思った。

そして、《スキル》を見てみると、何やらスキルがあることに気付いた。

すかさず【技能奪取スキルハント】を発動した。

そして攻撃されないうちに止めを刺した。


生き物を殺すという行為を初めてしたが、泰斗は何にも感じなかった。

それは相手が魔物ということだからなのだろうか。

それとも自分には殺生に何も感じないのだろうか。


泰斗には人を殺した経験があった。

正当防衛だったが当時の泰斗は大きく傷ついた。

それは小学生の頃の話で、家に帰ると親が二人とも倒れていた。

両親の周りは血で赤く染まっており、小学生の泰斗でも死んでいることはわかった。

その近くには拳銃を持っている男が立っていて、泰斗に襲いかかる。

泰斗は頭が真っ白になって、男に飛びかかり、拳銃を奪い、相手の頭を撃った。

その銃声のせいか、少しすると警察が来て泰斗は保護された。

そんな事があって泰斗は小学校を何日か休んでいた。

そんな時、幼馴染みの女の子が家に来て泰斗を一生懸命励ましてくれたのを思い出す。


そんな出来事があったのを懐かしんでいると周りに魔物が寄ってきたのでとりあえず逃げる。

泰斗のステータス的に逃げれば追ってこれるものは殆どいない。

魔物との距離がひらき、落ち着いて自分のステータスを見ると《スキル》に【空歩ステップ】というスキルがあったことに気付いた。



空歩ステップ

…空中で二歩まで歩くことができる。

使用回数 0/10回




泰斗は今までにはなかった使用回数なるものがあった。


使用回数は一日に使える数なのだろうか。

そんな疑問が浮かび上がる。


だが、新しいスキルを手に入れたので折角なので使ってみたい。

取り敢えず、森の中から少し出た平原のところで【空歩ステップ】を使ってみる。

すると、頭の中にまるで空を歩くイメージが浮かびあがったのでやってみる。


一歩目は成功、二回目は力を抜いてしまい失敗する。しかし、一回は成功できた。

泰斗はもう一度ステータスを見ると先程の使用回数というところが1/10回になっていた。泰斗は同じ事を繰り返して【空歩ステップ】を残り9回使用してみた。


すると、【空歩ステップ】とあったところが【天翔スカイウォーク】に変わっていた。










天翔スカイウォーク

…可能な限り空気を蹴って空を歩く事が出来る。

使用回数 ーーーーーーーーー










使用回数を満たすとスキルが進化、強化されるということだろうか?

きっとそうなのだろう、と予測する。

そして、今回のスキルには使用回数がない。

おそらく、この【天翔スカイウォーク】というのは最上級スキルなのだろう。


泰斗はスキルの研究が成功して、ホクホク顏で城へ戻っていった。


















と、こんな出来事があったので他の魔物にも試してみたい、と考えたのである。


あの森の中には【ビッグラビット】しかいなかった。レベルは大体5〜8。

その気になれば、泰斗のデコピンで殺せる。まぁ、やらないが。







泰斗は魔物の他にも魔法の研究もしていた。

魔法とは詠唱、あるいは無詠唱で魔法陣を作り、その魔法陣に魔力を込めることで初めて完成する。

魔法陣は予め書かれた紙、スペルカードと言う物を使うか、その場に杖や指などで描くという二通りの方法で作るしか方法はない。


魔法には四種類がある。

【属性魔法】

…火、水、木、雷、闇、光、など属性による魔法


【無属性魔法】

…転移やアイテムボックス、身体強化魔法など属性ではない魔法


【付与魔法】

…武器や物に魔法を掛けて魔法具とする魔法


【ユニーク魔法】

…ユニークスキルと同じでその人だけの独自詠唱で行う魔法


これらの中で泰斗が注目したのが【無属性魔法】だった。

泰斗はステータス的に魔法よりも物理攻撃の方が強いし、本人もその方が性にあっている。


まず、泰斗は身体強化魔法に注目した。

そもそも身体強化魔法は、本来後衛である魔法師が前衛である剣士や戦士にかける魔法であって魔法師自身はあまり使わない。

魔法師が使ったところであまり意味がないからだ。


身体強化魔法の効果はその名の通り、身体能力の向上だ。

その向上は自分の身体能力に比例する。

つまり身体能力が低い人ほどその効果は薄くなっていくが、身体能力が高い人が使うと効果は絶大になるというわけだ。

よって、身体能力がもはや化物の泰斗がこの魔法を使うとおそらく神にでも勝てるかもしれない。


しかし、この魔法にも弱点がある。

いや、この魔法だけではない。

魔法は魔法陣を使う。

故に時間がかかるのだ。

急な戦闘にあうと使う暇がない。

これが身体強化魔法が闘いにあまり使われない理由でもあった。


泰斗はこの時間の短縮を課題に研究した。

そして遂にその成果が出た。

その方法は付与魔法である。

身体強化魔法の魔法陣を刻んだ服やアクセサリーを身につけることで魔力を込めるだけで身体強化することが可能となった。


これは考えてみると単純だったことに泰斗は落ち込む。

何日も時間をかけて研究したのがかえって仇となった。

しかし、これで戦闘スタイルが確立できた。

戦闘になっても困らない。

あとはもう旅立つだけだ。







夜になって、空が一面真っ黒に染まる。

黒い一面に光っている小さな星を見ると今でも地球を思い出す。

しかし、未練はない。

この異世界で生きていくと決めたのだから。



『旅に出ます。探さないでください。

今までの一週間のお世話ありがとうございます。その分のお代はお返しします。

では、さようなら』


泰斗はそう書いた置き手紙と倒した魔物を売った売ったお金をおいて部屋を去った。













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