五~フランシスの書簡~
親愛なるクリスティへ
小隊長に着任して三日。身の回りの整理も終わり、ようやく落ち着いてきたので筆を取りました。
こちらでは、毎日雪が降っています。ハンターさん――隊員の曹長さんです――が言うには、もうすぐ本格的に雪が積もるのだとか。シラーズはどんな様子ですか?
さて、着任して早々起こった出来事を教えます。
僕は、熊と闘いました。まさか、こんなことになるとは想像もしていなくて、自分でもビックリでした。とても大きくて強い熊で、危ないところでしたが、ハンターさんたちの助けもあり、なんとか斃すことができました。竜ほどじゃなかったにしても、正直怖かったです。
熊を倒した記念にと、その熊の牙を一本もらいました。どうしようかと悩んだけど、結局ペンダントにしてテイル・ドロップと一緒に首から下げることにしました。
それから、村の人に熊の肝を食べさせてもらいました。身体にいいとのことですが、すごい味でした。正直二度と食べたくないと思いました。
村の人たちは気さくでいい人ばかりです。僕の就任祝いも、盛大にやってくれました。まだここへ来て三日目ですが、顔を合わせればみんな挨拶をしてくれますし、駐在所に差し入れをしてくれたりもします。はじめは自信がなかったけど、うまくやっていけそうな気がします。
小隊のメンバーは二人です。さっき書いたハンターさんは、東方遠征にも言ったことがあるというベテランで、頼りになる人です。もう一人のアントニーさんは、すごく真面目な人。堅苦しいのはやめてくれ、と頼んでも、まるで聞いてくれません。そこが、彼のいいところでもあるんだろうけど。あと、炊事洗濯の手伝いをしてくれる、ドロシーって女の子がいます。とても料理上手な子で、毎日食事が楽しみです。
手紙を書くのは初めてなので、なんだかとりとめのない文になってしまいました。今日のところはこれで筆を置きます。部隊のみんなにもよろしく伝えてください。それでは、またすぐに手紙を送ります。
追伸
スオウさんに習った格闘術がなかったら、熊を倒せなかったでしょう。スオウさんにそう伝えておいてください。




