僕の寝込みを襲わないで!
「れんくん…とおくにいっちゃうってほんとー?」
「うん…」
「もうあえないの?れんくんともうあえないの?」
「そんなことないよ!けど…けど…」
「あいにいく!れんくんにあいにいくから!」
「でも…きっと、とおいよ?」
「かんけいないよ!れんくんのためならきにしないもん!」
「ほんとに…?」
「うん!れんくんだいすきだもん!だからいまはすごくかなしいけど…ぜったいおよめさんになりにいくからね!」
「うん…!ぼくもまってるね!」
「ほんとに!?………のことおよめさんにしてくれるの!?」
「うん!僕も………ちゃんのことすきだから!」
「うれしい…。やくそくだよ?れんくん」
「うん…やくそくだよ!」
「れんくん、げんきでね…?ぜったい…ぜったいおよめさんになりにいくからね!」
ん…帰ってから寝ちゃったかな…?それに、なんだか夢を見ていた気がする…あれは…僕が父さんに引き取られて引っ越す時…だったかな…?
でも相手の女の子は…誰だったっけ…思い出せない…。
に、してもさっきから胸元がちょっと寒い…あれ、制服着たままだったような気がしたんだけど…
「むふ…むふふ…蓮君のお着替え…むふふ…あ、いけない、またよだれが…」
「っ!?姉さん!?」
「あ、蓮君!おはよー!」
目を開けると姉さんが僕の上に乗ってブレザーとワイシャツを脱がしていた!だからちょっと寒かったのか!
「ちょ、ちょっと姉さん!?何してるの!?」
「えーと…ほら、蓮君制服着たまま寝ちゃってたでしょ?だから脱がしてあげようと思って!」
「よだれ垂らしながら言うセリフじゃないよ姉さん!最近よだれ垂らしまくりじゃないか、はしたない!」
「これは蓮君への愛が高まると出てくるほら…男の子でもあるでしょ?カウパ…」
「絶対違うでしょ!?ただの言い訳に下ネタ使わないでよ!?いい加減つっこみきれないよ!」
「もー、蓮君はしょうがないなー…」
そう言ってようやく上からどいてくれる姉さん。はぁ…ビックリした…。
「もうすぐご飯だってよ?蓮君」
「あ、そうなんだ…それで起こしにきてくれたの?」
「形上はね!」
「いらんことぶっちゃけないでよ!?」
「だってだってー!お姉ちゃんの気持ちもわかってよー!」
「うっ…わ、わかりません」
もしかしたら柚希のこともあって姉さんは更に積極的になるかもしれない…とは考えたけど…まさか寝込みを襲うとは…今までそんなことなかったのになぁ…。
「じゃあほら!ご飯行く前にいつものしよ?」
「えっ…?いつものって?」
なんだろう、いつものって…人生で初の出来事なんだけど…。
「起きてからお姉ちゃんへの挨拶は?」
「えと…おはよう?」
「違うでしょ?」
「え!?違うの!?」
「いってきますのチューはどうしたの?」
「一緒にご飯食べるんじゃなかったの!?一緒に行こうよ姉さん!」
どうしたの?じゃないよ全く…まるっきり関係ないじゃないか…。
「ふえぇーん、蓮君が冷たいー…」
「うっ…冷たくなんかないし…」
泣き真似とわかりつつも無下に出来ない…姉さんずるいよなぁ…。
「ふえぇーん…」
「も、もう!僕が悪かったから!ほら行こう?ご飯冷めちゃうよ?」
「むふ…隙あり!」
「んっ!?」
いきなり抱きついてキスをしてくる姉さん…あぁもう…どうして僕はこう甘いんだろう…。
「むふふふふ、蓮君ごちそうさま!」
「そのごちそうさまってのもやめてよ!?」
「さ、ほら行こ行こ!ご飯冷めちゃうよ?」
「華麗にスルー!?…もう突っ込むのも疲れちゃったよ…」
姉さんと一緒に階段を降りる。あ、いい匂いがするなぁ。いや、姉さんのことじゃなくてね?
「あら、蓮ちゃん起こしてきてくれたのね?ありがとう。もうすぐ出来るからねー」
どうやらまだ出来あがってはいなかったようだ、姉さんさっき冷めちゃうって言ったよね!?いや、でも僕を起こすためだったのかな?まぁいいか…とりあえず二人でリビングのソファーへ移動する。
「蓮君、ご飯出来るまでイチャイチャしよっ!」
「だから姉弟でイチャイチャっておかしいから!柚希にも言われたでしょ!?」
「むー…柚希ちゃんの名前を出したな蓮君…」
「うっ…」
恨めしそうに僕を見てくる姉さん…そんなにおかしなこと言ったかな…?
「それに蓮君、よく考えて?お姉ちゃんとの関係を否定するっていうことは同時に柚希ちゃんのものになっちゃうってことなんだよ!?」
「そ、そこまで大袈裟な話じゃないってば!母さんも何か言ってやってよぉ!」
「あら、私は梓と蓮ちゃんお似合いだと思うわよ?自慢じゃないけど梓は可愛い娘だし蓮ちゃん何が不満ー?」
「不満とかじゃなくて姉弟なんだってば!何で母さん肯定派なの!?」
「蓮くーん!」
「あぁちょっと!いきなり抱きつかないでってば!?」
毎回思うことなんだけど姉さんに抱きつかれるといつもその…胸が…!
「ほら、前から仲良しじゃない。微笑ましいわね。うふふ」
「そういう問題じゃなくてー!」
「蓮君蓮くーん!お姉ちゃんと…ハァハァ…!」.
「ハァハァしないでっていっつも言ってるじゃないか!?」
「お姉ちゃんもう…!我慢出来ないかも…!蓮君チューしよう!」
「誰かー!うちの姉を止めてー!」
大分危ない目をし始めた姉さん…!キスを許してしまえばどこまでいくかわからない!断固阻止!
「蓮君が言葉でしか抵抗出来ないのお姉ちゃん知ってるんだから!」
「そういうのは口に出して言わないでよ!?恥ずかしいってば!」
「ね…?ほら…チュー…」
「ちょ、ちょっと姉さん…本気なんっ…!」
言葉の途中で口を塞がれる…!いつもだったらここまでしてこないのに!やっぱり柚希の存在もあるから!?
「んー…んふふ…蓮きゅーん…」
「んっ!?んーーー!」
また僕の唇を舐めつつゆっくり舌を入れてこようとする姉さん!だ、だからそれはやりすぎなんだってば!僕は歯を食いしばってどうにか阻止する!
「んー…?んふぅ…」
「…っ!」
舌を入れられないとわかるや否や僕の歯茎や唇を舐めだす姉さん…!そういうジワジワ来るのは反則だ…!
「んふふー…れんきゅん…しゅきぃ…!」
「んんんぅぅぅ!?」
とうとう姉さんの侵入を許してしまう…!あ、あんなのずるいよ…!
「あふ…れんきゅん…れんきゅん…!」
「姉さ…もうんっ…やめ…」
一回侵入を許してしまうと姉さんの動きは激しくなる…!こ、このままだと…!
「まだぁ…もっとぉ…もっとぉ…」
「姉さ…っ…もう…僕…っ…」
抵抗する気がなくなって全てを任せたくなってしまう衝動に駆られる…ダメだとわかりつつも抗えない…
「はーい、そこまで。ご飯出来たわよー」
「っ!母さん!」
僕は目を輝かせて母さんを見る!危なかった!本当に危なかった!
「むぅ…もうちょっとだったのに…」
「そんな顔しなーいのっ。これでも待ってあげたんだからねっ?」
「でーもー!でもでもー!むー!」
顔を膨らませている姉さん…もうちょっとで一体なんだったというのか…!
「はいはい、続きはお風呂上りにでもなさい?ちゃんと扉は閉めるのよ?出来れば鍵もね?そしたらお母さんも言い訳できるし。ふふ」
「親公認がこんなにも心強い…!蓮君!今日お姉ちゃん蓮君と一緒に寝るからね!」
「何言ってるの!?ダメに決まってるよ!!!」
それこそ一線を越えかねない!ダメに決まってる!
「さーほら、いただきますしましょう?お父さんは帰ってくるまでもうちょっとかかるみたいだから先に食べちゃいましょう」
「そうなんだー、お父さん今日も遅いんだねー…」
「…うん、仕方ないよ。いただきますしよう?」
「「「いただきまーす」」」
父さんの仕事は普通のサラリーマンだ。ただ、今結構重要なプロジェクトがあるらしくて残業が多い。ちょっと前までは夕飯前には帰ってきてたんだけどね。
ちょっと寂しいなと思いつつも母さんと姉さんと楽しく談笑しながら食べた夕飯だった。