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僕の寿命を縮めないで!

このお話はフィクションです。

よくあるお話です。自己満です。

こんな展開が自分にもあると夢見ていました。



叶わぬ夢でした。





僕の名前は東雲 蓮。ごく普通の高校二年生です。もちろん、ごく普通と言ったところで「普通」って言葉には個人差があるだろうし抽象的でわかりづらいと思う。だから僕は普通とは「波乱がないこと」だと勝手に定義付けている。


そう、僕の人生には波乱がない。それは僕自身が比較的大人しい性格をしているというのもあるし、あまり目立たない行動をするように心がけているというのもあるだろう。


…うん、ここまでが一年前までの話。でも今の僕の生活は………


「なになにー?蓮君なにしてるのー?」

「うわっ!姉さん!だから急に抱きつかないでってば!」


…そう、僕の生活は姉が来てから急変してしまった。





僕は元々一人っ子だ。両親からはかなりの愛情を注いでもらったと思う。特に母親からの愛情は、最初はとても嬉しかったのだが少々いきすぎている部分もあるのではないかと考えたほどだ。


そしてそれが原因で僕の両親は離婚してしまった。聞いた話によるとやはり母親の僕への愛情の注ぎ方が異常とも思える程でそれに嫉妬した父さんが別れを告げたそうだ…。


僕は結局父さんに引き取られた。やはり金銭的な問題が大きかったのだろう。しかし、そんな父さんが僕に優しくしてくれるはずもなく、何不自由ない生活を送らせてくれているものの、親子の絆と呼べるものはなかった…。


それでも僕は父さんに感謝している。たった一人の肉親であるし、なんだかんだきちんと育ててくれているのだ。割と引っ込み思案な性格に育ってしまったのも何か問題を起こして父さんに迷惑をかけたくなかったからだ。


そして中学生から高校生にあがる時、父さんから再婚の話を聞かされた。


物心がついて初めて父さんの笑顔を見た。とても幸せそうな顔だった。かつて僕の母親にその笑顔を向けていたのだと考えるとひどく胸が痛む…。


僕がその幸せを壊したのだと………。





そして向こうにも連れ子がいるという話を聞かされた。僕より歳が一つ上の女の子だそうだ。


それが梓。僕の姉さんとなる女性だった。

「よろしくね、蓮君」

満面の笑顔で挨拶されて僕はとても緊張した。何故なら梓という女性…姉さんは僕が見てきた中で群を抜いて可愛い女性だったからだ。


「よ、よろしくお願…!…します」


…しまった。緊張しすぎて変な調子になってしまった…すごく恥ずかしい…。それでも姉さんは、はにかみながら私もすごく緊張してるんだよ、と言ってくれた。


それからは四人での生活が始まった。結論から言うと僕は一向に慣れなかった。今まで父さんと二人で暮らしてきたため女性に全くといっていいほど免疫がないのだ。


割とお構いなしに接して来る姉さんに僕はドキドキしっぱなしだった。しかし僕のそんな様子を微笑ましく見守ってくれる父さんに僕は安心した…前の母さんに未練がないワケじゃあないけれども、再婚してくれてよかったと思った。


そんな生活が一年続いたのだけど…


続いたの…だけど…





「どしたのー?蓮君ー、なんか考え込んでるー?ほれほれ」

「ちょ、ちょっと!やりすぎだってば!」


ここぞとばかりに二つの膨らみを押し付けてくる姉さん…!


そう…姉さんのスキンシップは少々いきすぎている部分がある…!


「ん〜?そんなこと言いつつもドキドキしてるね…?蓮きゅ〜ん…チュ〜…」

「ダ、ダメダメダメダメ!おかしいおかしい!」


目を閉じて唇を寄せてくる姉さん…!慌てて体を引き離すものの…


「もうーっ、今日もダメー…?蓮君はいつになったらお姉ちゃんとチューしてくれるのかな?」

「いつになったらって!いつになったってダメだよ!姉弟なんだから!…っていうか、その………いっつも不意を突いたりとか強引にするじゃないか…」


そう、今回はどうにか防げたものの、こういった展開は初めてではない。更に、学校でも同じ調子だから周りの視線が痛いの何の…


「むふふー、だぁって蓮きゅん可愛いんだもん…いっつもお姉ちゃんがくっついたら顔真っ赤にして恥ずかしがっちゃって…そんな可愛い蓮きゅんを間近で見ちゃった日にはもう、お姉ちゃんは…お姉ちゃんはぁ…!」

「ね、姉さん?ちょ、ちょっと落ち着いて!よだれ垂れてるよ!?はしたないよ!?」


そして毎回暴走気味になる…!こう毎回だとこれが素なのでは?と思ってしまうほどだ…!


「そんなことより蓮君…!」

「な、なに?」

「…もう一回いい…?」

「ダメに決まってるでしょ!?姉弟なんだから!?」

「そんなこと言わずに…ほら…ハァハァ…」

「ハァハァしないでよ!?」

「もうー…しょうがないなぁ…」

「しょうがないのはどっちだよ、姉さん…」


毎回我慢する僕の身にもなって欲しい…だけど僕の本当の気持ちを姉さんに話すワケにはいかない…

僕だって姉さんのこと好きだけどそれを伝えてしまうと、それこそ姉さんは自重しなくなるだろう…今以上に親密な関係になろうとして…なろうとして…


「…?蓮君?蓮くーん…?」

「………」

「………チャンスかな…?」


今以上ってことは…いや、でも僕の考えすぎに違いない…!ね、姉さんに限ってそこまでの関係は望んでいないはずだ!う、うん…僕の考えすぎ…そうだよ…うん、ちょっと落ち着…


「んっ…」

「っ!?!?!?」


気が付くと僕に唇を重ねている姉さん!!!ちょ、ちょっと!どうしてこうなった!?


「んぅー………んふっ…れる…」

「…っ!?ぷぁっ!ね、姉さ…!!!また舌入れてこようとしたでしょ!?!?」

「はふぅ…蓮君ごちそうさま…」


僕の前で合掌する姉さん。い、いやいやいや!


「ご、ごちそうさまじゃなくて!キスだけでも問題なのに、ま、毎回言ってるじゃないか…!」

「んー…まぁまぁ…もう一回…ね…?」

「だぁーっ!!!ダメだって言ってるじゃないかぁーっ!!!」


そう…僕の姉は自重しない…!





「いってきまーす」

「いってきまーす!さ、蓮君、いこいこ!」

「腕組むのもおかしいって!!!普通に行こうよ!?」

「そんなこと言ってー…本当は嬉しいけど恥ずかしがってるだけって、お姉ちゃん知ってるんだからねっ!?」

「何でちょっと問い詰め口調なの!?」


言ってること自体は間違ってないのでそこを否定出来ないのがいたい…。やっぱりわかっててやってるのか…。


「むー…蓮君はお姉ちゃんとラブラブしたくないのかなっ?」

「姉弟なんだからラブラブするのはおかしいことなのっ。姉さんはもうちょっとそこんところを…」

「蓮君。今から大事なことを伝えるよ。よく聞いて」

「な、何…?」


いつになく真剣な顔をする姉さん。な、何かな…。


「お姉ちゃんは蓮君と本気で結ばれる気でいます」

「あー…はいはい…いつものくだりね…」

「ついでに言うと蓮君は俺の嫁」

「どこでそんな言葉仕入れてきたのさ!?」

「とにかくお姉ちゃんは蓮君が大好きなんだよっ?」

「うっ…そんな顔は卑怯だ…!」


ちょっと照れたような笑顔でそんなことを言う姉さん…!か、可愛すぎる…!で、でもでも!


「だから…ね…?蓮君………いい…?」

「あ…ぅ…」


登校中お構いなしに僕の頬に手を添えて火照ったような表情で顔を寄せてくる姉さん…あぁ…ダメなのにダメなのに…!


「蓮君…」

「ね、姉さ…」

「相変わらず、ところお構いなしね」

「っ!?」


冷ややかな声が後ろから聞こえた!こ、この声は…!


「柚希ちゃん!!!もー!いいところだったのにぃー!」

「ゆ、柚希…えっと…おはよう…?」

「おはよう、朝から近親相姦?お盛んね」


このクールな子は柚希。僕のクラスメイトだ。登校中にちょこちょこ会って何気ない話をするようになって今に至る一年の時からの友達だ。もちろん登校する時、僕は姉さんと一緒なため姉さんとも面識がある。


「近親相姦…!あはぁ…なんて背徳的な言葉…!蓮君!お姉ちゃんドキドキしちゃう…!」

「だからまたよだれ垂れてるってば姉さん!っていうか言ってること軽く変態だよ!?」

「蓮、いつも疑問に思うのだけどあなたには慣れというものがないのかしら?」

「そんな…!蓮君、早くもマンネリなの!?お姉ちゃんもっと頑張るからね!」

「い、いやいやいやいや!マンネリだなんて誰も言ってないじゃないか!」

「マンネリって言葉を使われることには突っ込まないのね?」

「突っ込み所が多すぎて困ってるんだってば!」




「ねえ蓮、前から気になっていたのだけど。聞いてもいいかしら?」

「ん?なに?」


登校してから姉さんと別れ、朝の教室。柚希は席は離れているものの朝はこうやって僕のところまで来て話をしに来る。これももう日常茶飯事だなぁ…。


「あなたは梓さんとどういう関係になりたいのかしら?」

「どういう関係って…どういう意味?」

「そうね…私が見たところ…いえ、私だけじゃなく、梓さんはあなたにかなりの溺愛っぷりを見せているわ。それはあなたもわかっているでしょう?」

「ま、まぁ…うん…」


確かにあからさまという言葉がよく似合う…それくらい姉さんの時と場所を考えない能力は高いのだ。


「この学校…いえ、この学校だけに収まらず梓さんに好意を抱いている男子は少なからずいると思うわ。そしてあなたは弟。まずこの状況をどう思っているのかしら?」

「えっと…やっぱり姉さんってモテるんだね…」

「そんなことも知らなかったというの?」

「…ま、まぁ…いや、知らなかったというよりも…」

「認めたくなかったのね?」

「う…そうだね…」

「これはあくまで私の憶測に過ぎないのだけど、梓さんはきっと多くの男子からアプローチを受けているわ」

「え…」


そんな話、姉さんから聞いたこともないぞ…!ホ、ホントにそうなのか!?


「驚いているようだけどこの話は梓さんに直接聞いたわけではないし、私の憶測だと最初に話したわよね?」

「あ、う、うん…でも…」

「…で、それを踏まえた上でもう一度聞くわよ?あなたは梓さんとどういう関係になりたいのかしら?」

「…どういう関係って言われても…僕達は姉弟だし…」

「じゃあ梓さんが他の男と付き合っても問題ないのね?」

「そ、それは嫌だ…!」

「でも蓮は梓さんと特別な関係…そうね、恋人同士になる気はないのでしょう?」

「………」

「…ふふ」

「…?」


今…笑った…?僕の聞き間違えかな…?


「さあ、東雲 蓮は…この状況をどうするのかしら?」

「どうするって言われても…どうも出来ないよ…」

「そう、他の男に姉を取られるのを黙って見ているのね。よくわかったわ」

「そ、そういうワケじゃないけど…!ないけども…」


そんなこと急に言われても僕は…どうしたらいいかわからないよ…


「…ねえ蓮」

「な、何…?」

「この話はここでお終い。最後にいいことを教えてあげるわ」

「いいこと…?」


そう言いつつ僕の席から離れていく柚希…そして去りざまに…


「今まで隠していたのだけど、私はあなたの困った顔を見るのが好きよ」

「え…?」

「それじゃあね」


僕の困った顔を見るのが好き…?どういうことだろう…。


「うぃ〜っす。よぉ、蓮。また梓さんとイチャイチャラブラブしながら登校してたそうじゃねぇか。羨ましいねぇ〜全く!」

「あ、亮太…」


登校してきた亮太が話しかけて来る。亮太も一年の時からの付き合いで、あまり友達が多くない僕に話しかけてくれる数少ない親友で僕の前の席だ。


「…?どうした?なんかあほみたいな面して」

「あ、あほみたいな面って!ひどいな!」

「まーそんなこたぁいいじゃねぇか。んで、どうしたんだよ?」

「亮太は僕の苦労っていうのを考えてくれたことはないの…?」

「男の苦労なんか興味ねぇなぁ。だけど親友の苦労とあれば考えないわけにはいかねぇな!」

「亮太…!君が親友でよかった!」

「だが、リア充は爆ぜろ」

「えええぇぇぇ!?」




「は〜い、じゃあホームルームを始めま〜す。まずは〜出席確認ね〜?」


このおっとりした口調で話す女性は僕のクラスの担任の上妻 恵先生だ。みんなからは恵ちゃんと呼ばれていたり母性溢れる体をしているせいもあって男子生徒には人気があるみたいだ。


「ん〜…皆さんいらっしゃいますねぇ〜うんうん、ゆうしゅ〜ゆうしゅ〜」


それにしても柚希の言ったことは本当なのだろうか…今日姉さんに聞いてみようかな…


「ん〜っとぉ…今日の連絡事項はぁ…あ、あれぇ〜…?えっとえっとぉ……ちょっと待ってくださいねぇ〜…?」


でも実際に姉さんがたくさんの男性から好かれていて…たくさんアプローチを受けていて…ん…?


「あ〜ん、どこいっちゃったのぉ〜…ふえぇ…」

「恵ちゃん頑張れー!」

「焦らない焦らないー!」


クラスメイトから声援を受けている先生…はは…


「うん!先生頑張るよぉ〜!みんなありがと〜!」

「恵ちゃーん、もう一限の先生来てるよ?」

「ふえええぇぇぇ!?」


…はは…




キンコンカンコーン


…ふぅ…やっとお昼休みだ…と、すると…あと数分もすれば姉さんが教室に来るだろうから先に廊下に出…


「蓮君!一緒にご飯食べよう!!!」

「は、速いよ姉さん!まだチャイム鳴ってから数秒しか経ってないよ!」

「だってお姉ちゃん…蓮君とご飯食べるのが楽しみで楽しみで仕方なかったんだよ!?」

「でもまだ先生すら教室出てないのに…」

「いいからいいから!いこっ!」

「わわっ!引っ張らないでってぇぇぇ!」


手を引っ張られて半ば無理矢理教室を連れ出される僕…


「蓮君、いつもの屋上でいいよね?」

「うん、っていっつもそうじゃないか」


そう、昼休みはいつも姉さんと二人で屋上で昼食をとっている。姉さん曰く誰にも邪魔されたくないのだそうだ。とか考えている間に屋上につく。


「ごっはんー、ごっはんー、れーんきゅんとごっはんー!」


鼻歌混じりにシートを広げる姉さん…屋上ってホントは出入り禁止らしいんだけど、一年間続けてきたせいでもう暗黙の了解みたいになっている。それは姉さんの成績が優秀であるというもの大きな要因だろう。そして同時に他の生徒はこの時間屋上に近付かない。


…それにしてもやっぱり今朝の柚希の話が気になる…


「ん?蓮君深刻そうな顔してるけどどうしたの?」

「あ、ううん、何でもないよ」

「悩み事ならお姉ちゃんが何でも聞いてあげるよ?」

「あはは…ありがとう。でも大丈夫だよ。さ、食べよう?」

「うん!さあ、今日のお弁当はどんなのだろうねー?」


そうやって談笑しながらご飯を食べる…でもやっぱり僕はまだ柚希の言葉が引っかかってて…


「ごちそうさまっ!今日もおいしかったね?」

「うん、ごちそうさま」

「さ、じゃあ蓮君のお悩み相談の時間だね?」

「え?そ、そんな悩みだなんて…」

「もう…素直じゃないなぁ…お姉ちゃんは蓮君のことなら何でもわかっちゃうんだよ?たとえ蓮君が必死に隠したくてもね?」

「あはは…敵わないね…」


自分のことを何でもわかってくれている…そんな人が一人いてくれる…そして話を聞いてくれるだけで、人間という生き物はすごく落ち着けるものだと思う。


「じゃあはい、こっちおいで?蓮君」

「え、で、でもそれは恥ずかし…」


自分の太ももをぽんぽん叩く姉さん…膝枕なんて恥ずかしいな…。


「さ、ほらここに座ってお姉ちゃんと向き合って?」

「膝枕じゃなかったの!?難易度高すぎるよ!!!」

「じゃあお姉ちゃんが蓮君のお膝に座る?それでもいいよ?」

「いやいやいやいや!そういう問題じゃなくて!予想の斜め上すぎるよ姉さん!!!」

「むー…じゃあほら、膝枕で我慢するから、ね?」

「姉さんの考え方にはビックリだよ…」


でも膝枕か…緊張するな…そんなに長くないスカートから見える足がすごく柔らかそうで…


「ほーらー、早くー。えいっ!」

「わわっ!」


両腕で頭を引っ張られる…そのまま僕の頭は姉さんの膝…実際は膝よりも体に近いんだけど…は、恥ずかしい…


「さ、何でも話して?ちゃんと聞くから…ね?」

「う、うん…」


小さく息を吐いて自分を落ち着かせる…


「実はその…これは聞いた話で…何の根拠もないんだけど…」

「うん」

「その…姉さんは…やっぱり弟の僕の目から見ても可愛くて…その…やっぱり他の男子からも人気があるんだろうなって思って…」

「………」

「だ、だからその…もし…もしだけど…姉さんが誰かに告白とかされて…姉さんがその人と…その…つ、付き合う…とか…その…」

「………」

「…その………僕は…えと…ちょっと…嫌だな…って思っちゃったり…」

「蓮君…」

「…そ、それだけだよっ、ごめんね、変な話で。僕みたいな弟が…姉さんが誰と付き合おうがホントは…関係…ないのにね…」

「ねぇ…蓮君…」

「な、なぁに…?」


今は姉さんの顔を見ることが出来ない…姉さんがどんな顔をしているのか知るのも怖いし…僕はきっと今…すごく泣きそうな顔をしているはずだ…そんな顔見せられない…。




「今朝お姉ちゃんが言ったことって…覚えてる?」

「えっと…」


僕の頭を撫でてくれながら尋ねてくる姉さん…今朝…どんなことを言っていたっけ…


「お姉ちゃんは…本気で蓮君を恋人にしたいんだよ?」

「あれはいつもの…」

「それは蓮君が勝手にそう思ってるだけだよ」

「…でも…」

「お姉ちゃんはいつだって本気だよ?どうやったらもっと好きになってくれるのかなーとか…いつだって蓮君のことだけ考えてるんだよ…?」

「…姉さん…」

「姉弟だからダメって蓮君はいつも言うけど…知ってるよね?蓮君とお姉ちゃんは…」

「………」

「だから…何の問題もないんだよ…?あとは蓮君の気持ちだけ…蓮君がお姉ちゃんを本気で愛してくれるなら…お姉ちゃんは…」

「姉さん…」


いつの間にか僕の顔は姉さんと向き合っている…姉さん…とても優しい顔をしてる…


「蓮君…ダメ…?」

「ん…恥ずかしいけど…いい…よ…?」


僕の顔に手を添えて聞いてくる姉さん…そんな姉さんが愛しくて…僕は…姉さんがしたいことなら何でも許そうって…そう思って目を閉じた…。


「蓮君…」

「姉さ………んっ…」


初めて同意の上でのキス…それでもやっぱりドキドキは止まらなくて…何秒続いてるのかすらわからなくなってきて…


「ぷぁっ…姉さ…長っ…」

「もっと………ね…?」

「んっ…!」


またしても塞がれる唇…自分の心臓の鼓動がすごいことになってる…


「蓮君…蓮君…もっとぉ…」

「姉…さっ…!…っ…!」


唇を舐められていると思った矢先に口の中に侵入してくる温かいもの…本能でそれが舌だと気付く…いつもなら入る手前でやめさせることも出来るけれど今はこの体勢、雰囲気が相まって容易に許してしまう…。


こんなことを考えている間にも姉さんの舌は僕の口の中の唾液を全て舐めとるように動いた後、舌を絡めてくる…




もう…止めることは出来ない…




それからどれだけの間、姉さんとキスをしていたのかわからない…でも口を離した時の姉さんの恍惚な表情…そして今自分達のした行為を考えるととてつもなく背徳的な気持ちになった…


「ねぇ…蓮君…」

「なぁ…に…?」

「…このまま…最後まで………しよ…?」


キンコンカンコーン


「っ…!」


予鈴が鳴った、ただそれだけなのにすごく我に返った気分だ。それと同時に体を起こす。


「あ…」

「ほ、ほら、予鈴鳴っちゃったし…い、行こう?姉さん」

「う、うん…」


そして片付けをしてから二人揃って出口に向かう…


この時の僕は気付かなかった…まさか見ている人がいただなんて…




そして午後の授業は全く耳に入らなかった。考えることは姉さんのことばかり。


とうとう…その…舌を入れるキスまで許してしまったこと…しかもそれが同意の上でしてしまったこと…


僕は後悔しているんだろうか…それとも余韻を楽しんでいるのだろうか…自分でも気持ちの整理がつかない…姉さんにどんな顔して会えばいいんだろう…きっと顔を合わせただけで僕は顔が真っ赤になってしまいそうだ…さぁ、どうしよう…。


キンコンカンコーン


…あ、授業終わっちゃった…何にもノートとってないや…。


まぁいいか…今度柚希にでも見せてもらおう…。


「蓮、話があるわ。ちょっと顔を貸しなさい」

「え…?でももうすぐ姉さんが…」

「それでは遅いの。早く」


柚希が唐突に話しかけてくる。でもその様子は鬼気迫る感じで…とてもじゃないけど断れる雰囲気ではなかった…。


「………」

「………」


二人とも無言のまま廊下を歩く…行き着いた先は…屋上…?


「単刀直入に言うわ。今日の昼休み、私はあなた達姉弟の行為を見ていたわ」

「えっ…!?」

「梓さんに膝枕をしてもらって…そしてあの様子からすると合意の上でしょう?あなた達はキスをしていた…違う?」

「………」

「それも普通の唇を重ねるだけのキスではなかった…そうよね?」

「えっと…」

「じゃあ梓さんの頭が貪るように動いていた理由を説明出来るかしら?あなたと顔を合わせた状態で…ね」


「っ…そこまで…見てたんだ…」


それなりに入り口から遠かったはずなんだけど…そこまで鮮明に言われると…。


「…で、あなたはこのまま近親相姦とたしなむつもりかしら?」

「近しっ…!そ、そんなそこまで考えてないよ!」

「そう…じゃあ蓮はどこまで梓さんと…いえ、姉弟という関係でありながら倫理的に間違った行為を続ける気かしら?」

「そんな…」

「…そろそろね…」

「え…?」


柚希がそう言った瞬間屋上の扉が勢いよく開いた。


「蓮君!」

「姉さん!」

「蓮」

「え…?んっ…!?」


何が起こったかわからなかった。柚希に呼ばれて振り向いて…気付いた時には柚希に抱き寄せられて…頭を押さえられて…口の中を温かいもので貪られている…そのことに気付くまで意識が飛んだような気分だった…。


「柚希…ちゃん…?…どうして…?」

「ぷはぁっ!ゆ、柚希!?お、お前…!」

「お二人に伝えておきます」




「私は東雲 蓮を愛しています」




最初からクライマックス。出落ちはノンノン。

ちょっぴりエッチな性描写。

まだまだ続きます。


こんな状況を自分も夢見………




叶わぬ夢でした。





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