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カルテに書けない よもやま話  作者: いのうげんてん
1章 医者も人間
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<3-2> 医者の仕事は肉体労働 - 死者への接吻

 こんなタイトルをつけますと、スリラーものか、はたまたメロドラマを連想しますが、話はまさしく医者の話し。


 ある夜、当直をしていますと、60歳ぐらいのおばさんが、救急車で運びこまれて来ました。顔をのぞきこむと、すでに息はなく瞳孔散大、まさに死に顔のてい。


「手遅れです」


 死亡を宣告しようとしましたら、付き添って来た娘さんとみえる小奇麗なお嬢さん、


「お母さん、死んじゃだめよ。先生助けて!」


 白衣にすがって叫ぶのです。


 娘さんが小奇麗だったからかどうかは別にして(←(^ω^)きっとそうだよ)、こうせがまれてはいやとは申せません。救急セットを準備する間もおしんで、やにわに患者さんの鼻をつまみ、あごをグイッと引き寄せると、マウスツーマウス人工呼吸を始めたのです。


 マウスツーマウスなどと書けば、なんの変哲もないのですが、実はこれが死者(正確には死亡宣告をしていませんので、心肺停止者)への接吻。私の口を患者さんの口に押しあて、息を吹き込む人工呼吸なのです。


 同時にもう1人の医者が心臓マッサージをします。


 グイッグイッと心臓を強く押すたびに、なにやらゲッゲッと液状物が患者さんの口からとび出してくるのです。それを口移しよろしく、飲み込みながらの人工呼吸。


 10分間ほど続けました。


 残念ながらその効なく蘇生はできませんでしたが、すんでのところで私もゲーッと吐いてしまうところでした。(←(^ω^) やってる最中は真剣勝負で気付きませんでした)


〈つづく〉


┌───────────────

│いのうげんてん作品      

│               

│①著作『神との対話』との対話

│ 《 あなたの人生を振り返る 》《 自分の真実を取り戻す 》

│②ノンフィクション-いのちの砦  

│ 《 ホスピスを造ろう 》

│③人生の意味論

│ 《 人生の意味について考えます 》

└───────────────




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