<12> 変わったお医者短編集
私の出会った「変なおじさん」ならぬ「変わったお医者」を、手短かに書いてみますね。
断っておきますが、ここにご登場なされる方は、ピンとキリの方たちです。ほとんどの方は、日夜診療にいそしむ普通のお医者さんだということを、くれぐれもお忘れなくね。
では始めますよ。覚悟はよろしいかな。(←(^ω^)おっかないね)
①眠りながら話す医者
不眠症に悩んだ私めからすると、うらやましい限りのお医者がいました。
すぐ寝てしまうのです。
今思えば、「睡眠時無呼吸症候群」(⇒豆知識)かなと思うのですが、話している最中に眠ってしまうのです。
しかも大切な会議のときもですよ。それを見てみんな呆気に取られています。
例えば医局の会議で、テーブルを囲んだソファに、6人ほどのメンバーが座ります。2メートルもないまさに目と鼻の先に、複数の他人がいるのです。
ところが人が話していても、少し長引くとすぐ寝てしまうのです。うとうとくらいなら誰しもありますが、誰が見ても分るくらいに、寝込むのです。
さすがに、自分が話している最中にはありませんでしたがね。(←(^ω^)あったら、化けものだよね)
話しているドクターも、その寝姿に見入ってしまい、話しを忘れてしまうのでした。
もっと面白いことは、普通の人だと、うとうとしている時に急に話しかけられたら、
「えーと、何でしたかね......」
わけが分からず、戸惑うものですよね。
ところがこの先生、ずっと起きていたかのように、普通にまともな返事をするのです。
これには、またまた驚きです。目をつむった聖徳太子かと思いましたよ。(←(^ω^)ああ、うらやましい)
②手術中に手を下ろした外科医
手術手技ひとつとっても、ところ変われば変わるものです。縛ってから切るか、切ってから縛るか、ところによって大いに違いがあるのです。
関東は縛ってから切る、関西は切ってから縛る、が多かったように思います。
私は、武者修行よろしく、関東でも関西でも手術をした経験がありますので、その違いがよく分かるのです。
手順の決まりがなぜ必要かというと、手術はチームワークが大切で、みんな同じ手技でやらないとスムーズに事は進まないのです。
切ろうと思って手を出しても、ハサミではなく糸が出てきたら、手術の調子が狂います。いちいち「これ違う、それそれ」などとやっていては、治るものも治りません。
関東でしか手術をしたことのない外科医が、関西に行ったり、その逆の場合、しばらくは手術手技が違って四苦八苦することが、ままあるのです。
それが高じて、手術中に腹を立てて、
「俺は降りる」
といって、手を下ろす(←手術をやめちゃう)医者がときにはいるのですよ。
実際に、怒って手術室から出ていってしまったこともあると、仲間の外科医がいっていました。(←(^ω^)麻酔で眠っていると、患者さんは分からないよね。ああ、恐ろしい)
でもご安心ください。執刀医も手術をやめちゃうってことは、まずありません。(←(^ω^)当たり前だよ)
③風呂で服を洗う医者
これはナースから聞いた話で、私がじかに見たことではありません。しかしその話しぶりから、嘘ではないようです。
病院の当直に来る医師が、当直中に電話で呼び出しても、出てまいりません。おかしいと思って当直室をたずねると、そこにはいないのです。
急用があるので院内を探してみると、風呂に入っていました。
ドアをノックして呼びかけると、ずぶ濡れの服を着たまま、風呂から顔を出したのです。
「どうしたんですか!?」
その姿に驚いてナースが聞くと、たまげたことに、服を着たまま風呂の湯船に入っていたというのです。
「風呂の中でこれを洗えば楽でいいよ」
平然とそういっていたそうです。(←(^ω^)うわあ、上手がいた)
〈つづく〉
豆知識
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が止まる病気です。
医学的には、10秒以上の気流停止(気道の空気の流れが止まった状態)を無呼吸とし、無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、若しくは1時間あたり5回以上あれば、睡眠時無呼吸です。
寝ている間の無呼吸に私たちはなかなか気付くことができないために、検査・治療を受けていない多くの潜在患者がいると推計されています。
この病気が深刻なのは、寝ている間に生じる無呼吸が、起きているときの私たちの活動に様々な影響を及ぼすことです。
昼間の耐えがたい眠気、抑うつ、集中力の低下など、日常生活に様々なリスクが生じる可能性があるのです。
(参照 http://659naoso.com/sas)
〈つづく〉
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