◇告知板◇ 6章 私の医療あり方論に <3-32> 病院寸話 《61. 身体拘束で解雇》 を追加しました
<3-32> 病院寸話(月例朝礼・会議などでの寸話)
《その61 身体拘束で解雇》
私は現在、認知症専門の精神科病院内科に勤務しています。
この病院には、「患者さんの身体拘束は絶対にしない」という病院の決まりがあります。
それは現在もなお完璧に実行されています。
病院オープン間もない頃に、一つの出来事がありました。
ある50代の患者さんが徘徊激しく、他人の病室を出入りしてしまいます。
それが昼も夜も続きます。
困り果てたスタッフが数人で、その患者さんを夜間、ベッドに拘束したのです。
その日いっしょに勤務していたスタッフが、それを内部告発しました。
オープン間もない頃なので、身体拘束は絶対にしないという決まりを、スタッフはゆるく考えていました。
その事実を知った事務局長は、行ったスタッフを個別に呼び出しました。
その事実を問いただしたのです。
一人のスタッフを除いて、それを認めて謝罪しました。
ところが一人だけは、やってないと嘘を言ったのです。
いっしょにやったスタッフたちの証言があったので、偽りであることは歴然としていました。
事務局長はそのスタッフに退職を勧告したのです。
「解雇」となると職歴に傷が付きますから、自ら退職するという形で、スタッフは辞めていきました。
「身体拘束は絶対にしない」という事務局長の強い信念は、「病院是」ともいえる職場意識を作りました。
以後、身体拘束を全く行わない方法を、みんなで試行錯誤し工夫したのです。
それぐらいの決意がないと、身体拘束は絶対にしないという決まりは、実現されません。かけ声だけに終わります。
ケースバイケースで考える、というようなあいまいな考えですと、易きに流れていってしまいます。
このオープン間もない時の出来事が、この病院の姿勢を決定づけたのでした。
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〈つづく〉
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│いのうげんてん作品
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│①著作『神との対話』との対話
│《 あなたの人生を振り返る 》《 自分の真実を取り戻す 》
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│②ノンフィクション-いのちの砦
│《 ホスピスを造ろう 》
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│③人生の意味論
│《 人生の意味について考えます 》
│
│④Summary of Conversations with God
│『神との対話』との対話 英訳版
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