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カルテに書けない よもやま話  作者: いのうげんてん
8章 なんちゃって診療録 (工事中!)
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<32-4> コロナ院内感染 その4 スタッフが倒れる

<32-4> コロナ院内感染 その4 スタッフが倒れる


5)スタッフが倒れる


挿絵(By みてみん)


 院内感染発症から5日目(2月3日)までに、第2病棟スタッフ24人中半数の12人がコロナに感染し、6日間の自宅待機となりました。スタッフの半数が欠勤となったのです。


 半数が欠勤となると、病棟は回らなくなります。特に当院には、介助が必要な人が多く、食事、身体介助に人手が要ります。半数が欠勤となった現場では、介助だけで手一杯という状況でした。


 冒頭の院長の言葉「スタッフはまず自分の身を守ること」は正解だったのです。


 当初、初期治療はしないのは無謀なことだと、私は思いました。数日してそれが妥当だと気づきました。スタッフが感染して次々に倒れていったからです。病棟崩壊寸前です。


 そこで他の病棟からスタッフの応援をもらいました。 当然のこと応援スタッフも、完全な缶詰状態となります。みんなが助け合って黙々と働いたのです。


 スタッフがどんどん倒れていくのを目の当たりにして、私はイベルメクチンの予防投与を院長に進言しました。


 イベルメクチンは日本では手に入らず、輸入業者を通して購入するしかありません。しかし世界中がコロナ感染で、航空便も滞っていました。注文しても1か月待ちになっていたのです。


 ところがです。


 私は、万が一に備えて、1年前から家族用に100錠ほど個人的にストックしていたのです。感染症専門の友人医師から、イベルメクチンの有効性を聞いていたからです。


 2月3日、それをスタッフ全員に、1人1錠(12mg)ずつ配布したのです。数に限りがあるので、1人1錠が精一杯でした。


 予防投与後、感染したスタッフは1人いたかいないかです。ただちょうどこの時期が、感染拡大の終焉しゅうえん時期と重なっていたのかも知れません。


 ちなみに、一般的にいわれる通常のイベルメクチン投与法は、濃厚接触時には1錠(12mg)を飲み、 その2日後にもう1錠飲みます。


 持続的な予防には、1錠(12mg)を飲み、 その2日後にもう1錠飲みます。さらにその1週間後から週に1錠を、予防を意図する期間中服用します。


 イベルメクチンの有効性については、コロナの発症当初(2020年)、世界で使われてその有効性が叫ばれていました。3月(2022年)に、そのコントロールスタディの結果が米医学誌に発表され、有意差はないとされています。そのスタディの結果についても色々議論があるところです。


6)感染中に3回目ワクチン


 感染爆発中の2月初旬に、自治体から連絡がありました。予防接種の3回目投与を始めるというのです。


 第2病棟はコロナ感染拡大の真っ只中でありましたので、どうするか迷いました。 色々話し合いました 。


 知人の感染症専門医に聞いてみると、コロナ感染と予防接種では、誘発される免疫メカニズムが違うので、「自分ならやる」と答えてくれました。


 高熱の出ている人を除いて、2月8日から全員に3回目接種を行いました。接種後に問題があった人は、おりませんでした。


7)後遺症にはリンデロン


 治療をやり終え時間も経ったのに、まさしく後遺症のように、食欲不振や元気さがいまいち回復しない人がいます。


 のらりくらりとした経過で、しゃんとしないのです。そういう人には、リンデロン2mgを投与してみました。するとすぐにしゃんとしたのです。


 点滴を打っていればボトルの中に、リンデロン注射薬を2mg入れます。食べられる人には、リンデロン経口薬2mgを内服投与します。


 4月末現在7人に投与し、全例で改善しています。


 著効例を1人上げます。


 81歳の男性Wさん(中等度認知症)は、1月27日に 39度の熱、軽い嗄声を認めました。その時にはまだコロナとは診断できていません(1月30日コロナ抗原プラスと判明)。


 ツムラ27番(麻黄湯)2包、カロナール3T、レバミピド3T、レボフロキサシン500mgを経口投与しました。風邪にしては重い症状でしたが、7日程して回復し、離床してホールのテーブルにつきました。


 日頃のWさんのADLは、しっかりと自立で歩行できます。病棟中央のホールから30メートルは離れている自室まで歩ける健脚の持ち主です。


 しかも歌が大好きで大声で歌い、食事も自立で食欲旺盛でした。


 ところがコロナ感染回復後、2週間たっても元気が戻りません。足元がおぼつかずスタッフが介助してもヨタヨタして歩けません。テーブル脇で、歌うこともなくうとうとしています。


 食事も介助が必要になりました。途中で手を止めてしまうのです。


 そこでリンデロン2mgを2月22日に経口投与しました。


 すると翌々日には、病棟端にある自分の部屋へ一人で歩いて行くことができるようになりました。


 歌も前と同じように、よく通る声で歌うようになり、食事も自分で、全量食べられるようになったのです。


 スタッフもこの効果に、「リンデロンマジック」だと驚いていました。


  1週間ほどリンデロンを続けると、元気すぎて困るとスタッフが言うので、2日毎に半減し、4日後に内服中止としました。その後も(4月末現在)、同じように元気に過ごしています。


〈つづく〉



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│いのうげんてん作品      

│               

│①著作『神との対話』との対話

│ 《 あなたの人生を振り返る 》《 自分の真実を取り戻す 》

│②ノンフィクション-いのちの砦  

│ 《 ホスピスを造ろう 》

│③人生の意味論

│ 《 人生の意味について考えます 》

│④Summary of Conversations with God

│ 『神との対話』との対話 英訳版

└───────────────


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