表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カルテに書けない よもやま話  作者: いのうげんてん
2章 医者もいろいろ
31/329

<7> 変わったお医者-断食した医者

 断食したお医者とは、何を隠そう私めのことでございます。


 学生時代、私は医学より宗教に熱心で、いちじは、医者をやめて、キリスト教の牧師になろうと思ったほどなのです。


 教会の牧師に相談すると、素質がないから医者になった方がいいとさとされ、あきらめたのです。(←(^ω^)その牧師は目利きだね)


 聖書には、イエスキリストのゲッセマネの祈りが出て来ます。ゲッセマネの園で、キリストが神に祈るくだりです。この後、キリストは十字架の道へと歩むのです。


 私も真似して小高い山頂で、徹夜祈祷をしてみました。返って来たのは、神の声ならぬ、蚊の大群だったのです。


「ああ、かゆい、かゆい」


 気が散って、お祈りどころではありません。


 宗教の素質無しと悟り、肩を落として山を下ったのでした。


 さらに聖書には、イエスキリストが40日の断食をしたと書いてあります。


 またもや、それをまねちゃったのです。


 40日では死んじゃいそうで怖いので、1週間にまけてもらいました。1週間断食を2度もやったのです。


 私のようにくいじの張った人間にとって、1週間何も口にしないのは、 ほんとうにつらいものです。


 歩くのに腹に力が入らず、あっちへふらふら、こっちへふらふら。しゃべっても、これまた呂律が回らず、ふがふがむにゃむにゃ。


 断食して2、3日しますと、頭がボーッとしてきて、私のような凡人には、悟りどころではなくなってしまいます。


 「人はパン無くして生きられない」「腹が減ったらいくさはできぬ」などと、逆に悟ってしまうのです。


 昔の偉い人は、ほんとうに断食で悟りを開いたのかなと、疑ったりもしました。(←(^ω^)凡人のくせして、2回もよくやったねえ)


 断食すると、見事に1日1kgずつ、体重が減っていきました。終了時には、56kgあった体重が50kgくらいになったのです。


 断食を終えた時は、はしたなくも、頭に浮かぶもの全部、食べまくってしまいました。まるで餓鬼のようです。


 気付いた時には、食道の真ん中あたりまで物が詰まってしまい、動くと出てきそうで、3時間ぐらい座ったままだったことを覚えています。


 腹の減り過ぎも大変ですが、その逆はもっと大変ということを、その時知りました。


 そんなこんなで、体重はたちまち60kgになってしまいました。まさにリバウンドです。


 断食の効なく、「悟り」にはほど遠いと悟った私は、今度は托鉢たくはつをして家々を回ったのです。(←(^ω^)こんな医者に診てもらうのも勇気がいるねえ)


 若かったとはいえ、なんとも無茶なことをしたものよと、医者になってから反省することしきりでした。(←(^ω^)トホホ)



〈つづく〉


┌───────────────

│いのうげんてん作品      

│               

│①著作『神との対話』との対話

│ 《 自分の真実を取り戻す 》

│②ノンフィクション-いのちの砦  

│ 《 ホスピスを造ろう 》

└───────────────



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ