<22> 医者の仕事は驚くことばかり-手術のやり方が違う その2 私の外科研修
その2 私の外科研修
私の外科研修は、こんなんでしたよ。
私は大学卒業後、精神科の大学院に入りました。2年ばかり精神科をやりましたが、ひょんなきっかけで外科に転科したのです。
外科から精神科に移る医者は、ままいます。肝炎をわずらって、精神科に変わった先輩がいました。外科は体力勝負だからです。
その逆はきわめて珍しいようで、「お前は変人だ」と先輩に誉められました。(←(^ω^)あきれているんだよ)
余談ですが、(←(^ω^)余談が多いね)
卒業間近になると、どの科に進むか、医学生はみんな考えます。
私の場合は、学生時代にハマったキリスト教を科学にしようと一念発起して、精神科を選びました。(←(^ω^)患者になった方がいいんじゃないの)
学友たちは、専門の3年、4年で色々な科を回りますから、その時の印象で自分の進む道を決めているようです。
時には先輩が、うちの科に来ないかと口入れします。
医者になってから専門の科を変更することも、時にあります。
医者のくせに病気になって体力が持たず、楽な科に変わるのです。外科には案外多いようです。
医者だって病気はします。
医者でない知人に、
「医者なのにカゼ引くんですね」
冗談ぽく言われたことがありますよ。
医者だってむろん病気はします。うんこもします。患者と違うのは、病気してもだいたいが自分で治せることくらいです。
性に合わなくて変更することも、ままあります。やってみなければ分からないから仕方ないですね。(←(^ω^)どの仕事も同じだね)
婦人科から外科に変わった先輩も、麻酔科から外科に移った医者仲間もいました。
なぜだか分かりませんが、解剖学から内科に転向した医者を二人知っています。二人とも治療には熱心でなかったように見えました。(←(^ω^)生きてる人は苦手なのかな)
話しを戻します。(←(^ω^)すじを忘れた人は前を見てね)
なので私は、大学の医局には入らず、市中の病院に素人外科医者として直に就職したのです。
きちんとした研修コースがあるわけもなく、 先輩から実地で手ほどきを受けました。
その駆け出し当時は、ヘタするとナースの方がじょうず、てなことが多々ありました。(←(^ω^)今でも、じゃないの)
ある時、足のすねに10センチほどの裂創(物にぶつけて裂けた創)を負った患者がやって来ました。
習いたての縫合手技を思い出しながら、局所麻酔を注射し、恐る恐る創を縫っていきました。
縫合の際に肝腎なことは、創縁がきちんと合っていることです。
縫い終わって、ゴム手袋を外すと、付き添ってたベテランナースが、何食わぬ顔して創縁をピンセットでそろえていたのです。
「わああ!ナースのが上手だ」(←(^ω^)駄目な外科医者)
お粗末な話ですいません。(-。-;)
新米医者にとって勉強は手術書頼みでした。
昔は今ほどに、ビデオやパソコンの動画がありません。
せいぜい、手技を描いた図解が載った手術書が、勉強のツールだったのです。
ところが手術書には、文字ばかりで、図解はわずかしか載っていません。
例えば胃の切除術の場合は、大きくいって、①周囲からの胃の遊離 ②胃の切断 ③胃の再建 の3つのプロセスで行われます。
手術書には、この手技1つに対して数枚の図解しか載っていませんから、単純な胃切除の場合には、5~10枚くらいの図解なのです。(⇒図)
(図)(出典:Google画像)
実際の手術は、2時間くらいかかります。なので、10枚ぽっきりの図解を見たからといって、手術ができるわけがないのです。
しかしそれしか勉強の手がありませんでした。
一番役立つ勉強法は、先輩たちの手術に立ち会うことです。場数を踏むことなのです。
実際の手術現場で、執刀医や前立ちの手さばきを見ながら、体で覚えていくものなのです。
私の外科の大先輩は、休暇日に大学に出向いては、有名教授の手術を見学していました。その手術手順の図解を自分でノートに描いて勉強していたのです。
内科の場合は少し違います。
内科は、診断と、それに基ずく薬の処方が治療のメインです。もちろん中心静脈栄養や試験穿刺などの手技はありますが、それらは、10回も行えば習得できてしまうものです。
あとは教科書を読みながら、先輩の技術を盗み見ながら覚えていけば、大体が身についていくものなのです。
私は精神科の次に外科になって、その次に内科になりましたので、それがよく分かるのです。(←(^ω^)要するに何でも屋なのだ。どうだい)
〈つづく〉
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│いのうげんてん作品
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│①著作『神との対話』との対話
│ 《 あなたの人生を振り返る 》《 自分の真実を取り戻す 》
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│②ノンフィクション-いのちの砦
│ 《 ホスピスを造ろう 》
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│③人生の意味論
│ 《 人生の意味について考えます 》
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│④Summary of Conversations with God
│ 『神との対話』との対話 英訳版
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