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カルテに書けない よもやま話  作者: いのうげんてん
   病院寸話(月例朝礼・会議などでの寸話)
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<3-28> 病院寸話《57. 市民を診ないで市民病院と言えますか》

<3-28> 病院寸話(月例朝礼・会議での寸話)


《その57 市民を診ないで市民病院と言えますか》


挿絵(By みてみん)


 近隣の市立病院から、糖尿病の女性(86歳)が転院してきました。


 認知症は軽度ですが、口が悪く、スタッフや他患(他の患者)に迷惑をかけるので、早々と退院させられたのです。


 悪く言えば、追い出されたのです。


 こちらに入院すると、認知症は確かに軽度です。問いかけにはきちんと答えられます。


 しかし、ホールにみんなといても、他患の悪口を言ったり、観察するどくその行動を笑ってののしります。


 それでみんなからは、うとまれていました。


 入院後、さして大きな問題はなく過ごしていましたが、1週間した頃、腹痛を強く訴えました。


 診察すると、右季肋下(みぞおちの右側辺り)に強い圧痛と筋性防御があります。何か異変がお腹の中で起きています。


 これは、「外科腹げかばら(^ω^)⇒専門用語?」で、多くが外科的処置の必要になるお腹です。


 場所からいって胆嚢を疑いました。つまり、胆嚢炎です。


 すぐ超音波検査をしますと、胆嚢は腫大し、中に胆泥と胆石が充満していました。


 そこで1週間前に入院していた市立病院に電話を入れました。


「急性胆嚢炎のために再入院させてほしい」


 そう依頼をしたのです。


 ところがです。


 先方は断ってきました。


 前に入院していた時問、題行動が多かったので、ブラックリストにのっていたのです。


 私はその時の救急担当医に電話をしました。


 若い声の女性医師(N)でした。


 彼女との電話問答が始まったのです。


N:その患者さんは、そちらの病院にずっと入院するという条件で移ったと思いますが……。


私:そうですが、胆石があるという話は聞いていません。


N:胆嚢炎は内科的に抗生剤をやれば治ると思います。そちらで治療して駄目なら送ってください。


私:私は外科をやっていたからそれはよく知っています。ただそういう場合も、緊急的な外科処置が必要になることもあるので、当院のような精神科病院でやるのは危険です。外科処置がすぐできるところで治療すべきです。


N:その人は、問題が多かった人なので、よそにまわしてくださいませんか。


私:この人はこの市の市民ですよ。1週間前にそちらの病院に入院していたんです。そんなことで貴院は市民の病院と言えるのでしょうか。


 私は、義憤にかられて声をあらげました。


N:…………。


 しばらく電話が途切れました。関係部署と相談していたのでしょう。


N:わかりました。救急外来の方に搬送してください。


 受け入れてくれたのです。


 すぐに救急車で搬送しました。


 その1週間後、報告書が来ました。


「入院して翌日、40度近い高熱が出て、すぐ胆嚢ドレナージを行いました。今は抗生剤で概ね状態は落ち着いています」


 つまり胆嚢を経皮的に針で穿刺し、細いチューブを挿入し膿を排出させたのです。


 それから1週間ほどして排膿は無くなり、チューブを抜去して胆嚢ドレナージは終了しました。


 患者さんは元気になって帰ってきました。


 私はお礼の返事を書きました。


「診療が終了する忙しい時間帯に、無理なお願いをし、またぶしつけな物言いをしてすいませんでした」


───────────────


〈つづく〉



┌───────────────

│いのうげんてん作品      

│               

│①著作『神との対話』との対話

│《 あなたの人生を振り返る 》《 自分の真実を取り戻す 》

│②ノンフィクション-いのちの砦  

│《 ホスピスを造ろう 》

│③人生の意味論

│《 人生の意味について考えます 》

│④Summary of Conversations with God

│『神との対話』との対話 英訳版

└───────────────


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