プロローグ 終焉の砂漠で。
あ、ども。「械人」と名乗らせてもらっています。こんな小説でもご閲覧頂ければ幸いです。一応、SFですが、しばらくの間、話が見えないかもですが、最後まで読んでもらえたら、嬉しいです。
これから、ちまちま投稿するつもりです。
では、お楽しみ下さい。
紅い。
紅い、紅い空。
昔のように鷹は飛んでいなかった。
空なんか見上げたって、虚しい思いをするだけだ。
そう、自分に言い聞かせ、不意に立ち上がった。すこしよろけたが、がっしりと地面の砂が足を助けてくれた。
砂漠のど真ん中。
もろに受ける日光を、手でなるべく防ぎつつ歩い た。
熱い、それと背中に背負っているライフルが重た い。苦に苦が重なって行く。
だが、そんな中でも、警戒は怠らなかった。なぜなら、いつ「敵」が来てもおかしくないからだ。
ぎょろぎょろと周りを見渡し、常に態勢を整えておく。いつまで、保てるかはわからないが、己の精神力の限り警戒態勢をしいた。
目的はただ一つ。この忌まわしい砂漠を抜けることだ。なぜなら、いつ命を落としても、ここではおかしくないからだ。そこらにうごめく、邪悪な化け物どもの気配をいつでも感じている。
ふと、体にピリッと来るものがあった。
おもむろに右腕を引っ掻く。だが、なにか異物がついている気がして、袖を引き上げた。
「くそっ......。しまった」
小汚い虫が付着していた。
さっ、と手で払い、着地したところを足で踏みつけた。
だが、もう遅かった。この虫に血を吸われたあとは、必ずと言っていいほど化け物どもが襲いかかって来る。きっと、血の匂いを嗅ぎつけて来るのだろう。
すると突然、閃光のように殺気がほとばしった。
まるで弾かれたかのように走り出す。
恐怖と緊張に追われる。口から息が漏れる。
死にたくない。
いままで何度か死闘を繰り返したが、どれも戦わず逃げに逃げて捲くことしかできなかった。あいつらから見れば、自分なんてアリ同然だ。強さも、そして大きさも。
息が詰まり、苦しくなっても走り続けた。
死ぬよりましだ。
恐怖が駆り立てる。
敵の姿は見えないが、気配をビリビリと感じている。皮膚を伝い、感覚神経を渡り、脳が危険信号を出す。
死にたくない。死にたくない......。
いきなり、何かに足を掬われた。
ざっと前に倒れこむ。口いっぱいに砂が入り込んだ。
砂も息も吐き出し、すぐさま態勢を立て直す。
だが突然、
ドォォォォォォォォォォォォン!
と巻き上げる砂塵に、一瞬のうちに飲み込まれた。
空中で服が絡み合う。身動きがとれない。砂塵の圧倒的な圧力に、なす術も無かった。
ドン、と重圧な音とともに、落下する。全身に激痛が走った。
体はすでに鉛のごとく重く、動くことは出来なかった。そこらじゅうから、流血している。
痛い。
あまりの痛みに頭が真っ白になっていく。
だが、朦朧とする意識の中、巻き上げる砂の中から現れる、あいつが見えた。
柱のように、太い牙。全身を覆う剛毛。目玉の無い顔面。ゆうに五メートルは超える全長。まさに、化け物と呼ぶにふさわしい。
すーっと体から流れ落ちる砂が自分にかかる。
すでに恐怖の存在は消えた。きっと、ここで死ぬからだ。
万事休す。終わった。
さあ、やれよ。
食えよ。
はやくしろ。
楽にしてくれ。
はやく。
やれ------------------------------------
暗闇にとらわれた。