表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

【不気味な姫】は隣国に嫁がされる〜冷たい旦那様に興味はない

作者: おかき
掲載日:2026/04/29


王座の前で膝を突き臣下の礼をとる者を、集まった重鎮達も忌避の視線でその者を見ていた。


【不気味な姫】

アリシアの二つ名である。


「第五王女アリシア。隣国であるルメル大国に嫁ぐことを命じる。

明日出立となる。良いな。」


王座で単調に話す国王をアリシア王女は臣下の礼をとり、頭を上げる事を許されぬまま命が下った。


冷たい大理石の床を眺めたまま、第五王女アリシアは「畏まりました。」

一言だけ口にした。


アリシアは長い時間礼をとったままだ。

陛下から頭を上げる許可が出ていないので、辛い体勢をしたまま放置される。



謁見の間から人気がなくなるのを感じ取り、アリシアはゆっくりと体を起こした。


「ふぅー……。」



アリシアはこの国の第五王女として生を受けた。

陛下が最も愛した側室のお子として誕生したが、アリシアの命と引き換えに側室は息を引き取った。


陛下は第五王女を殺そうとしたが、臣下により止められた。


愛する者を殺して産まれた子を、陛下は認めなかった。

代わりに王妃様が密かに手を貸し、命を繋いでいた。


この国は陛下の独裁が続いていた。

気に入らなければ首を刎ねる行為を平気で行う残虐王であった。

王妃様はこの国の公爵令嬢で、国の未来を憂い政略結婚を受け入れられた。


陛下に知られぬように、婚約者時代から小さな事に手を回す心優しい女性であった。


王妃様はアリシアを大っぴらには匿うことが出来ず、王宮で一番身分の低い使用人に子育てを頼み込んだ。


アリシアは引き取られた使用人からも大切にはされなかった。 

アリシアは姿を陛下に知られぬ様に、常にベールを被っていた。

厄介者を押し付けられた、だが王妃様からの頼みとなれば断れず……。忌々しい気持ちをアリシアに辛くあたる事で育ての親は憂さ晴らしする……。


毎日がその繰り返し……。


アリシアは言われるがまま、仕事を押し付けられては日々朝早くから日付が変わるまで働き続けていた。


アリシア自身も幼い頃から自分の生い立ちを理解していた。

口さがない者達が態々話を伝えに来るからだ。


アリシア本人は別に気にしてはいなかった。

物心ついた時にはぞんざいに扱われていたため、それが自分の普通であったからだ。


王女でありながら、下級使用人以下の扱いをされる可哀想な姫。

物語の中であれば、不幸な姫を助ける王子様か騎士が来る筈だがそれは物語の中だけであって現実にはあり得ない。


ちゃんと理解している。


生きる事を諦めたが、ある日小さな生き物との出会いで少しだけ生きてみようと思えるようになった。




その日も日付が変わる頃に仕事を終えたアリシアは、部屋に戻ると一日中被っていたベールを取るとベットへと沈み込んだ。


ベットに横たわり天井をただ見つめる。


(今日は賓客がみえていたから忙しかったわね……。)


疲れが酷くベットに横になったが、動けないでいた。


(このまま寝よう……。)


アリシアの容姿は側室に瓜二つの美しい顔立ちをしていた。

ベットに波うつ髪は淡いブルーのふわふわな髪。白いシーツとアリシアの淡いブルーの髪が相まり海を連想させる美しい様であった。


アリシアの瞼が閉じかけた時、窓辺でカリカリと音がした。

閉じかけた瞼を開き、顔だけ窓辺に向けると真っ白で小さなリスがガラスをカリカリしていた。


アリシアは疲れた体を無理矢理動かし、窓辺に向かうとそっと窓を開けた。


「リスさんは逃げてるの?」


アリシアが窓を開けながらリスに話しかけた。リスは一目散にベットの中へと潜り込むとモソモソしていたが暫くすると静かになった。


アリシアは窓から顔を出し、リスの天敵が追いかけて来ないか探すが見当たらない。

窓を閉め、ベットへと潜り込む。


アリシアとリスの視線が合ったが、アリシアは疲労が酷すぎてリスを構ってあげれない。

アリシアはそっと人差し指をリスの額にあてて、優しく撫でていく。


「ごめんね。疲れてて構ってあげれない……の……」


アリシアは会話の途中で眠りに落ちてしまった。

リスはアリシアの顔の横にくると、じっと寝顔を眺めていた。


数刻過ぎた頃、アリシアのベットがギシリと鳴った。


ゆっくり立ち上がる人影は暫くすると窓から出て行った……。



翌朝、アリシアが目覚めると昨日のリスの事を思い出した。

布団をめくりリスを探すが見当たらない。

ベットの下も狭い部屋のどこを探しても見つける事は出来なかった。


ふとベットの横の机に赤いピアスが片方置かれていた。

指先でそっと掴むと綺麗な真紅の色をしていた。


「これはどこから来たのかしら?」


手のひらにのせ眺めていると、仕事の時間になった。


ピアスは誰かが取りに来るかも?

と、元の場所に置いて急いでベールを被ると部屋を出て行った。


それから数日、日付が変わる頃になると真っ白なリスがアリシアの部屋を訪れる。

一緒に眠るだけなのだが、リスは数日間毎日やって来た。

しかも、翌朝は何かしらの品がピアスの横に置かれていた。


贈り物は王女や令嬢が喜ぶ品ではないが、アリシアには有難い物だった。

疲労に効く薬や、手に塗るお薬が置かれていた。


「リスさんよね……。きっと。聞いてみたいけど聞いたらもう来てくれないような気がする……。」


アリシアはリスに尋ねる事はせず、ただ一緒に眠っていた。


数日一緒に過ごしたが、アリシアの部屋にリスが来なくなった。


アリシアは深夜になると、窓を開けリスが来るのを待った。

アリシアは何故か解らないが、窓を少し開ける癖が付いてしまった。

無意識な行動に気が付いたのは雨が降る日であった。


窓の隙間から雨が入り、床が濡れる様を見て気が付いた。


「私はリスさんを待っていたのね……。」


虐げられ続けてきたアリシアは、感情が無いと言って良いほど無表情であり喜怒哀楽を見せない。


ベールを被っていたとしても、無体な扱いをされれば怒るし悲しむ様子は伝わる。

その様子を一切見せない姿を見て、

【不気味な姫】と名がつけられたのだ。


リスが来なくなり一年が過ぎる頃、陛下からの呼び出しを受け王命が下されたのだ。



(外に出れば、リスさんに会えるかしら?)



そんな筈はないのは解ってはいるが、リスにもう一度会えたら贈り物のお礼を伝えたかったのだった。

アリシアはお礼を伝える為だけに、今日まで生きてきたようなものであった。


部屋に戻り、輿入れの支度をする。

部屋には少しだけ綺麗なドレスがベットに放られていた。


アリシアはドレスを見ても気分は上がらない。興味も無かったのだ。



翌朝は晴天で輿入れ日和であるが、用意されていた馬車は使用人が使う馬車であった。


アリシアは何も言わずに馬車に乗り込む。

御者は街の雇われた平民であった。


「姫様。馬車は古いのでかなり揺れます。座席の側に膝掛けを幾つか用意しました。良ければ座席に敷いてお使い下さい。」


そう声をかけると、扉を閉め御者台に座るとゆっくりと馬車を出した。


アリシアは誰一人見送りする者がいない中、隣国へと出立した。


御者台から小窓を開け声をかけてきた。 


「姫様。右の路地を見て下さい。」


アリシアは御者に言われるがまま、王都の街並みの路地を見つめた。

そこには民が小さくだが馬車に手を振ってくれていた。


「姫様。王宮は地獄でしたでしょう?私達平民ですら姫様の様子は耳にしていました。

姫様を心配し、幸せになって欲しいと思う者もおります。どうか忘れずに、隣国では幸せに過ごして下さい。」


御者の言葉の意味は理解出来ないが、アリシアは知らずに涙を流していた……。



隣国へは三日かかった。

途中野宿をし、御者が沢山の外の世界の話を聞かせてくれた。

知らない世界を知る事は楽しく、アリシアも笑みを浮かべるまでに御者に心を開いていた。


三日はすぐに過ぎた。


御者は伝えられた邸にアリシア王女を送り届けた。

別れ際の挨拶もアリシアの幸せを祈るものばかりであった。


邸の門の前に降ろされたアリシアは、とりあえずじっと見つめる門兵に声をかけた。


「輿入れしましたタバル国の第五王女アリシアです。」


淡々と告げると、タバル国の書簡を門兵に渡した。


門兵は怪しげな視線をアリシアに向けると、書簡を受け取り封蝋を確認した。

そこには確かにタバル国の蝋印が押されていた。


目の前のベールを被り見窄らしい姿の者が王女とは……。信じられずにいた。

門兵の一人が邸に連絡をすると、老齢の執事と侍女が門までやって来た。


門兵は書簡を執事に渡すと執事は封を開け、中を読み始めるがだんだんと渋い顔をし始めた。


「アリシア王女。お待ちしておりました。こちらにお入り下さい。」


執事は恭しく礼を取り、アリシアを門の中へと入るように促した。


執事と侍女に案内され、邸の中へと入ってきた。


使用人達が沢山並び控える姿に一瞬体を強張らせた。


王宮を思い浮かべるその光景は、アリシアの心を冷たく揺らす。


「アリシア様には暫くこの邸にて過ごして頂きます。申し遅れました。私はこの邸の執事ベナンと申します。

こちらが侍女長のマーサです。」


「……宜しくお願い致します。」


「私達は使用人です。丁寧な言葉は必要ありません。姫様は旅でお疲れでしょう。お部屋にご案内致します。」


マーサがアリシアを部屋へと案内してくれた。

アリシアには、北向きの日当たりの悪い位置の部屋を用意されていた。


姫様を案内する中、マーサは確信していた。

(タバル国から送られてきた姫様に関する情報は嘘ですね……。

姫様は虐げられていたのでしょう。)


マーサはアリシアを部屋に案内すると、やはり……。そう納得してしまう。


「マーサさん……。私がこのような素晴らしい部屋を使って宜しい……のでしょうか……。」


アリシアは部屋の入り口で固まったままマーサに問いかける。


(このような部屋を素晴らしいと言うなんて、あり得ない……。

ベールで隠されてはいても、姫様が驚いている事を感じる。)


用意された部屋は、邸を訪ねた賓客の下位の従者が使う部屋だ。

質素な部屋で飾りはなく、ただ家具が置かれた部屋……。


素晴らしくあるはずがない。


「姫様。お茶をお淹れします。そちらのソファーにお座り下さいませ。」


マーサが動かないアリシアの背中にそっと手を添え、ソファーに座るように促す。


アリシアは恐る恐るソファーへ腰掛け、その反発具合に最初は驚き直ぐに反発を堪能していた。


少し腰を浮かしまた沈める。

まるで幼女が初めてソファーを知ったかのように。


アリシアはソファーに座るのが初めてなのだから仕方がなかった。


楽しそうに座るアリシアをマーサは小さな笑みを浮かべながら、お茶を淹れる。


マーサは紅茶をアリシアの前に置くと、一方後ろに下がった。


アリシアは出された紅茶をじっと見つめている。


(紅茶はお嫌いかしら?)

マーサが別の飲み物を準備しようか考えていると、

「マーサさん……。申し訳ありませんが、私は紅茶をどう飲めば良いのか作法を知らないのです……。」


マーサはハッとなった。

虐げられていたであろう姫様は教育すら受けていない事を初めて知った。


「今日は姫様がお好きなように飲まれて構いません。ここには私しかいませんから。」


アリシアはぎこちない作法で、ゆっくりとカップに手をかけ紅茶を口にした。


「美味しい……。」


そんな筈がないのをマーサは知っている。

一番安い紅茶を用意したのだから。


マーサは徹底した我が主の所業に、苛立ちを覚えた。

まだ見ぬ花嫁が本当にその様な人物なのか精査せず、嫌がらせを盛り込んだ邸に押し込んだのだから。


「アリシア様。湯殿で疲れを癒しましょう。」

紅茶を飲み終えたアリシアにそう声をかけた。


「湯殿?」


アリシアのベールが右にさらりと流れた。湯殿とは何なのかを知らない姫様を、マーサは泣きそうな気持ちを隠し笑顔で告げる。


「湯殿とは、お風呂でございます。お身体を綺麗にしますので、こちらに。」


アリシアを立たせると、テーブルにある鈴を鳴らした。

二人の若い侍女がアリシアの部屋へと入ってきた。


挨拶もない二人を、アリシアは責める事はしない。

声をかけられない事は当たり前だったのだから。


アリシアをマーサが浴室へと案内する。

侍女二人は嫌々アリシアの後ろを付いてきた。


我儘で直ぐに癇癪を起こし散財する姫。


そう伝えられていた侍女達は、姫を尊重するつもりは微塵も無かった。


マーサがアリシアにある事を尋ねた。


「姫様、お風呂ではベールを外せますか?着けたままですと、ベールが濡れてしまいます。」


「そうでしたね。」


マーサの言葉にアリシアがベールに手をかけて姿を晒したのだが、その容姿を見たマーサと若い侍女達は口を開けたまま固まってしまった。


可愛らしいのに美しい顔立ち。

淡いブルーのふわふわな髪。

瞳は薄い金目の美少女が現れたのだ。


アリシアはベールを握りしめたまま、三人の様子を伺った。

(やはり私は美しくないのでしょう……。タバル国では無いから頑張ってベールを脱いだけど……。)


アリシアの顔が少し曇ったのに気が付いたマーサが慌てて説明する。


「姫様の美しさに呆けてしまいました。さぁ湯殿の支度を致します。」


マーサがアリシアのドレスを脱がし始めた。

アリシアの肌が現れた瞬間、また三人は固まることになる。


痩せ細った身体に、あちこちにある痣の跡。


(((タバル国の報告書は虚偽である。)))


三人はそう思わざるをえない姿を目にしたのだ。若い侍女も自分の勝手な先入観で姫様に失礼な態度をした事を悔いた。


三人は痣に触れないように、優しく丁寧に入浴を進めていった。


初めてのお風呂と三人の優しい手に、アリシアの身体は疲れを癒していく。


湯殿を出たアリシアは髪を乾かしてもらいながら気持ち良さにうとうとし始めた。


マーサがベットで休む事を進め、アリシアを眠りに就かせた。



可愛らしい寝顔をするアリシアを、三人は存分に堪能した。


「マーサ様。お姫様は聞いた話とは違い過ぎるのですが。」


「姫様はタバル国では虐げられていたのでしょう。ソファーに座ると幼子のように小さくはしゃぎ、紅茶の飲み方すら知らなかったのです。それに……この部屋を見て、素晴らしい部屋だと。自分が使って良いのかと私に尋ねるくらいです。」


マーサの目には薄っすらと涙が溜まっていた。

「愛されるべき王女が虐げられる。あってはならない事です。

ですが、今は静かに過ごして頂き姫様の回復を優先させましょう。今は旦那様に何を伝えても伝わらないでしょうから。ベナンと話し合いこれからを決めます。

貴女達は、姫様の側に。」


マーサは急ぎベナンの執務室へと足を運んだ。

ベナンは慌ててやって来たマーサを見て、マーサが伝えずとも全てを理解した。


「姫様の身体には幾つもの痣があり、身体は痩せ細っていました。貴族教育すら受けておらず紅茶すら飲み方を知らない様子でした。」


捲し立てる姫様の報告にベナンは渋い顔をする。


「マーサは姫様をどう見ましたか?私は報告とは真逆の人物と思いますが。」

「そうです。真逆の御方です。」


二人は話し合い、姫様を虐げるのではなく大切に扱う方に舵を切ったのであった。

同時に、アリシアの夫となった旦那様には時が来るまで何も報告をしないと結論付けたのだ。



アリシアは邸に来てから誰も虐げて来ない状況に逆に恐怖を抱いていた。

仕事をしようとすると止められ、諭され、部屋へと連れ戻される。

温かい食事には驚いたが、美味しくてへニャリと顔を綻ばせた。


それを目にした使用人達が姫様を溺愛し始めた。

最初こそ居心地悪そうにしていたアリシアも、優しさを初めて向けられ大事にされる擽ったさを、心地良く感じられるまでにようやくなりつつあった。


マーサや侍女達からは作法を習い、王女とまではいかないが一令嬢としては綺麗な所作が出来るまでになっていた。


そんなある日、庭でお茶をしているとベナンがアリシアの元にやって来た。

お茶の時間はゆっくりしてもらおうと、ベナンが来る事は無かった。


「姫様。少しお話があるのですが宜しいですか?」

「大丈夫です。ベナンさんもお座り下さい。」


アリシアは使用人に対して丁寧な言葉を止める事は無かった。


「姫様は邸に来られた時には既に我が主である公爵様と婚姻されております。覚えておられますか?」


「……。」


アリシアはベナンから確認され、初めて思い出したのだ。


「明日、王宮でお二人のお披露目があります。マーサとセイとメイも一緒に行きますので、お披露目に行って頂きたく思います。」

「……。解りました。私の役目ですもの。」


アリシアの顔は強張っていた。

ようやく王宮でのトラウマを克服してきた矢先に、また王宮と名のつく場所に向かわなければならない。

アリシアはベナンから紹介された夫人に貴族について。王族についてを学んでいた。


夫人は名を明かす事は無かったけれど、優しくアリシアに勉学や作法を指導してくれた。

明日のお披露目も大丈夫なくらいに夫人からの教育は進んでいた。


「何かありましても、この邸の者達は姫様を大切に思っております。辛くとも、邸に戻るまでは我慢なさって下さい。邸に帰って来たら、皆でお茶を致しましょう。」


「ありがとう。明日は頑張ってきます。」


アリシアは明日の皆とのお茶会を楽しみに、役目を全うする覚悟を決めた。

自身がこの屋敷に来た理由は婚姻の為。


半年も名前も顔も知らない旦那様を、どうこう思う感情は持ち合わせていなかったのだ。



披露目の為に王宮に用意された部屋に入ると、そこには背の高い男性がいた。


「旦那様です。」

マーサが小さな声で教えてくれた。


アリシアが挨拶をしようとするが、先に話をされた。


「お前とは政略的な婚姻だ。私が望んだものではない。それにベールを被る女など不気味だ。私に一切関わるな。」


冷たい視線に冷たい言葉……。


(そうよ……。これが私の普通じゃない。)


【不気味】


そう呼ばれて、過去の自分を思い出した。


「畏まりました。」


アリシアはそう一言口にすると、頭を下げ部屋を後にした。

会場入りするまで、誰にも見られないように廊下の影でマーサ達と待つことにした。


(邸で優しくされて良い気になっていた私への忠告でしょう。私は不気味な姫なのだから、それを忘れないようにしなければ。)


ようやく抜け出そうとした過去の自分に、この日のお披露目から姫様は逆戻りした。


お披露目は散々であった。

オーランド・ステルク公爵はルメル大国の王妹の子息であった。

婚約者がおらず、社交界での人気が高いその人物が、政略的な婚姻で隣国の姫を娶ったのだ。


社交界は荒れたが、お披露目で妻を蔑ろにする姿を見た令嬢達が自分達にも機会があると思いアリシアをぞんざいに扱ったのだ。


アリシアは泣き言一つ漏らす事なく、お披露目の会場に立ち続けた。

少し離れた場所では、マーサとメイもセイも悔し涙を流すと同時に、主人であるオーランドに殺意を覚えた瞬間だった。


お披露目を終えたアリシアが邸に戻るが、部屋に一人籠った。


使用人達はアリシアとのお茶会を楽しみにしていたが、マーサ達からの報告を聞きマーサ達と同じく主人に殺意を覚えた。


やっと痩せ細った身体が普通になった。

普通の令嬢がしてもらって当たり前の事を、普通に受け入れられるようになった。

ぎこちない笑顔ではなく、心からの笑顔を見せてくれるようになってきたのに……。


その日、アリシアが部屋の鍵を開ける事は無かった。



次の日アリシアは部屋から出て来た。

使用人達に謝罪をし、お茶会の仕切り直しをしていた。

このお茶会はアリシアの希望で行われていた。

自分を大切にしてくれる人達を自分も大切にしたかった。

でも何をしたらそう出来るのか答えが出ない時に、侍女のセイとメイが

「でしたら姫様とお茶をしたいですわ。」

アリシアの負担にならず、使用人達も喜ぶと二人が提案してくれた。


週に一度、中庭で仕事を休みゆっくり姫様と話が出来る日を設けたのだ。


それなのに……。


姫様の笑顔には無理がある。

私達に気を使っている。

昨夜は眠れていなそうだ……。


使用人達の心の中はアリシアを心配する声で溢れていた。


「姫様。昨日はお疲れ様でした。マーサから全て聞いております。旦那様のおっしゃられた言葉も全て聞いております。」


アリシアはベナンの話にビクッと肩を揺らした。

虐げられていた記憶が蘇り、涙が頬を伝う。


「優しくされた事が無かった。大切に扱われる事も無かった。朝早くから深夜まで働き、失敗すれば罰が下る。それが私の普通だった……。

邸にきて、過去の真逆の扱いをされ戸惑いましたが初めて幸せだと。

そう思えました。ですが……。私は不気味な姫でしかないのです。

幸せなんて知らなければ良かった……。」


虚ろな瞳は何も映していない。

涙を流す様は痛々しく、使用人達も泣き崩れる者もいた。


「姫様。私は姫様が大好きですわ。セイも私も可愛らしい姫様が大好きなのですよ?」


メイがアリシアを抱きしめ、ゆっくりと諭すように声をかける。


アリシアは目を閉じ、暫く抱きしめられたままじっと動かずにいた。


使用人達はこの半年の姫様を思い出す。


姫様が口にして来た食事は平民すら口にしない、捨てる野菜くずを煮ただけのスープのみを1日2回。


お菓子など口にした事などある訳がなく、クッキーを一口小さく齧っただけで口に広がる甘さを初めて知った姫様は、ポロポロ泣きながら一枚のクッキーを食べ終えたのだ。


好き嫌いを知らない姫様にマーサが苺とレモンを食べさせた。

「どちらが幸せな気持ちになりましたか?」

「苺は甘くて美味しかったから、幸せなのかしら?」

「レモンはいかがですか?」

「酸っぱすぎて、食べたくないわ……。」


「姫様は苺の甘さが好きでレモンの酸味が嫌いなのです。レモンも料理には必要です。嫌いでも、使い方では好きになる。

そんな感じで姫様の好き嫌いを皆で探しましょう。」


使用人一丸となって、姫様の好き嫌い探しが始まった。


結果、衣装も宝飾品も身につけるものは下級貴族の物ばかり。

贅沢を知らない姫様は、質素な物を好んだ。

甘い食べ物も過度な物は逆に嫌いだと解った。


使用人が何かをすれば感謝の言葉を口にし、一緒に働こうとする優しい姫様。


優しく可愛らしい姫様を相手に、使用人達は愛さない理由など見付けられなかった。


それからは過去の姫様に時折戻りそうになると、使用人達が懸命に掬い上げる。自分達の愛情を丁寧に伝え、時には泣き崩れる姫様を必死に支え続けた。



婚姻から一年が過ぎた頃、公爵家ではオーランドが両親である前公爵夫妻に呼び出されていた。


「挨拶は良い。座りなさい。」


父ギースがオーランドにソファーに座るように伝えた。

オーランドは呼び出された理由に心当たりがある。

居心地悪いが、勝手に婚姻を決めた両親を恨んでいたのだ。


「呼び出された理由は解っているはず。アリシア姫を放置し続ける理由は理解出来るが、お前にとって良いと私達が決めたのだ。それが解るか?」


「私にとって良い縁談など存在しない。私が想う人は見つからないのだから!」


父の押し付けの言葉に、オーランドはカッとなり反論した。


「解りました。貴方は姫様との婚姻を続ける気持ちは無いと理解しました。

貴方の婚姻は無かった事にしましょう。

しかし条件があります。

一度、姫が住まう邸に顔を出す事。

その日、王宮に離縁届を出してあげます。」


母メイシーの条件をオーランドは受け入れた。


「明後日仕事が休みとなりますので、その日に向かいます。」


そう伝えると、夫妻の前から不機嫌を隠す事なく出て行った。



オーランドは荒れた心のままに、仕事の休みの日姫が住まう邸にやって来た。


突然現れた主人にベナンは隠す事なく不快な表情をオーランドに向けた。

久し振りに顔を合わせたベナンの変わりように、オーランドは戸惑うが。


「姫を見に来た。」


一言告げると邸の中へと入って行った。


妻となったベールの女性を探す中で、使用人達から向けられる不快な視線を幾つも感じた。


だが、姫と一度顔を合わせるだけで離縁が出来る。

その為、使用人達の事は放置した。


中庭へと足を運ぶと、オーランドは息をのんだ。


ずっと触れたかった、淡いブルーの髪を見付けたからだ。

急ぎその人の元に向かい腕を掴むと顔を確認した。


(淡いブルーの髪に薄い金目……。)


オーランドが探し続けた女性が目の前にいたのだ。


「君は……。」


震える声で問いかけ、触れたかった髪へと手を伸ばす。もう少しで髪に指先が触れようとした時、女性が後ろに下がった。


自分を見る目には感情がない。


「旦那様、奥様に何かご用でも?」


ベナンに「奥様」と言われ自分の妻であるベールの女性が、オーランドが探し続けた女性であったと理解した。


顔色を悪くするオーランドに、アリシアは

「公爵様の具合が悪そうです。ベナンさん、客間にご案内を。」


そう告げ終えると、アリシアはマーサを連れ庭から離れて行った。


「旦那様。私は伝えましたよ。一度でも良いので会いに来て欲しいと。私は姫様から話を聞くにつれ、旦那様が探しておられた方ではないかと思いました。

ですから、一目確認をして頂きたくお手紙を送ったのです。」


「確認しろと書いてくれれば、直ぐにでも来た!」


「手紙は誰の目に触れるか解りませんから、旦那様の探し人の事など記すわけには参りません。」


「……。」


オーランドは自身が恋焦がれ探した女性を妻としていた。

両親には私の想い人の容姿を伝えた事もあった。

私の力では探し当てることは無理でも、王妹である母ならばそれが出来た。


長年想い人を探し続ける息子の為にと、前公爵夫妻も探していたのだ。


アリシアを調べあげて、その境遇に夫妻は涙した。

どうにかして姫様を助け出し、息子の花嫁として今まで与えられずにいた幸せを、渡してあげたかったのだ。


だが、冷遇する姫様を喜んで迎え入れてはタバル国が反発するやもしれないと、求婚の書状には

「冷徹な甥にお飾りの妻を探している。手に余る王女がいるならば引き受ける」

そのような内容でタバル国の王家にルメル大国の陛下が書状を送ったのだ。


案の定、アリシア姫を娶る事が出来た。


だが、オーランドに想い人が見つかり妻にした事を話せば、どこで漏れるか解らない。

アリシア姫の悪評はタバル国から噂として流されていたからだ。


オーランドも不本意に思うやもしれぬが、一度顔を合わせれば幸せな結婚になると夫妻は考えたのだ。


オーランドにとって不本意な婚姻といえど、あそこまで放置する冷たい人間とは夫妻は思ってはいなかった。




オーランドは全てを理解した。

両親は自分の為に婚姻を用意し、私が顔を合わせれば姫が誰であったかを知るはずだと……。


「ベナン。妻と話がしたい。」


ベナンは一礼すると、オーランドを案内していた客間から出て行った。


オーランドは自分の想い人の話をし、姫に許しを乞う決意をした。


少し時間はかかったが、アリシアが客間に現れた。


ふわふわした柔らかな髪がアリシアが歩く度に揺れる。


ソファーの対面に座ると、オーランドは早速話を切り出した。


「私は酷い勘違いをしていた。私には想い人がいた。その人を手を尽くして探したが見つけられずにいた。」


オーランドの話はこうだ。


タバル国へと外交に訪れた時に、王家の血の呪いが発動し動物へと姿を変えた。

他国で姿を変えてしまい、侵入動物として排除されかけた。


心優しい令嬢と思っていた自分は、令嬢達に助けて貰おうと探した。優しい女性と思った者は、全員が私を殺せと指示を出した。


とにかく必死に逃げ回っていると、ベットに横たわる私を見付けた事。


とりあえず匿って貰いたくて、必死にマドを叩いた。


アリシアが何も言わずに助けてくれた事。美しい顔立ちや髪に魅入られ、また会いたいとピアスを置いた事。


何度も会いに行き、アリシアを愛した事。


全てをオーランドはアリシアに伝えた。

恥ずかしくはあったが、アリシアとの誤解を解きたくて必死に伝えた。


オーランドはこの時、自分の立場や容姿。全ての事に無意識に驕っていたいたのだ。

間違いは謝罪すれば許される。

そう勝手に結論付けていた。


何も言わないアリシアに、オーランドは視線を向けた。


初めてアリシアに感情がのっていない事に気が付いた……。


胸中穏やかではないが、アリシアからの返事を待った。


「そうですか。」


返って来たのはたった一言だけ。


「謝罪はする!私が間違っていた。これからは夫婦として一からやり直したいと思っている。大切にすると誓う!」


オーランドは必死に伝えるが、アリシアには興味が無い事であった。


「私を不気味だと、関わるなと言われたのは公爵様です。事情は解りましたが公爵様だけが理不尽な婚姻を結んだと思う事こそが私が公爵様を嫌う原因です。

私とて知らない方へ嫁ぐ事に……。」


ふと、アリシアは話すのを止めた。

嫁ぐ事に不安は無かった。

ただ、あの国にいたくなかったのだ。

ただ、外の世界に出たかったのだと、思い出した。


小さく笑うと話しを続けた。


「私はこの婚姻に不安はありませんでした。」


アリシアの言葉にオーランドの顔が明るくなった。

だが、次の言葉でまた顔色を悪くする。


「婚姻に不安も期待も感情を乗せる事が無かったからです。あの頃の私は感情があまり無かった。この邸の方に沢山の事を教えて貰い、嬉しい、楽しい、悲しいを教わりました。

ベナンにお披露目の話しをされるまで自分が婚姻していた事を忘れるくらい皆さんに沢山大切にしてもらいました。」


アリシアは真っ直ぐオーランドを見つめ、はっきりと伝えた。


「私を感情の持つ人間にしてくれた皆さん以外に私は必要としない。大切ではない。

公爵様は必要ありません。私を地獄に引き戻す言葉を口にしたあの日から、公爵様は私にとってどうでも良い存在となりましたので。」


アリシアは怒るでも悲しむでもなく、淡々と自身の気持ちを伝えた。


「それに、本日離縁届を出したと本邸より文を頂戴しました。私は離縁後は慰謝料代わりにこちらに住まう許可を得ています。

私と公爵様は他人です。」


アリシアは伝え終えると、部屋から出て行った。


オーランドは暫く唖然とし、アリシアの言葉を思い出していた。


離縁……。


その言葉を思い出し、急ぎ公爵家に戻るも離縁届を出された後であった。


「貴方の傲慢さが招いた結果です。想い人がいようと、他国から嫁ぐ姫様に敬意の気持ちを少しでも持っていれば離縁とはならなかったのです。

私はベナンから教育を頼まれ姫様に会いました。世間を何も知らない王女を沢山母として愛そうと思いました。

それを……。貴方のせいでその夢は消えましたわね。」


オーランドは彼女の身辺調査を綴った分厚い書類を母から渡された。


姫様の過去は残酷な所業ばかりが書かれていた。書面には水に濡れた箇所が幾つもあった。

母か、この書面を書き上げた者なのか。誰かの涙の跡が残されていた。


お披露目の後、二度夜会にアリシアは参加していた。

陛下と王太子殿下の誕生を祝う夜会に参加をしたが、アリシアが大勢の令嬢に取り囲まれて罵られ続けていた。


オーランドは気が付いていたが、放置した。

気にする必要のない女を助ける義理は無いと、令嬢達とダンスや会話を楽しんでいたのだ。


オーランドが幾ら後悔しようと、自分が行った仕打ちは消えない。





オーランドはそれでも諦めきれず、事実を知った日から、アリシアとは顔を合わせないが手紙を三日に一度は邸に送った。


ベナンがアリシアに、

「届いた手紙は、とりあえず読まれますように。」


とりあえずは余計であるが、ベナンの助言のおかげもあり手紙を読んでくれていた。


勿論返事はない。


贈り物も沢山したし、手紙にも足りない物ばないか不便はないかと尋ねたが、ベナン経由で気にするなと答を貰った。



社交界では公爵夫妻の離縁の話は直ぐに広まった。

社交界は独身に戻ったオーランドを迎え入れようとしたが、離縁から後の夜会やお茶会全てにオーランドが現れる事は無かった。


前公爵夫妻が久々に夜会に参加するとなり、女性達はオーランドの様子を知りたくてうずうずしていた。


公爵夫人は王妹である。

先に陛下や王妃に挨拶へと向かう。


陛下と王妃は公爵夫妻から全ての事情を知らされていたので、周りを牽制する意味を含めてオーランドとアリシア王女の事を尋ねた。


「愚息のせいで、美しく優しい義娘を側に置くことが出来なくなりましたわ。

苦労なされた分、私が母として大切にしようとしていたのに。

愚息は王女の国での酷い仕打ちを知り泣いていましたが、愚息がこの国で同様の事をしでかしたのです。王女が離縁を了承されても仕方ない事かと……。」


「アリシア王女はあちらの国で使用人以下の扱いを受けていたと聞く。それでも心優しい女性になったのが奇跡だな。」


兄である陛下の話にメイシー公爵夫人が頷いた。


「愚息は今は必死に王女に許しと愛を乞うています。暫くは社交界に顔を出す事はありませんわ。」


陛下と公爵夫人の会話を聞いた貴族令嬢は、ガックリと肩を落とした。


社交界ではアリシア王女の嘘の噂は綺麗に消えた。


メイシー公爵夫人がお茶会や夜会で王女の真実を語っていたからだ。


話しを聞いた夫人や令嬢は、アリシア王女に同情するようになりいつの日か社交界に顔を出してくれる事を願っていた、




オーランドに興味を示さないアリシアとの冷戦状態が1年過ぎる頃。


最近のオーランドは月夜になると、ご機嫌になる。

月夜の日だけはアリシアの住む邸に訪れる許可を得たからだ。


どうしてもアリシアに会いたかったオーランドが、リスの姿をして野花を片手にアリシアの部屋の窓を叩いた。


アリシアは驚いた顔をしたが、窓を開けてくれた。


「リスさんですが、公爵様なんですよね……。」


野花を抱えたリスの姿を見て、アリシアはポツリと呟いた。


アリシアは公爵は嫌いだが、祖国でリスと再会出来る事を楽しみにしていた事を思い出した。


その日からリスを部屋に入れるようになった。会話はないが、アリシアの様子をじっと見つめるリスの姿が見られるようになった。


少し怖い光景を使用人達は目にする事になる。

リスが公爵である事は、使用人達は知っていた。


アリシアはリスの公爵には笑顔を見せるようになるが、人の姿の公爵には冷たい。


上手くいきそうで上手くいかない二人を、焦れったい思いで見守る使用人達。


公爵に殺意を抱く事もあったが、公爵を応援する使用人も増えた。

使用人達からの応援と助言で、ほんの少しだけ距離が近づくも使用人以下の距離感でしかなかったがオーランドは大層喜んでいた。



かなりの年数はかかったが、赤子の横に丸まり眠るリスを、使用人達が温かな視線で見守る事が出来る日が訪れたのだった。







因みにアリシアの祖国だが。

独裁政治をする陛下が討たれた。

黒幕は陛下の実子である、王太子殿下であった。



アリシア王女の話がルメル大国で広がると、悲劇の王女として民からの同情する声が上がった。

まず商人がタバル国を避け始めた。

タバル国に支店を置く商会も撤収する。


タバル国はルメル大国との取り引きで国を維持していた。

王太子殿下は国の未来を考え、父を討つことにしたのだ。


御家騒動になる為、ルメル大国には先に知らせが内密に届いた。


陛下はアリシアを王宮に呼び、祖国の話を伝えた。


「王妃様の助けがなければ私は生きていなかった。悪いのは陛下やそれに追随する者だけです。民も王妃様も悪くないのです。どうか寛大な対処を望みます。」


アリシアの言葉をそのままタバル国の王太子殿下に送り、陛下を討つことに同意したのだ。


アリシアは虐げられたタバル国を救った清らかな王女として、タバル国に話が広がったのだった。


アリシアとオーランドが揃って社交界に顔を出すまで五年かかった。

アリシアの容姿を見た令嬢達は敵わないと、オーランドを諦め新たな相手を探し始めた。


アリシアはゆっくりとオーランドに心を開いた。

オーランドはそんなアリシアを待った。


オーランドは自分の行いを許す事はなく、生涯アリシアを大切にした。


メイシー公爵夫人がアリシアを連れ回すので、オーランドと夫人の喧嘩は絶えなかったが側で二人を見るアリシアが幸せそうにするので親子喧嘩を止める者はいない。


ルメル大国に嫁ぎゆっくりと幸せを手に入れたアリシアを【不気味な姫】と呼ぶ者は誰一人いなかった。


誤字報告、ありがとうございます❀

訂正しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ