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神様、魅了の対象そこじゃないです 〜魅了スキルをもらったのに、対象が動物と魔物だけでした〜  作者: たかつど
第2章「星の向こう側」

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27話:壊れない戦い方

 

 壊す力より、壊さない意思を


 戦場は、一度、静まった。

 だが、それは終わりではない。


 "息継ぎ"だ。


 次の嵐が来るまでの、わずかな猶予。


 瓦礫の影で、マコトは座り込んでいた。

 手を見る。震えている。


(……無双できないと、こんなにも……不安になるのか)


 隣に、リーネが腰を下ろす。


「……自分を責めてる顔」

「……分かる?」

「長い付き合いですから」


 マコトは、苦笑した。


「俺、強くなったつもりで……」

「結局、"壊す"か"何もできない"か、その二択しかなかった」


 手が、また震える。


「……情けない」


「それ、違うわよ」


 エルナが、静かに近寄った。


「今日、マコトさんがいなかったら、連携は成立しなかった」

「え……?」

「マコトさん、指示だけで戦場を整えた」


 エルナの目は、真剣だった。


「あれは、誰にでもできることじゃない」


 ミルファが、マコトに飛び付き大きく頷く。


「そうにゃ! マコトが言うと、分かりやすいにゃ!」

「……マコト、怒らないでくれるから、動きやすいにゃ!」


 マコトは、言葉を失った。

 自分が、役に立っていた?


「もふぅ……」


 モフが、マコトの膝に乗った。


(もふ……マコト、あったかい……)


 マコトは、モフを優しく撫でた。


「……ありがとう、モフ」

「ぶもー」


 プーコが、鼻を鳴らす。


(マコトは、マコトのままでいい)


 マコトは、プーコを見た。


「……お前、そんなこと考えてたのか」


(当たり前だ!)


 プーコの目は、優しかった。


「役割が、変わっただけだ」


 アイシアが、低く言う。


「お前は、"世界を直接動かす存在"から――」

「"均衡を読み、仲間に渡す存在"になりつつある」


 ベルゼビュートが、腕を組む。


「……つまり、司令塔だ」

「……俺が?」


 マコトは、自分を指差す。


「そうだ」


 ベルゼビュートは、はっきり言った。


「お前は、戦場を見る目がある」

「それは、無双する力よりも、時に価値がある」






 セレナが、地図を広げる。


「レグスの行動、見えてきたわ」

「今回の裂け目は、"観測"目的」

「彼は、マコトが壊れずに戦う方法を、試している」


 空気が、重くなる。


「……それって」


 リーネが、唇を噛む。


「次は、それを潰しに来るってこと?」

「ええ」


 セレナは、頷いた。


「そして、本命は、まだ出ていない」


 地図の中央に、赤い印がつけられる。


「ここ……街の中心部」

「レグスは、何かを"起動"しようとしている」


「……兵器?」


 マコトが、呟く。


「正確には、均衡破壊装置」


 アイシアの声は、冷たい。


「世界そのものに、"正しい形"を強制する」

「マコトの力と、真逆の存在」


 リーネが、息を呑む。


「それって……世界を、固定するってこと?」

「ええ」


 アイシアは、頷いた。


「均衡を、完全に消す」

「すべてが、レグスの望む形に固定される」


 セレナが、地図を指差す。


「そして、その装置は、もう街の地下にある」

「レグスは、今まさに起動準備をしている」


 マコトは、深く息を吸った。


「……分かった」


 顔を上げる。


「俺、もう全部一人でやるの、やめる」


 仲間たちが、黙って聞いている。


「俺の役割は、壊さない選択を、全員に届けること」

「均衡を壊さず、それでも勝つ」


 マコトの目は、真剣だった。


「それが、俺にできることだ」


「……覚悟は?」


 ベルゼビュートが、低く問う。


「失敗すれば、街が消える」


 マコトは、迷わなかった。


「……それでも、やる」


 その目に、もう恐怖はなかった。


「俺は、もう逃げない」

「仲間を信じて、自分を信じて、戦う」


 リーネが、微笑んだ。


「……かっこいいこと言うじゃない」

「照れるな……」


 ミルファが、マコトに抱きつく。


「にゃー! マコト、大好きにゃ!」

「ちょ、ミルファ……」


 エルナが、笑った。


「……マコトさん、やっと吹っ切れましたね」

「うん」


 マコトは、頷いた。


「やっと、分かった」

「俺は、一人じゃない」


 その時。

 地面が、震えた。


「……来たわ」


 セレナが、呟く。


 遠くの空が、赤く染まる。

 魔力の奔流。

 街全体が、悲鳴を上げる。


「レグスが起動した」


 アイシアが、顔色を変える。


「早い……まだ準備が……」

「いいえ」


 セレナが、地図を見つめる。


「彼は、最初から時間稼ぎをしていた」

「私たちが戦っている間に、準備を終えていた」


 マコトは、立ち上がる。

 仲間を見る。


「行こう」

「壊れない戦い方で」


 リーネが、笑った。


「ええ、隊長」


 ミルファが、尻尾を振る。


「了解にゃ!」


 エルナが、杖を握る。


「最後まで、支えます」


 ベルゼビュートが、低く唸る。


「……全く、面倒な人間だ」


 だが、その声は、どこか誇らしげだった。

 アイシアが、翼を広げる。


「行きましょう」

「世界を、守るために」


 プーコが、前に出る。


(ぶもー!マコトを守る!)


 モフが、マコトの肩で震えている。


(もふぅ……こわいけど……がんばる……)


 マコトは、モフを優しく撫でた。


「大丈夫、みんながいる」




 街の中心部へ向かう。

 空は、赤く染まっている。

 地面は、震え続けている。


 そして――

 中央広場に、巨大な魔法陣が浮かび上がっていた。


「……あれが」


 セレナが、息を呑む。


「均衡破壊装置……」


 魔法陣の中心に、黒い球体が浮いている。


 それは、ゆっくりと回転している。

 そして、その周りを、無数の狂化魔獣が囲んでいた。


「数が……多すぎる……」


 冒険者たちが、絶望の声を上げる。


 だが、


「大丈夫」


 マコトが、前に出る。


「俺たちには、戦い方がある」


 彼の目は、もう迷っていない。


「壊さない戦い方が」


 その時。

 魔法陣の中心から、レグスが姿を現した。


「ようやく、来たか」


 彼の声は、冷たい。


「タカハシ・マコト」

「お前が、均衡の外側で戦う者か」


 マコトは、レグスを睨んだ。


「……お前が、やったのかレグス」

「ああ」


 レグスは、冷たく笑った。


「私は、均衡を消す者」

「そして、お前を、完全に壊す者だ」


 彼の手が、黒い球体に触れる。


 次の瞬間


 世界が、悲鳴を上げた。

 均衡が、歪み始める。

 街全体が、揺れる。

 建物が、崩れ始める。


「くそっ……!」


 冒険者たちが、倒れる。


 だが、


「みんな、指示通りに動いて!」


 マコトが、叫ぶ。


「壊さない! 守り切る!」


 仲間たちが、動く。

 連携が、生まれる。


 そして、

 戦争は、最終局面へ。

 次に来るのは、世界そのものを賭けた戦い。

 マコトは、前を向いた。


「行くぞ、みんな」

「壊れない戦い方で勝つ!」


 仲間たちが、叫ぶ。


「おおおおお!」


 最後の戦いが、始まった。

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