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神様、魅了の対象そこじゃないです 〜魅了スキルをもらったのに、対象が動物と魔物だけでした〜  作者: たかつど
第2章「星の向こう側」

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16話:集団戦での無双

 街道沿いの森。

 小規模――だが、明らかに統率された魔獣の群れが確認された。


「数は……十数体」


 リーネが、地形を見ながら呟く。


「種類も混在。偶然じゃない」


 マコトは、深く息を吸った。


「……俺が前に出る」


 ミルファが、すぐに首を振る。


「ダメにゃ! 一人で突っ込むのは――」

「大丈夫」


 マコトは、静かに言う。


「壊さないから」


 ベルゼビュートが、口角を上げた。


「ほう。言い切るか」

「……うん」

「もふぅ……」


 モフが、マコトの肩で震えている。


(もふもふ……怖い……)

「大丈夫だ、モフ。今度は、制御できる」


 その瞬間。

 魔獣の群れが、一斉に動いた。


「来る!」


 リーネが、氷――ではなく、今回は防御陣形を取る。

 マコトは、杖を構えた。


 ――詠唱。


「風よ、流れを分けろ」


 突風。

 だが、以前のような破壊ではない。

 魔獣たちの動線が、意図的にズラされる。


「なっ……!」

「進路、完全に読んでる!?」


 冒険者たちの声が、上がる。

 マコトは、止まらない。


「土よ、縛れ」


 地面が盛り上がり、魔獣の足を固定する。

 次々と。

 倒すのではなく、動けなくする。


「……制圧、完了」


 わずか、数分。

 魔獣たちは、誰一人死なず、完全に無力化された。

 静寂。

 周囲の冒険者が、固まっている。


「……え?」

「今の、C……いや、Bランク相当だぞ?」

「一人で……?」


 マコトは、気まずそうに頭を掻いた。


「……あの、たまたまです」


 ミルファが、ドヤ顔で胸を張る。


「マコトは、いつもたまたま強いにゃ!」

「それ一番怖い!」

「ぶもー」


 プーコも、誇らしげに鼻を鳴らす。


「ぶも」

(私の主だからな)

「お前が言うと、なんか嘘くさい……」


 リーネは、マコトを見つめていた。


「……制御、本物ね」


 ベルゼビュートは、低く笑う。


「ふふ……これは、狙われる」

「え?」

「制御できる力ほど、恐ろしいものはない」


 その言葉の意味が、マコトにはまだわからなかった。

 エルナが、小さく呟いた。


「……あの人、本当に強くなった」

「ええ」


 リーネが、頷く。


「でも、それが……」

「狙われる理由になる」






 その夜。

 酒場の隅。

 マコトたちは、気づいていなかった。


 ――視線。


 暗がりから、じっと。


「……間違いない」


 フードの男が、低く呟く。


「制御できる怪物だ」

「潰すなら、今しかない」


 別の声。


「魔獣狂化事件。あれを、利用する」


 黒衣の人物が、ゆっくりと立ち上がった。


「魔獣使いを、狂化魔獣の群れの中に放り込む」

「……それは」

「ああ。あの男が制御を失えば、街ごと壊れる」

「そして、世界は彼を――敵と見なす」


 フードの男が、邪悪な笑みを浮かべた。


「完璧な計画だ」


 黒衣の人物が、頷く。


「準備を進めろ。次の満月の夜に」

「了解」


 マコトは、そのことを知らず。

 ミルファに、膝を占拠されながら苦笑していた。


「……俺、目立ちすぎた?」


 リーネが、少し困ったように笑う。


「ええ。完全に」


 ベルゼビュートが、楽しそうに言った。


「覚悟しておけ、マコト」

「力を制御できる者はな――」

「最も恐れられる」


 マコトは、グラスを見つめる。


(俺……強くなった)

(でも……平和じゃ、いられないのか)


 その答えは、もうすぐ。

 敵の本気として突きつけられることになる。





 翌朝。

 ギルドに、新しい依頼が掲示されていた。


「【緊急】大規模魔獣狂化事件発生。討伐隊募集」


 マコトは、その依頼を見て固まった。


「……大規模?」

「ええ。前代未聞の規模です」


 受付嬢が、深刻な顔で言った。


「数は、百体以上」

「百!?」

「はい。しかも、全て狂化しています」


 マコトは、息を呑んだ。


「……これは」

「邪教団の仕業です」


 ベルゼビュートが、冷静に言った。


「お前を、狙っている」

「俺を……?」

「ああ。お前の制御を、試すために」


 その言葉に、マコトは何も言えなくなった。


(……俺のせいで、こんなことに)


 ミルファが、マコトの手を握った。


「マコト、一人で抱え込まないにゃ」

「……でも」

「でもじゃないにゃ! 俺たちがいるにゃ!」


 プーコも、力強く鳴く。


(ぶもー!一緒に戦う)

「……ありがとう」


 リーネが、真剣な顔で言った。


「マコトさん。私たちなら、できます」

「……うん」


 マコトは、頷いた。


「やろう。みんなで」


 ベルゼビュートが、満足そうに笑った。


「いい眼だ」


 エルナも、小さく頷いた。


「……私も、手伝います」

「ありがとう、エルナ」


 マコトたちは、準備を始めた。


 大規模魔獣狂化事件。


 それは、マコトの力を試す――

 そして、世界がマコトをどう見るかを決める戦いになる。

 マコトは、まだ気づいていなかった。

 この戦いが、全てを変えることを。


 そして――

 敵の本気が、すぐそこまで来ていることを

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