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神様、魅了の対象そこじゃないです 〜魅了スキルをもらったのに、対象が動物と魔物だけでした〜  作者: たかつど
第2章「星の向こう側」

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5話:俺、少しだけ強いかも?

 その日、マコトは三件の依頼を連続でこなしていた。


 一件目。

 Eランク魔獣 銀白鳥(スワンプラット)三体の討伐。


「……弱い、よね?」


 マコトが風魔法で砂を巻き上げ、視界を奪う。

 プーコが突っ込み。


「ぶも!」


 ――終了。


 五分。


「たまたまです」


 ミルファが、首を傾げる。


「たまたま……にゃ?」

「うん。絶対たまたま」

「もふぅ……」


 モフも、マコトの肩で首を傾げている。


 二件目。

 Dランク 土蜥蜴(アースリザード)単体。

 硬い鱗、素早い動き。

 マコトは少し焦った。


「……来る!」


 だが、足元の地面を隆起させ、動きを止める。

 そこに、風刃。


「――風よ、刃となれ!」


 シュッ!

 風の刃が、リザードの鱗の隙間を狙う。

 ――撃破。


「……あれ?」


 リーネが、驚いたように言った。


「マコトさん……今の、制御できてましたよ」

「え?」

「狙った場所に、正確に風を当てました」

「……たまたまです」

「たまたまじゃありません」


 三件目。

 Cランク相当の魔物 上兵士狼(ハイジャックウルフ)二体。

 さすがに強い。歯も爪も鋭い。

 マコトは後退しながら叫ぶ。


「プーコ、右!」

「ぶも!」


 土壁で突進を防ぎ、風でバランスを崩させる。

 ミルファが、素早く動いた。


「マコト、左も来てるにゃ!」

「わかった!」


 マコトは、左の魔獣に向けて土の柱を隆起させる。

 狼が転倒する。

 リーネの氷魔法が、追い打ちをかける。


「【氷結封印】!」


 ――勝利。

 息を整えながら、マコトはその場に座り込んだ。


「……あれ?」


 ミルファが首を傾げる。


「マコト、疲れてないにゃ?」

「……疲れてるけど」


 マコトは、自分の手を見る。


「前より……戦えてる?」


 リーネが、静かに頷いた。


「戦えてます」


 ベルゼビュートも腕を組む。


「自覚が遅すぎる」

「いや、でも……」


 マコトは、慌てて首を振る。


「強い人たちは、もっと派手だし……」

「それ、比較対象がおかしいにゃ」

「……そうかな」


 プーコが、誇らしげに鼻を鳴らす。


(私の主は強い)

「お前が言うと、なんか嘘くさい……」

(失礼な!)


 その日の夕方。

 ギルドに戻ると、受付嬢が苦笑していた。


「……マコトさん」

「な、何か問題でも……?」

「依頼が、少し……変なのばかり来てまして」


 渡された紙束。

 ・逃げた魔獣の捕獲(なぜか全部メス)

 ・森で増えすぎた魔獣の間引き(なぜかマコト指名)

 ・人に懐かない魔獣の世話係


「……なんで?」

「『あの人なら大丈夫』だそうです」


 マコトは頭を抱えた。


「俺、そんな信用されてる……?」

「されてます」


 受付嬢は、微笑んだ。


「魔王を仲間にした冒険者、って有名ですから」

「それ、誤解ですから……」

「ぶもー」


 プーコが、得意げに鳴く。


(誤解じゃない)

「お前は黙ってろ……」



 その日の夜。

 簡易宿の中庭。


 マコトの周囲には――

 ウサギ型魔獣。狐型魔獣。小さなモフモフが、いつの間にか三匹増えていた。


「……増えてる」

「増えてるにゃ!」


 ミルファは楽しそうだ。


「もふもふ天国にゃ!」

「ぶも」


 プーコは、謎の貫禄。

 ベルゼビュートはため息をついた。


「……軍勢の芽が、着実に育っているな」

「やめて!」


 マコトは即否定する。


「俺は、まだ弱いし……」


 だが。

 魔獣たちは、迷いなくマコトのそばに寄る。

 ウサギ型魔獣が、マコトの膝に乗った。


「……可愛い」

「にゃー! 俺も乗るにゃ!」


 ミルファが、反対側の膝に乗る。


「重い……」

「もふぅ……」


 モフも、頭の上に乗った。


「お前もか……」


 狐型魔獣が、マコトの足元で丸くなる。


「……完全に、包囲されてる」


 リーネが、少しだけ羨ましそうに見ている。


「……マコトさん、人気者ですね」

「人気者じゃないです……」

「でも、魔獣たちはマコトさんを信頼してます」

「……そうかな」


 ベルゼビュートが、腕を組んで言った。


「お前は、自分を過小評価しすぎだ」

「え?」

「今日の戦い、見ていた」


 彼女は、マコトを見た。


「お前は、確実に強くなっている」

「……でも」

「でも、ではない」


 ベルゼビュートは、真剣な目で言った。


「お前は、もう弱くない」


 その言葉に、マコトは何も言えなくなった。


「……俺」


 小さく呟く。


「少しだけ……強くなってる、のかも」


 自己評価は、相変わらず低い。


 けれど。

 確実に――世界の見え方は、変わり始めていた。


 ミルファが、マコトの胸に頬ずりする。


「マコトは強いにゃ」

「……ありがとう」

「にゃー」


 ウサギ型魔獣も、小さく鳴いた。


「きゅー」

(訳:安心する)

「……そっか」


 マコトは、少しだけ笑った。


「じゃあ、もっと頑張らないとな」

「ぶもー!」


 プーコが、力強く鳴く。


(私も手伝う)

「お前は、いつも手伝ってるだろ」

(これからも手伝う)

「……ありがとうな」


 リーネが、優しく微笑んだ。


「マコトさん、素敵です」

「え?」

「魔獣たちに、こんなに愛されて」

「愛されてるって……」

「愛されてます」


 ベルゼビュートも、小さく笑った。


「……まあ、悪くはない」

「悪くはない?」

「ええ。あなたらしいから」


 マコトは、少しだけ照れた。


「……そっか」



 その夜、マコトは思った。

 自分は、まだ弱い。

 でも、仲間がいる。

 魔獣たちがいる。

 それだけで、十分強くなれる気がした。


「よし、明日も頑張ろう」

「にゃー!」

「ぶもー!」

「もふー!」


 賑やかな声が、夜空に響く。

 マコトの成長は、まだ続いている。


 そして――

 新しい冒険が、すぐそこまで来ていた。



 翌朝。

 ギルドの掲示板に、新しい依頼が貼られていた。


「【緊急】Bランク魔獣出現。討伐隊募集」


 マコトは、その依頼を見て固まった。


「……B、ランク?」

「にゃ? マコト、やるにゃ?」

「いや、無理だろ……」

「ぶもー」


 プーコが、マコトの背中を押す。


(やれる)

「お前……」


 リーネが、真剣な顔で言った。


「マコトさん、私たちならできます」

「でも……」

「信じてください。自分を」


 その言葉に、マコトは少しだけ勇気が湧いた。


「……わかった」


 マコトは、依頼書を手に取った。


「やってみる」


 こうして、マコトたちは新しい挑戦へと向かった。

 自己評価は低いまま。


 でも、確かに――

 強くなっている。

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