リーネ編:「隣にいる理由」
朝のギルドは、今日も騒がしい。
「マコトさん、依頼書逆です」
「え? あ、ほんとだ」
相変わらず頼りない。
でも――
「マコトさん、右」
「了解」
戦闘になると、迷わない。背中を預けるのが、当たり前になっていた。
「ねえ、マコトさん」
依頼帰り、リーネは何気なく言った。
「もし、また星を見に行きたくなったら……」
「うん」
「私も、隣にいていいですか?」
マコトは一瞬固まり、次の瞬間、耳まで真っ赤になる。
「……そ、それは……」
「ダメですか?」
「ダメなわけないだろ!」
リーネは笑った。
この人は、何も変わっていない。
でも――変わらずに、選び続けてくれる。
それが、嬉しかった。
「じゃあ、今夜行きましょうか」
「え、今夜?」
「はい。星が綺麗な夜ですから」
「……わかった」
マコトは、照れたように笑った。
「一緒に見よう」
リーネの胸が、温かくなる。
この人と一緒なら、どんな未来も怖くない。
「あの……マコトさん」
「ん?」
「私、マコトさんのこと……」
言葉が、途中で止まる。
「……何?」
「……大好きです」
マコトの顔が、真っ赤になった。
「い、いや、その……」
「返事は、急がなくていいです」
リーネは、微笑んだ。
「ただ、知っておいてほしかったんです」
「リーネ……」
「これからも、ずっと一緒にいてくださいね」
「……ああ」
マコトは、頷いた。
「ずっと、一緒だ」
夕焼けが、二人を照らしている。
リーネは、マコトの隣を歩きながら思った。
この場所が、私の居場所。
この人が、私の選んだ未来。
そう思えた、穏やかな午後だった。




