表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様、魅了の対象そこじゃないです 〜魅了スキルをもらったのに、対象が動物と魔物だけでした〜  作者: たかつど
第1章「星空の死と、外れチート」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/66

39話:選ばれた未来

 朝だった。


 夜明けの光が、雪解けの地面を照らしている。

 マコトは、丘の上に立っていた。

 背後には、リーネ。少し離れて、アイシア。さらに後ろで、ベルゼビュートとプーコ。


 ――全員、待っている。


「もふぅ……」


 肩の上のモフが、不安そうに鳴いた。


「大丈夫だ、モフ」


 優しく撫でると、モフは少しだけ落ち着いた。


「マコト」


 アイシアが、先に口を開いた。


「王国は、あなたを戦力として管理したがっている」

「魔獣の王の資質。魔王と心を通わせた前例」

「……逃げ場は、もう少ない」


 リーネが、不安そうに拳を握る。


「マコトさん。無理に答えを出さなくても……」

「いや」


 マコトは、ゆっくり振り向いた。


「出すよ」


 自分の声が、思ったより落ち着いていて驚く。


「ずっとさ」


 マコトは笑った。


「流されてきたんだ」

「死んだのも、転生したのも、力を持ったのも」

「全部、偶然だった」


 ベルゼビュートが、静かに目を細める。


「でも」


 マコトは、一歩前に出る。


「今は違う」

「選べる」


 プーコが、マコトの足に鼻を押し付ける。


(がんばれ)

「……ありがとうな」


 マコトは頭を撫でる。


「もふ……」


 モフも、マコトの頬に顔を擦り付けてくる。


「俺は」


 そして、仲間たちを見る。


「世界を壊したくない」

「でも」

「世界のために、誰かを切り捨てるのも嫌だ」


 沈黙。

 風が吹く。


「だから」


 マコトは、はっきり言った。


「俺は、俺の仲間を基準にする」

「仲間を守るために、戦う」

「仲間が笑える世界なら、守る」

「それ以外なら――世界と、喧嘩する」


 一瞬。

 次の瞬間。


「……はぁ」


 ベルゼビュートが、額を押さえた。


「本当に」

「人間って、面倒」

「褒めてる?」

「最大級に」


 彼女は、くすりと笑う。


「世界より先に、私を選ぶ人間なんて」

「初めて見た」


 リーネが、一歩近づいた。


「マコトさん」

「私、あなたの選択を信じます」

「たとえ、王国が敵になっても」


 マコトは目を瞬かせる。


「……それ、重くない?」

「重いです!」


 即答だった。


「でも、一緒に背負いますから」


 アイシアが、静かに頷く。


「ならば、私は証人になろう」

「あなたが、世界を壊さなかった証を」


 マコトは、深く息を吸った。

 怖い。正直、めちゃくちゃ怖い。


 でも。


「……星空の下でさ」


 ふと、昔を思い出す。


「俺、何もかも投げ出したかった」

「でも今は」


 仲間を見る。


「守りたいものがある」


 それで、十分だ。


「もふ!」


 モフが、元気よく鳴いた。


(私も一緒に戦う!)

「お前は戦えないだろ……」

(でも、応援する……)

「ありがとう」


 ベルゼビュートが、少しだけ笑った。


「あなたの選択、私も認めるわ」

「本当に?」

「ええ。世界を壊すかどうか、判断するつもりだったけど……」


 彼女は、空を見上げた。


「あなたが選んだ未来なら、私も一緒に歩く」

「ベルゼビュート……」

「ただし、条件がある」

「条件?」

「あなたが、仲間を裏切らないこと」


 ベルゼビュートは、真剣な目でマコトを見た。


「もし、裏切ったら……その時は、私があなたを壊す」

「……わかった」


 マコトは、頷いた。


「裏切らない。絶対に」

「ぶもー」


 プーコが、満足そうに鳴く。


(いい答えだ)

「お前に褒められると、なんか不安になるんだけど……」

(失礼な)


 リーネが、くすっと笑った。


「マコトさん、プーコと息が合ってますね」

「合ってるのかな……」

「合ってます」


 アイシアが、翼を広げた。


「では、行くぞ。王国との交渉に」

「交渉?」

「ああ。お前の選択を、王国に伝える」

「……大丈夫かな」

「大丈夫だ」


 アイシアは、力強く言った。


「お前には、仲間がいる」


 その言葉が、胸に沁みた。


「行こう」


 マコトは、歩き出した。


「俺たちの未来へ」


 プーコが先頭を走り、リーネが笑い、アイシアが翼を広げ、ベルゼビュートが、少し遅れてついてくる。


「もふもふ!」


 モフも、元気よく鳴いた。


 その背中は――もう、孤独じゃなかった。

 選ばれた未来は、誰かに決められたものじゃない。

 自分で掴んだ未来だ。


 王都に向かう道中、リーネが俺の隣に並んだ。


「マコトさん」

「ん?」

「私、マコトさんのこと、ずっと好きでした」

「え……」


 顔が、真っ赤になる。


「い、いや、その……」

「だから、これからもずっと一緒にいます」

「……ありがとう」


 リーネは、微笑んだ。


「マコトさんの選択、私は誇りに思います」


 ベルゼビュートが、後ろから声をかけてきた。


「あら、告白?」

「ち、違います!仲間としてってことです!」


 リーネが、慌てて否定する。


「いいえ、どう聞いても告白よ」

「ぶもぶも」


 プーコも、ニヤニヤしている。


(お前もやるじゃん)

「お前は黙ってろ!」

「もふー」


 モフも、楽しそうに鳴いた。


 アイシアが、呆れたように言った。


「……やれやれ。世界を救う前に、恋愛沙汰か」

「違う! これは……仲間と」

「どう見ても、恋愛よ」


 ベルゼビュートが、楽しそうに笑う。

 マコトは、真っ赤な顔で歩き続けた。

 でも、不思議と嫌じゃなかった。


 むしろ、こんな日常が――

 守りたいものだと、改めて思った。

 王都の門が、見えてきた。


「……行くぞ」


 マコトは、深呼吸をした。


「俺たちの未来を、守るために」


 仲間たちが、頷く。


 そして――

 マコトたちは、王都へ向かった。

 世界を救う旅は、まだ続く。


 でも、今は確かに――

 希望が、見えていた。

 自分で選んだ未来に向かって。

 マコトたちは、歩き続ける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ