第8話 奇跡と再会
ケンジは旧王都跡地の黒竜討伐に向かった仲間を探すために旧王都に向けて旅をしていた。
旅の中で立ち寄った村や町で天文部メンバーの事を聞くが、収穫はあまり芳しくなかった。
「みんな、無事だと良いんだけど……」
旅の途中の森で、野営をしながら焚火にあたり、仲間たちから渡されたお守りを見るケンジ。
仲間の旅立ちの時にもらったお守りだが、今ではその光を失い、灰色の鉱石と化していた。
「あの日から光を失った。俺もそうか……」
誰に言うでもなくケンジはつぶやく。
翌日、ケンジは野営を片付けて、再び旅の準備をする。
旅の前にもう一度、お守りを見る。
「これは……!」
お守りはかすかに光を灯していた。
「なんで、光が……、いったいどういう……」
そこでケンジの頭に一つの仮説が思いつく。
このお守りは仲間の能力から作られた結晶体であり、もしかすると、仲間が近くにいると本体と共鳴して光が灯り、仲間が離れると光も消える仕組みなのではないか。
だとすると、旅立ちの日に光を放ち、仲間が離れるほど光が弱まっていったことにも説明がつく。
「この説が正しければ、みんなは近くにいる……!」
ケンジはすぐに行動した。
荷物をまとめて、念動力で上空へと飛翔し、森全体を俯瞰する。
すると、少し離れた位置で魔物と戦っているパーティーを発見する。
もしかすると……、そんな淡い期待を胸に、戦闘中のパーティーの近くに着地して、助太刀する。
「大丈夫か! 援護する!」
「助かる!」
ケンジは念動力で魔物たちを押さえつけ、パーティーはそれぞれ炎、水、風、土の能力で魔物を討伐する。
「ありがとう。君のおかげでスムーズに……、君は!?」
パーティーのリーダーがケンジに礼を述べるも、ケンジの顔を見て驚く。
「やっぱりだ! 俺の推測は正しかった!」
ケンジはパーティーのリーダーのココの手を握る。
「会いたかったですよ。ココ先輩、それにみんな!」
「ケンジ先輩! よくぞ無事で……!」
アカリがケンジに抱き着く。
「アカリ、君がくれたお守りのおかげでみんなに会えたんだ!」
ケンジがアカリを抱き返す。
「カネモト先輩が無事でよかったです!」
フウカも涙目でケンジに近づく。
「ケンジ、本当に無事でよかったけど、どうしてここに? それに、その髪の色は……」
リョウがケンジに問う。
「ああ、まあ、色々あってな」
ケンジはアクトーク子爵の裏切り、殺されかけて異能が覚醒した事、その影響で髪が白くなったこと、そしてアクトーク子爵の最期を話した。
「圧政を敷いた悪徳貴族の末路、か……」
ココはそうつぶやいて目を伏せる。
「あの~、じゃあ、これからどうしましょうか?」
フウカが小さく手を上げながら言う。
「確かに、黒竜討伐を命じたアクトーク子爵がいなくなった今、僕たちが黒竜と戦う理由はないよね。ケンジとも再会できたし」
リョウもフウカの疑問に乗る。
「ふむ、そうだな。では、地球に帰る方法を探そうか。来たのだから帰る方法もあるかもしれない」
「そうですね。そうしましょう」
ココの提案にアカリが賛同する。
「じゃあ、目標を新たにみんなで頑張ろうぜ」
ケンジたちの地球に帰るという新たな目標に向かって旅を続ける。
幻魔天操~異世界に召喚されたが能力無しとして処分されかけるも能力覚醒で逆転、今までのツケはきっちり返す!~
完
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