第6話 報復と制裁(前)
ケンジは自らに念動力を使用する事で、空中を高速移動してアクトーク子爵領に戻ってくる。
アクトーク子爵領の入り口に着地し、アクトーク子爵領に入ろうとするケンジ。
だが、空を飛んできたという怪しい存在であるケンジを衛兵が止める。
「空を飛んでくるなど何者だ! 怪しい奴め!」
衛兵が槍を突き付けてケンジに怒鳴る。
「面倒だな、少し黙らせるか」
ケンジがそうつぶやいた時だった、3人いた衛兵の内の一人がある事に気付く。
「お前、もしかして朝に追放された無能者か?」
その一言で衛兵たちの空気が一変する。
「言われてみりゃあ、こいつ、無能者じゃねぇか!」
「髪の色を変えやがって、イメチェンか? ハッハッハッ!」
「ヒヒヒ! どうやって帰ってきたかしらねぇが、自分から死にに来たかぁ?」
衛兵たちのケンジ=無能者というイメージが、ケンジが処刑人たちを片付けて空を飛んで帰ってきたという現実を忘れさせていた。
ケンジは両手を衛兵に向ける。
そして力強く握り込む。
「ぐっ! がっ!」
「い、息が!」
3人いた衛兵のうち、2人がケンジの念動力で首を締めあげられて宙に浮かぶ。
足が地面から離れて締め上げられた衛兵は首を抑えてもがく事しかできなかった。
「な、なんだコイツ!? お、応援を呼ばないと!」
ケンジは冷めた目で逃げる憲兵の背中を見つめる。
「どうせ始末するんだ。向こうから来るなら、その方が楽で良い」
そう言って気絶した衛兵を離してケンジはアクトーク子爵領に入っていく。
アクトーク子爵領の中を進み、アクトーク子爵邸を目指すケンジ。
しかし、その行く手を衛兵たちが遮る。
「化け物が! ここで始末する!」
逃げた衛兵が応援を連れて戻って来たのだ。
「無能者の次は化け物か。俺からしたら、お前ら異世界人の方が醜い化け物だがな」
ケンジは衛兵に向かって手をかざす。
すると衛兵たちは動きを止める。
衛兵たちの体には凄まじい重圧がかかり、動けなくなっていたのだ。
「お前らみたいな雑魚に幻精剣を使うまでもない。そこで潰れてろよ」
ケンジの念動力により、上から念力で押し付けられている衛兵たちは徐々に体勢を崩し、膝をつく。
「なんなんだこれは!? なんの力だ!?」
じわじわと地面に沈んでいく衛兵たち。
その光景を興味なさげにケンジは眺めていた。
「どうした? 俺を殺しに来たんじゃないのか? 地面とキスしたかっただけならそう言えよ」
そう言ってケンジは念動力による圧力を強める。
膝立ちで踏ん張っていた衛兵は遂に地面に押し付けられて倒れ伏す。
「この化け物め! 卑怯な術を使いやがって! 正々堂々戦え!」
一人の衛兵が吠える。
その言葉にケンジの眉が少し動く。
「口だけは達者らしい。人の神経を逆撫でする才能に敬意を表して褒美をやるよ」
ケンジはその手に青い光を収束する。
幻精剣を作り出し、ケンジに吠えた衛兵に幻精剣を突き刺す。
「あっ、あっ、あひあひあひ~!!」
幻精剣の発狂効果により、衛兵は発狂する。
その光景を見た他の衛兵は恐怖した。
「い、命だけは……! 命だけは助けてくれ!」
「殺さないでくれ!」
衛兵は次々とケントに命乞いを始める。
「どいつもこいつも言う事は同じだな」
ケンジは手を振り下ろし、念動力の圧力をさらに高める。
「うがぁ……!」
「ぐ、ぐぇっ!?」
地面にめり込むほどの重圧を掛けられ、情けない悲鳴を上げながら、衛兵たちは意識を手放していく。
ケンジは十数人の衛兵を動かずに制圧する。
「時間の無駄遣いをしちまったな」
ケンジはアクトーク子爵邸へと再び歩き出す。
ケンジと衛兵の戦いはアクトーク子爵領の多くの住民が目撃していた。
多くの衛兵が出動し、何事かと住民たちは様子を見ていたのだ。
そして、ケンジが圧倒的力で衛兵を撃破するところを目撃する。
「あ、あの……」
「なんだ?」
住民に声を掛けられて立ち止まるケンジ。
住民はケンジを恐れながらも言葉を続ける。
「我々はアクトーク子爵の圧政で苦しい生活をしています。差し出せるものはありませんが、どうかアクトーク子爵を倒してください」
「あんたらに頼まれるまでもなく、あの豚貴族は始末する」
そう言って歩き出すケンジ。
しかし立ち止まり、住民たちの方を振り向いてケンジは言葉を付け足す。
「俺が豚貴族の取り巻きを始末する。やりたい事があるなら、あんたらが豚貴族に直接やればいい。おれが舞台は用意してやる」
そう言ってケンジはアクトーク子爵邸に歩き出す。
「さて、豚貴族様よ。お仕置きの時間だぜ?」
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