第4話 アクトーク子爵の独白
~アクトーク子爵邸~
「クソッ、ワシはこんなクソ田舎の領主で終わる器ではない!王都の大貴族になるはずの男だぞ!」
自室で吠えたてるのはアクトーク子爵家の現当主であるアクト・アクトーク子爵。
小太りでプライドと自尊心だけは高い男であった。
「少し税を上げただけで文句を言う無能な領民共め……!少しはワシの役に立たんか!」
野心と現実の差異でアクトーク子爵はストレスを溜めていた。
「アクトーク子爵、よろしいですかな?」
そう言って部屋を訪れたのはホロー・マギアン。
アクトーク子爵の側近の魔術師で細身で長身の初老の男だ。
「なんだ?」
ホローの訪問にやや苛立ちながらも返事をする。
「村の外れからこんなものが発見されました。如何しましょう?」
そういってホローが差し出したのは古くボロボロになった本の様な物だった。
「なんだその小汚い本は。さっさと捨ててしまえ!いちいちワシの所に持ってくるな!」
アクトーク子爵は興味なさげに吐き捨てる。
「お言葉ですがアクトーク子爵、これは異界からの来訪者召喚の魔導書です。本当に捨ててもよろしいので?」
「何?異界からの来訪者だと?」
ホローの言葉に動きを止めるアクトーク伯爵。
異界からの来訪者とは、その名の通り、異界からの来訪者。
異能という魔法・魔術とは異なる特殊な能力を持ち、過去に何度か「異界からの来訪者」が召喚され、度々歴史に大きな影響を与えた存在である。
「これを見つけたのはお前か?」
「いいえ、村人です」
アクトーク子爵の問いに答えるホロー。
「そうか。満足に税も納めん領民共もたまには役に立つではないか!早速異界からの来訪者召喚の儀に取り掛かれ!」
「仰せのままに」
アクトーク子爵の言葉で異界からの来訪者召喚の儀に取り掛かるホロー。
数日の準備の後、異界からの来訪者召喚の儀の準備が完了し、儀式が執り行われる。
光の魔法陣が展開し、部屋はまばゆい閃光で包まれた。
光が収束すると、そこには5人の少年少女がいた。
「成功か?」
アクトーク子爵はホローに聞く。
「そのようですね」
ホローは成功だと答える。
「しかし、子供ではないか。本当に『異界からの来訪者』なんだろうな?」
「そうですね、魔能診断でも受けさせてみましょう」
召喚された子供たちが本当に異界からの来訪者なのか半信半疑のアクトーク子爵はホローの提案で魔能診断を受けさせることにする。
その結果、5人中4人は異能持ちであった。
「無能が一匹紛れ込んどるという訳では無いか!」
5人のうち一人だけなんの能力も持たない無能が紛れていた。
ホローは異界からの来訪者たちを別室に案内させ、これからのことについてアクトーク子爵と話し合う。
「本物の異界からの来訪者の召喚に成功しましたな」
「だが、無能が混じっておった。生かしておく理由もない。処分するか」
アクトーク子爵は無能力者の処分を決めるが、ホローが待ったをかける。
「異界からの来訪者が素直にこちらの要求を呑むとは限りません。人質として利用しましょう」
「ふむ、それもそうだな」
ホローの案に乗るアクトーク子爵。
「連中に黒竜を討伐させ、旧王都を奪還しようではないか。伝説級の功績だぞ、これは」
「そうですね、成功すれば公爵になるのも現実的かと」
異界からの来訪者を利用して成り上がる事を画策するアクトーク子爵。
早速、別室に待機させている異界からの来訪者たちを呼び出す。
無能者は別で人質として連れてくるようにと命令して。
ホローの予見した通り、異界からの来訪者はアクトーク子爵の要求を呑まなかったため、無能者を人質として交渉し、異界からの来訪者に黒竜を討伐させる要求を通すことに成功する。
異界からの来訪者たちが黒竜討伐に旅立った後にホローに無能者の処遇について聞かれる。
「そんなもの処分するに決まっておるだろう。無駄飯食らいの無能を生かしておく理由はない。脱走した事にすれば、奴らは勝手に探しに行くだろう」
アクトーク子爵はココとの約束を守らず、ケンジの処分を決定。
ケンジのみに危機が迫っていた……。
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