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31話:二つの選択肢

時間っていうのは流れるのが早いなと最近思い始めました。この小説ももう投稿してから一か月経ちます。読者の皆様が見てくださるのは私としてもとてもうれしい限りです。これからも、読んでくれると嬉しいです。

朝 アフトの部屋にて


「・・・自分の立場は他者との相対的な立ち位置によって認識できる。・・・俺は、この言葉を、どこかで聞いたはずなんだ。そして、この言葉には続きがあることも。・・・ああ、思い出せん。・・・起きるか。」


アフトはけだるそうに起きる。


「俺は何者なんだろうか。・・・なんか気持ち悪くなった。顔でも洗いに行こう。」


アフトは自分の部屋を出る。


そういえばカーラの星術・・・というか覚星ってなんなんだ?キスされてマナが増えたのは分かったけど。・・・機会があったら聞こうかな。あれは・・・オレア?

「おい。オレア。何してんの?」


「アフトか。朝食でも食べに行こうかなって。アフトは?」


「顔洗いに。」


「ああ、そういうこと。先食べとくぞ。」


「了解。」

案外大丈夫そうだな。あとで一戦誘お。


アフトが顔を洗った後


「なんかすっきりしないな。・・・朝食は抜かそうかな。・・・そうだ。外に出よう。昨日やったみたいに。」


アフトは外に出ようとする。と。


「アフト。朝食は食べないのか?」


「オレアか。何でここに?」


「いや。特に理由はない。適当に外でもぶらつこうかなって。」


「まじ?・・・なら戦わない?」


「えぇ。せっかくの休日だぞ。てか俺まだ痛いし。どうせ明日戦う羽目になるんだから、今戦わなくても。」


「まあ。そう言われればそうなんだけどさ。」


「ヴァイツ様には会いに行ったのか?」


「あ!行ってない!」


「朝食食べに行ったとき少し見かけたから、そのあたり探してみたら?食堂ぐらい分かるよな?」


「それは分かるよ。ありがとう。行ってくるわ。」


「またな~。」


アフトは食堂に直行する。しかし、そこにヴァイツの姿はなく、近くの使用人にヴァイツのことを聞いて。やっとのことで、ヴァイツを見つけることができた。


「ヴァイツ様。探しましたよ。」


「アフトか。何か用か?」


「え。なんかオレアがヴァイツ様が俺を探してるからって言ってたから。」


「!ああ。あれか。アフト。お前メシエ様にバルカンっていう人物について聞かなかったか?」


「ええ。聞きましたけど。なんでヴァイツ様が知ってるんですか?」


「メシエ様が直々に私に手紙を送ってくださったのさ。アフトの為だろうな。」


「そうなんですか!」


「ああ。あとでお礼を言っておくといい。」


「分かりました。・・・それで、バルカンっていうのは、どういう人なんですか?」


「バルカンっていうのは、ダースの初代アストラムだ。要するにダースを作った人物だな。」


「・・・は?」


「久しぶりに聞いたよ。確かダースのお金の肖像に使われていたはずだ。ダースでは結構・・・というか学校で習うからな。有名というか常識だな。」


「・・・え。本当にですか?」


「ああ。・・・アフト。お前はもしかしたらとんでもない人物なのかもしれない。ダースの国民からバルカンという名前を聞けば何も不思議ではないのだが。まったく違う国の、しかもアフトのような記憶喪失の人物からその名が聞こえたら、誰しも驚きはする。・・・もしこの戦いが終わればダースに行ってみてもいいだろう。もしかしたら何か手掛かりがつかめるかもしれない。」


「・・・考えておきます。」


「ああ。まだ心の整理がついてないだろう。・・・もし行くなら言ってくれ。ダースの国とは個人的に繋がりがある。」


「ありがとうございます。」


ヴァイツは去っていく。


「・・・バルカン。ダースの初代アストラム。」

・・・これでまた、俺の歴史・・・というには浅すぎるけど、近づけたのかな。


アフトのことについて、一つの鍵が開いた。しかし、アフトはまだ知らない。その鍵がまだ何百もあること。そして、アフトが背負う業も。彼自身が、この世界の鍵だということも。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「・・・選択肢、ですか。」


「ああ。」


寝る前にメシエ様から呼ばれたと思ったら、明日行くところらしい。なんか二択あるから好きな方選べだってさ。ちなみにカーラとオレアも呼ばれてるっぽいね。・・・結局ザニアちゃんとムジカさんには会わなかったんだよな。少し話してから出発したかったんだが。


「一つ目は、”プロセラ”公爵領の港に行く。二つ目は、グランドール家へ殴り込み。一つ目についてだが、そもそも港について話そう。港とは国を確立するうえで必要不可欠なものだ。漁業も、貿易も、どちらも国に多大な利益をもたらすことに変わりはない。そこでクアラルでは港は公爵家以上の位の者が管理することになっている。犯罪もその分起きやすく、適切な管理がなされなければならないからな。今回の騒動で、クアラルの港全てにクアラルから船を出すことが禁止された。つまり誰もクアラルから脱出できないわけだ。」


「なるほど。」


「だが、プロセラ公爵は周りが革命派の貴族しかおらず、港を死守するのが難しくなっている。港は守護派にとっても、革命派にとっても死守、奪取すべき場所なのだ。革命派が港を得れば、物資を得る機会を与えてしまう。それはこの戦いを長引かせるだけだからな。」


「メシエ様。質問です。」


「なんだ?アフト。」


「革命派の貴族にとって港が大事な理由は分かりました。しかし、シュタールやアラネアなどの潜入者は必ずしも港から脱出するとは分かりません。個別の船を用意してる可能性があるのでは?」


「もっともな意見だ。だが、すでに王家がガラルドに支援を求めている。ガラルドはこれに了承したから、クアラルとガラルドが両方沿岸警備をするはずだ。また、隣国のバステフ、ゼスト、イゼルーが国境の警備を強化してくれた。だから国外に脱出するのはかなり難しいはずだ。」


「なるほど。理解できました。」


「以上の理由からプロセラ公爵から支援を依頼された。これが一つ目の選択肢。二つ目は・・・言わなくても分かるな。」


「はい。」


「三人で行ってもらうから、よく相談して決めてくれ。」


メシエは溜まっている書類に目を通し始める。


「・・・どうする。」


「オレアは・・・港がいいんじゃないの?」


「まあ、海は好きだからな。正直言えばプロセラ公爵のところに行きたいけど。・・・二人は?」


「私は・・・どっちでもいいわね。」


「俺は・・・グランドール家の方に行きたいけど、長引かせるのは嫌なんだよな。・・・てか、グランドール家に殴り込みに行く利点ってなんなの?」


「聞いたら?」


「それもそっか。・・・メシエ様。」


「どうした?もう決まったか?」


「いえ。ただグランドール家に行く利点が知りたいなと思いまして。」


「ああ。それか。グランドール家がこの戦いに関して何か情報を握ってるのは間違いなしな。それにその潜入者はクアラルの情報を持ち帰るためにこの騒動を起こしたんだろ?なぜここまでの規模にする必要があったかは知らないが、その理由もグランドール家が知っていると踏んでいる。要するに二つの選択肢の違いは、前者がこの戦いを終わらせることだけに焦点を置いたもの、後者がこの戦いの理由の解明に焦点を置いたものだ。どちらを選んでも守護派には利益がある。」


「ありがとうございます。・・・だってさ。」


「まぁ・・・港でいいんじゃない?」


「ね。俺もそう思った。・・・港でいっか。皆異論はないね?」


「ああ。」 「ええ。」


「じゃあ決まりか。・・・メシエ様。」


「決まったか。どっちに行く?」


「プロセラ公爵の支援をしたいと思います。」


「分かった。馬車と金、必要な物資を用意しておく。だいぶ長旅になる。必要なものがあれば今のうちに用意しておけ。野宿もする必要があるだろう。」


「え。そんな遠いんですか?」


「ああ。そもそも距離がかなり遠く、道中の町も革命派の貴族が支配しているところがある。通っても構わないが、体力も、物資も消耗するだろう。何より行くのは三人だけだからな。あまり得策とは言えないだろう。」


「なるほど。ありがとうございます。」


「プロセラ公爵領内に入れば、特に問題はなくなるはずだ。カーラにあとでユーゲント家を証明する資料を渡しておく。カーラの方が慣れているだろうからな。」


「分かりました。」


「では、これで解散しようか。何か質問は?・・・誰も何もなさそうだな。三人とも、もう休んでいいぞ。今回もよろしく頼む。」


「「「分かりました!」」」


こうして、アフト、カーラ、オレアの三人の目的地が決まった。

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