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23話:不和

「!アフトじゃない!なんか久しぶりね。たまには世間話でも・・・。ちょっと待って。その腕どうしたの!?」


「・・・ああ、カーラか。ちょっといろいろあってね。メシエ様は今部屋にいるかな?」


「ええ。多分いると思うけど。でもアフト、あなたそれどころじゃ・・・。」


「まあ止血は終わってるし。ポーションはも使っちゃったから。治すなら明日だね。教えてくれてありがとう。」


「・・・念のため私もついていくわ。」


「そう。じゃあ、そうしてもらおうかな。」


「もちろんよ。」


アフトとカーラは一緒にメシエのいる部屋へ向かう。


「メシエ様。アフトです。入ってもいいでしょうか。」


「ああ、アフトか。思った以上に早かったな。いいぞ。」


「失礼します。」


「カーラも来たのか。・・・それで?どうだった。調査は・・・腕はどうした?」


「いろいろありまして。」


「・・・説明しろ。」


アフトはこれまであったことを説明した。


「・・・ふむ。アラネアね。・・・特徴は?」


「星術はレグルスです。覚星かレグルスそもそもの能力かは分かりませんでした。レグルス使いにあまりあったことがないので。そして変身していましたから、特徴はあまり意味がないかと。ただ、声は女性のような高い声でした。おそらく名前も偽名の可能性があります。」


「ギルドは耐えれると思うか?」


「賑わってはいましたが、確実に勝てるとは言えないです。正直不確定要素が多すぎます。しかし、仮に無視すれば防衛線は崩壊する危険性は否めません。」


「人数が足りないのか?ほかの貴族からの支援はないのか?」


「フォルティスさん・・・ギルドマスターに聞けば、支援の連絡が来たのはユーゲント家だけと言ってましたけど。」


メシエは慌てて立つ。


「・・・今、なんと?」


「ユーゲント家だけから援助するという連絡が来たそうです。」


「・・・。」


「どうかなさいましたか?」


「ユーゲント家は長い歴史を持つ。だから貴族との交流も激しい。そこでギルドの話題は出ていた。そして援助するという話は他の貴族からもよく聞こえた。だからこの件は少し後回しにしていたんだ。アフトを向かわせたのは他の貴族が対処し、その結果を見るため。だが・・・。」


「その話し合いにグランドール家は?ウートガルザ家は?」


「グランドール家はいた。しかし・・・そうか。内通者は二人でも、その二人が仲間を作る可能性は大いにあり得る。盲点だった。・・・というか、ウートガルザ家が内通者だと思われてるのはよく気付いたな。」


「以前書庫で調べてるときに移民のことが書かれていまして。それでウートガルザ家が今有名な貴族でしたから。怪しむのは当然かと思います。」


「そうか・・・。さて、かなり不味いな。アフト。クアラルにどれくらいの貴族がいるか知っているか?」


「・・・いいえ。」


「今は70家よ。大公、公爵がそれぞれ5家。侯爵が10家。辺境伯を入れた伯爵、子爵がそれぞれ15家。そして男爵が20家。」


「完璧だ、カーラ。アフト。将来もこの数はおそらく変わらないから、覚えておくといい。」


「分かりました。」


「カーラ、君に聞きたい。もし内通者が2人で、かつその2人が仲間を作っているとしたら、それは何家ぐらいになると思う?」


「その内通者は、ウートガルザ家とグランドール家でよろしいでしょうか?」


「ああ。それでいい。」


「・・・20~30家だと。」


「根拠は?」


「ウートガルザ家は他の貴族と比べれば比較的最近できました。いくら大公と言っても、まだ影響力はそこまでないとみていいでしょう。だから5家から10家を。そしてグランドール家はかなり歴史があります。正直内通者だとは思ってもみませんでしたが、それ故影響力はあるでしょう。伯爵家ですから、それより下の位の貴族は従うでしょう。それ故15家~20家を。」


「・・・なるほどな。まあ、概算でもそうなるだろうな。ただほかの貴族の影響は考慮してないみたいだな。考慮すると15~20家といったところか。・・・この規模は単なる政戦では終わらないぞ。もはや内戦・・・独立戦争だな。」


「・・・これからどうしましょうか。」


「そうだな。ギルドの件は芸術家を送るしかないだろう。これが相手の狙いの可能性もあるがスピカが丸裸になるのは不味いからな。見事に後手に回ったわけだ。カーラは学校で情報でも探っててくれ。前よりも用心してな。」


「分かりました。」


「アフトは・・・明日は腕が治るまで休め。ポーションがあるはずだから、ムーサにでも持ってこさせよう。そして明々後日の学校は王女に会いに行け。」


「・・・まじっすか。」


「ああ。かなり不味い状態だからな。おそらく何らかの戦いが発生すれば女王の力を借りなければならなくなるだろう。情報を話し、そのことを希わねば。」


「女王ですか?」


「ああ。この国で一番強いお方だ。そもそも大体の国にとって王というのは力と権威の象徴だからな。」


「そうなると、まさに戦争ですね。」


「ああ。残念ながらな。血で血を洗うことになるだろう。」


「・・・なんというか、すごいタイミングに学校に入学したものですね。」


「ああ。苦労を掛けるな。」


「とんでもありません。うまくやりますよ。」


「そうか。そういってくれるとありがたい。それと剣に関しては仕方なかったな。また戦いの場の時には新しい剣を用意しよう。」


「ありがとうございます。」


「・・・二人とも、もう自室に戻った方がいい。もうかなり暗い。」


「分かりました。失礼します。」


「失礼します。」

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「なぁカーラ。」


「なに?」


「これからどうなると思う?」


「・・・さぁ。でも何とかなるんじゃない?」


「漠然としてるなぁ。」


「それぐらいがいいわよ。変に心配してもむしろ悪くなるだけ。そういう時は明日の自分に託せばいいんじゃない?私はいつもそうしてるわよ。」


「・・・明日の自分に託す、か。・・・無責任だけど、ちょっといいかも。」


「でしょ?じゃあアフト。」


「?」


「また明日。」


「・・・また明日。」


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