16話:首都観光
「ええと。ザニアちゃん。一度カーラに会いに行くんだけど。来る?」
「はい!行きます!」
・・・なんかほんとに小動物を見てるみたい。芸術家って戦うんだよね?性格とかその時変わるのかな?・・・カーラって芸術家のこととか知ってるんだろうか?・・・ま、知ってるよね。
「カーラ?入るよ?」
「どうぞ。」
?起きてるのかな。
「ザニアちゃん。いいよ。入って。」
「はい!」
「ごめん、アフト。迷惑かけたわね。・・・それで、その子は?」
「はい!私はザニアといいます!芸術家です!」
「・・・え?すいません。もう一回いいですか?」
「はい!芸術家のザニアです!」
「・・・ええと。こんにちは・・・?」
「はい!こんにちは!」
・・・カーラも戸惑ってるな。正直俺には芸術家のすごさが分からんからこんな反応してるけど、めっちゃすごい人なんだろうな。
「グフッ。・・・ちょ。そんな引っ張る必要なくない?」
「しーっ!アフト!何でここに芸術家がいるの!?(小声)」
「え?なんかいろいろあったんだよ。ほんと、感謝してほしいよね。カーラ、あの時危なかったんだから。(小声)」
「・・・そういえば馬車の途中から記憶が無いわね。何があったの?(小声)」
アフトはカーラに事の顛末を話した。
「え!?じゃあ、私たちが乗ってた馬車は敵のやつだったの!?」
「うん。なんか変だなぁ、って思ってたらヘゼ様が直々にここまで案内してくれた。」
「え!?ほんとに?・・・後で感謝しとかないと。・・・それで?なんで芸術家がここに?」
「ああ。俺たちの護衛らしいよ。ね、ザニアちゃん?」
「はい!あなたたち二人を守るよう、メシエ様から命じられております!」
「・・・ええと。ザニア・・・様?さん?」
「ザニアちゃんって呼んでください!」
「分かったわ。えっと・・・ザニアちゃん。」
「はい!ザニアです!」
「・・・カーラ、体調は大丈夫そ?」
「ええ。おかげで何とも。」
「なら、三人で首都を観光しに行かない?メシエ様から指示があったんだ。多分、この街に慣れさせるためだと思う。どう?」
「・・・いいわよ。ザニアちゃんもいい?」
「もちろん!お願いします!」
こうして、アフト、ザニア、カーラの三人は首都へと観光しに行くことになった。
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「では、ここではザニアが観光案内をしたいと思います!」
「「は~い。」」
「・・・ねえカーラ。芸術家ってすごいの?」
「当たり前でしょ。芸術家って言えばユーゲント家の主戦力。クアラル内でも王を除いたら最強って言われてるわ。・・・アフトも見たんじゃないの?ザニア・・・ちゃんの力を。」
「あれすごかったよ。ドアから入ってくると思ったら上から落ちてきたもん。腰ぬかすかと思った。」
「あら。私じゃなくてよかったわ。」
「は。そうですか。・・・これ今どこ向かってんだろう?」
「今はですね!クアラルでも有名なレストランに向かってます!二人ともお腹が減ってると思ったので!」
「ああ。そういうこと。確かにお腹減ってたわ。カーラもそうじゃない?」
「・・・確かに。ねぇザニアちゃん。今行ってるレストランはどんなものが有名なの?」
「はい!たしか、こんな感じだったと思います!」
ザニアは画用紙に絵を描き始める。ザニアが描き終えると一品出てきた。
「これです!」
「うおぉおお。これはまたリアルだな。・・・食べれるの?」
「はい!食べれますよ!ですが、マナなので、お腹にはたまりませんけどね!」
「へぇ~。どれどれ。」
・・・うぉ?ん?なんか何とも言えん味だな。これうまいのか?
「どうだった?アフト。」
「う~ん。何とも言えん。不味くも美味くもない感じ?」
「まあ。食べたことないですからね!見たことはありますから、味は想像で書きました!」
「・・・なるほど。・・・いやでもすごいな。ザニアちゃんの能力すごいわ。」
「褒められてうれしいです!」
「・・・撫でていい?」
「はい!どうぞ!」
ザニアは頭を差し出す。
・・・う~ん。これはまた絶妙な撫で心地だな。
「ちょっと!私にも撫でさせなさいよ!」
「はいはい分かったよ。・・・ザニアちゃん、お願いできる?」
「はい!どうぞ!」
「それじゃ、失礼するわね。」
・・・なんか微笑ましいな。・・・事件なんてなくてこの日常が続けばいいんだが、そうは問屋が卸さないか。
「さ。ご飯を食べに行こうか!」
「ええ。そうしましょう。」
「はい!」
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ご飯を食べ終わったころ、三人が出てきたときは、アフトとカーラがザニアの両手を互いに握るという親子な格好になっていた。
「あ~。美味しかったな。」
「おいしかったけど、あんな高級料理ばかりだとは思わなかったわ。アフト大丈夫だったの?」
「いや、正直胃が緊張でやばかった。・・・このお店って貴族の中で有名なお店じゃないの?」
「ザニアはメシエ様の家でご飯を食べるので、流行には疎いですが、ヘゼ様とそのお友達の方が噂してましたので!」
ああ~。なるほどね。そりゃあんな格式の高い店になるわけだ。
「・・・ザニアちゃん。ほかにおすすめのお店はある?」
「いえ!もう考えつかないので、二人が行きたいところにザニアもついていきます!」
「そう。・・・カーラはどこか行きたいところある?俺は特に思いつかないし、ここには馴染みもないからね。」
「そうね。洋服を買いに行きたいわね。あと、アクセサリーとか香水も。父様が、服はユーゲント家が支給してくれるって言ってたけど、お金に余裕が今はあるから、自分で買いたいのよね。もしかしたら私に似合うのもあるかも。」
「あれ、幸運の髪飾りはつけてないの?」
「あれをいつもつけるのは気が引けるわよ。それにせっかくのプレゼントだから、特別な時につけたいの。」
「ああ、なるほどね。じゃあ、いいんじゃない?ザニアちゃんもいいかな?」
「はい!」
「じゃ、行きましょうか。あ、アフトは私の試着も手伝ってね。」
「え。・・・まあ、いいよ。」
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あ~疲れた。女の子って毎回あんな感じなの?そうだと結構大変だな。・・・ま、カーラも喜んでたし、ザニアちゃんともある程度会話できた。この調子で街の構成は覚えていくか。・・・できれば訓練もしたいけど。いつしよっかなぁ~。イメージで訓練してもいいけど、やっぱ相手がいてくれた方がしやすいんだよね。カーラも荷物を整理しに行ったし、ザニアちゃんを誘うのは気が引けるんだよな。なんか忙しそうだし。・・・お?あれは・・・
「ヘゼ様。どうしたんですか?」
「ああ、アフトか。どうだ、ここの生活は?」
「まだ慣れてませんが、大丈夫だと思います。特に苦もありませんし。」
「そうか。よかった。・・・それで?なんでここに?」
「ええとですね。訓練をしようと思いまして。それでどこでしようかなとか思ってたんですよね。・・・ヘゼ様って、戦いは得意ですか?」
「・・・まさか私を誘う気か?」
「えへへ。だめでしょうか?」
「・・・別にいいが、竜殺し殿ほど強くないぞ。てか、貴族全員が強いわけじゃないぞ。」
「え!そうなんですか?」
「当たり前だろ。てか、竜殺し殿が強すぎるのがいけない。」
「やっぱヴァイツ様って強いんですね。」
「ああ。さすがクアラルの未開拓地全てを管理しているだけある。求められる力も我々のような頭脳だけでなく星術の力も必要とされる。さすがとしか言いようがないな。」
「あ、全て管理してらっしゃるんですか。」
「ああ。クアラルの領地はクアラル王家ができてからかなり広がった。おかげでクアラルの人口増加にもなんとかついていける。・・・それに比べて私たちはアネモス家には手を差し伸べなかった。」
「やっぱり何かあったんですか?」
「聞いてないのか?」
「ええ。ヴァイツ様の過去はヴァイツ様に勝ったら教えてくれるとおっしゃいましたので。」
「なるほど、なら私たちが教えるのは野暮だろう。」
「ええ。だから訓練をしたかったんですよね。」
「・・・私はまだ未熟だが、訓練をやるのもいずれ必要になるだろう。よし、私もやろう。」
「!本当ですか!」
「ああ。・・・殺すなよ?」
「ええと。・・・気を付けます。」
「おい。・・・まあいい。それとアフト。」
「?はい。」
「もし竜殺し殿に会ったらこう伝えてほしい。私たちはいつでも力を貸す用意はある、と。」
「はい!分かりました。」
こうしてアフトとヘゼは訓練した。結果は案外、というかアフトが普通に優勢だったりする。まあ、神器、新星、ヘゼは訓練もあんまりしてないと、要因はかなりあるのだが。




