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CANCER  作者: sig
序章
1/3

目覚め

どうも!初めましてです。シグと申します。初めてなので、温かい目で見てもらえると幸いです。

目を開けた。いや、きっと、そうせざるを得なかったんだ。それは・・・そうだ。眠りから覚めた感覚だったから、仕方なかったんだ。


「・・・こゴホッ、ガハッ、ハッ。」

だめだ、声がうまく出せない。きっと長い眠りだったんだ。だから、とりあえず、息を吸おう。

「すぅ~、はぁ~。」

そうしながら口の中にある微かな唾液を必死で飲み込む。舌を丹念に動かした。口腔の乾燥具合にも驚いたけれど、湿気を感じ取ったのはすぐだった。喉は針を飲み込んでいるけれども、さっきよりかはましだ。

「ここは・・・どこだ?」

初めて言葉を発したけれど、それ以上に言葉を知っていることに驚いた。体を細部まで、動かしにくい目で見る。・・・今思えば、最初にやるべきはこれだったろうと思った。体は・・・着ている外套のようなものをめくる。着ているのはどうやら一枚だったらしい。ちょっと痩せてはいるけれども、それでも瘦せすぎというほどじゃない。視界は大丈夫で、何とかしゃべれる。あとは体さえ動いてくれれば・・・


「ふっ!っと。おっとっ。」

だめだな。体は動くけど、最低限どまり。少し楽な体制で・・・座って体を動かすことにした。きっと周りから見ればずいぶん不格好なんだろうけど、気にしてられない。

「まあ、こんなもんか。よし、とりあえず周りを見てみよう。むやみやたらに動き回るのはまだきついしな。」

体を軸に一回転する。後ろには特に何もない。拘束具とかもないし、拘束とかではなかったっぽい。単純に眠ってただけ?まあ、それは後にして。この外套、ポケットあるし、中に何か入ってたり・・・


「ん?これは・・・手紙?と鍵かな?」

手紙はかなり風化してるみたいだけど、中身までは問題ないだろ。開いてみる。そこには・・・

「なにこれ?CANCER?キャ、キャンサー?てかこれだけ?」

期待外れも甚だしかった。てか、これ見て思い出したけど、俺の名前なんだっけ?確か・・・

「そうだ。アフトだ。俺の名前はアフトだ。ただ、名字は・・・なんだったっけ?」

いかん。名字を完全に忘れてしまった。どうしよう、人になんて説明すれば・・・そうだ!

「アフト・キャンサーって名乗ることにしよう!どうせ誰も俺のこと知らないし。うん。もしかしたら本当に名字かもしれないし。」

まあ、そうであってほしいよねっていう願い。じゃないとCANCERってなんやねん。ほら、よくあるじゃん。自分の大切な動物に名前つけたりさ。きっとそれと似たやつだよ。・・・それはそれで腹立つけど。

「さあ、あとはこの鍵だけど・・・。多分出口の鍵でしょ。そうだと思いたい。まあ、まだ先に道はあるし、進んでから考えよう。」


しばらく進んだ後

「う~ん。特に何もないな。ずっと一本道だし。・・・お?なんか武器っぽいものがある!・・・誰もいないし貰ってもいいでしょ。」

やったね。これで何かと戦う羽目になってもなんとかできる。よいしょっと。

「おぉー。これはこれで。・・・なんか特殊なやつとかないの?」

とりあえずなんかやってみる。ぶん回しても・・・何もない。炎とか水は・・・でない。透明になったり・・・しない。なんか武器が変わったり・・・お?おお?おおお?

「すげぇ!俺が知ってる武器になれるのか。かっけぇ。」

どんどん思いつく武器を考えてみた。ダガー、槍、ハンマーに刀、薙刀。この剣は俺が思いついた順にその武器になっていった。材質や耐久度までは分からないけど、まあ、かっこいいし、いっか。


そういった具合にアフトは洞窟を登っていき、ついに出口らしき扉を見つけた。微かに光が漏れている。


「お。ここが出口っぽい。鍵穴もあるし、出口でしょ。」

鍵は確かこっちのポケットに・・・。いったん剣置くか。よいしょっと。ええと、これだわ。

「うん。はまったし、これだね。」

いざ!開けゴマ!

「うお!眩し!」

目が・・・。うん?

「ここは・・・ほんとにどこなんだ?」


アフトは絶句する。もちろんそこには自分が知らない場所にいるという思いもあるだろう。しかし、それ以上に、そこは、アフトには


「うっ!おぇえ、ぇえ!」


(おぞ)ましいほどの違和感があった。アフトは口を手でふさぐ。幸い中身は出ていなかった。


「はぁ、はぁ、ふぅー。」

ああくそ、気持ち悪い。俺がここに全く馴染みがないことはわかった。それも死ぬほど。とりあえず人を探さないと。

「っ!ああくそ!いってぇ!」

そりゃそうだ。体力も元々なかったんだ。足が動くだけましだったんだ。コケるのだって仕方ない。さっきの嘔吐でもう・・・。ああ、視界がぼやけてきた。誰かいないか?周りに?


「=っと・・・。だい=ょ=ぶ?」


どうやら誰かいたらしい。でも、もう限界だ。


そのまま、アフトの視界は真っ黒に染まった。

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