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第8話 交換条件

知らない人が沢山いて、忘れていた恐怖がまた襲い来る。そして、思い出す。僕は異端で、化け物で、存在していちゃいけなくて、村の皆から言われた言葉が頭を巡り、僕の視界は急速に狭まり、何も見えない暗闇の底へと落ちて行った。




聖女がナイダンに近づいた途端、ナイダンが急に倒れ、うなされていた。恐らくは昔過ごしていた村の事を思い出したのだろう。俺はすぐにナイダンを抱え部屋へ向かったが、勇者達はあまりに急な出来事で理解が追いつかないのか動けなくなっていた。俺は部屋の方と歩きながら、

「こいつは俺が寝かせておくから、お前たちは適当に何処か座っておけ。」

俺がそう言ってようやく勇者たちは動き出して、俺はそれを確認してからまた歩き始める。

それ後、ナイダンを部屋を連れていき、寝かせた後、暴走しないようにしっかり魔法で拘束し、安眠できるように魔法をかけてから勇者たちの元へと向かった。勇者たちは勝手にお茶をいれて寛いでいたようだが、聖女だけは自分のせいで倒れたと思っているのか、少し落ち着きがなかった。

「大丈夫だ、聖女。あれは恐らくお前に原因はない。原因としては、あいつ自身の育った環境だろう。」

俺がそう言ったことで聖女は少し落ち着きを取り戻したが、すぐに女の弓使いが問いかけてきた。

「あの子の育った環境が原因って、私達が近づくだけで倒れるような育てられかたをしたって普通じゃないでしょ。」

その言葉に勇者と戦士の男も頷いた。そして、俺に説明を求めるように視線を向けてくる。俺は魔法でお茶を持ってきて、

「少し長くなるが、良いな?」

今までにあった事を説明した。

「なるほど。あの子が『始祖返り』だったとはね。なら、賢者が言った環境が要因と言うのも理解できる。人族だけでなく、この世界に住む人たちは異端を嫌うからな。」

勇者は俺が言ったことを理解したと示すためかもう一度口に出して言い、まっすぐに俺を見てきた。

「で、俺達に求める条件は何だ?」

勇者はニヤリと笑い、俺に聞いてくる。やはり俺はこいつが苦手だ。ただ明るく、道化のような勇者ではなく、頭がよく、人の思考を読むのに長けている。そのうえ、人を引きつけるカリスマ性も有る。人間として完成しすぎていて妬ましいほどに。

「話が早くて助かるが、お前達にはあいつに修行をつけてもらいたい。五大技術の内俺が得意とするのは『停滞』と『具現』だ。その他も出来るが、お前たちのほうが得意だろう?あいつを育ててくれれば、俺はお前たちの旅に同行してやる。研究も一段落したしな。」

勇者たちは一瞬顔を見合わせてすぐに頷いた。

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