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第7話 勇者達との邂逅

俺達は賢者がいる森をいつものように進んでいく。何度も行ったことがあるから、罠の癖も分かってきて、どんどん避けて進んで行くことが出来たのだが、家が見えてきたぐらいで少し速度を上げた瞬間、罠が発動し爆炎に包まれた。




お師匠様が罠を発動させた侵入者を確認しに行っている間、僕は動けないから部屋で修行をしていた。お師匠様を助けたいのに、僕が役立たずなせいで助けるどころか足手まといにやっている。才能なんてものがあるこの世界に腹が立つ。でもそれ以上に状態の僕に1番腹が立つ。憤りを感じながらも修行に没頭していく。




ナイダンを部屋に残し、家の近くまで来て罠を発動させたいつもの奴らの前に立つ。

「もう20回近くになるのだからそろそろ俺の罠の癖ぐらい覚えたらどうだ。『勇者』達。」

爆炎の罠にかかった筈の勇者達は服に少し汚れがあるが、傷はついていない。恐らくは『聖女』の加護と結界のお陰なのだろう。

「そっちこそもう20回近く来てるのだからそろそろ仲間になってくれてもいいんじゃないか、『賢者』?」

俺を認識した勇者達が俺に喋りかけながらこちらに歩いてくる。俺も勇者も敵対意識はなく、いつものように俺は家へ案内する。




お師匠様が出ていってすぐ、僕は不思議な感覚に襲われていた。自分の中の何かが反応して、体の奥から力が溢れてくる。それが何なのかは分からないし、興味もない。ただ、僕が感じたのは体から溢れる魔力とそれによる肉体の活性化。僕はベットから降り、動けるようになっているのを確認して、安堵する間もなく、お師匠様の元へ向かった。かなり久しぶりに体を動かすからか何度か倒れそうになったが、それでも一生懸命に玄関の方へ向かい、扉へ手を伸ばすと向こうから扉が開き、その向こうでお師匠様の驚いた顔が目に映った。

「お師匠様っ!大丈夫でしたか?」

僕の呼びかけに我に返ったのか、お師匠様は少し間隔があき、僕の頭を撫でてくれた。

「正直、こんなにはやく動けるようになるとは思わなかった。よくやったな。」

お師匠様がそう言いながら僕の頭を撫でてくれていると、お師匠様の後ろの方から知らない声が聞こえ、僕の体は凍ってしまった。

「おい、賢者。お前いつの間に子供が出来たんだ。それとも、誘拐でもしたのか?」

すると、僕とお師匠様の間に剣が入ってきて、僕は驚き尻餅をついてしまった。

「そんなわけないだろうが。こいつは森の中で倒れているのを保護して、俺の弟子にしたんだ。わかったなら剣をしまえ。」

「そうですよ勇者様。賢者さんは普段の行動から勘違いされていますが、子供を誘拐するような人ではありません。それに、そんな気軽に『聖剣』を抜かないで下さい。」

そう言いながら女の人は震える僕を慰めてくれた。それが僕と勇者様達の初めての出会いだった。

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