第6話 最初の修行
僕が目を覚まし、立ち上がろうとすると上手く力が入らず体を起こすことができなかった。
「あれ?上手く力が入らない?」
そう言って何度か体を起こそうとしても全然駄目だった。そして、僕の声が聞こえたのかお師匠様が部屋に入ってきて、手伝ってもらいようやく体を起こすことができた。僕が少し安堵しているとお師匠様が少し申し訳なさそうに口を開いた。
「すまんな。お前の魔力があまりにも多く、その量の魔力を扱えるだけの技術もないからお前が寝ている間に封印をしておいたんだが、まさか日常生活に支障が出るほど深く封印してしまうとは。この件に関しては、俺に非がある。申し訳ない。」
お師匠様がそう言って頭を下げてきて、僕はどうしたら分からず、おろおろしていると、お師匠様が顔を上げて、
「済まないが当分の間、お前にはこの部屋で生活と修行をしてもらう。」
お師匠様がそう言い、指を鳴らすと食事や本などが入ってきた。お師匠様はその物の群れの中にあった杖を僕に手渡した。
「お師匠様、これは?」
「それは魔力操作を練習するための杖だ。魔力がしっかりと伝わっていればその杖の先にある石が光るようになっている。まずはその石を10分間光らせられるようになれ。それが最初の修行だ。食事などの生活必需品は無くなれば持ってくる。頑張れよ。」
お師匠様はそう言い、僕の頭を撫でてから部屋を出ていった。僕はお師匠様のためになるようにすぐさま修行に移った。
俺はナイダンの部屋を出て安心しきってしまったのか、思わずへたり込みそうになってしまった。慌てて足を踏ん張り、ため息をついてしまった。
「さすがに無理があったか。『竜器』とナイダンの魔力の封印に周りの地形と家の修復。流石に骨が折れる。が、ナイダンが安心できるなら良いか。それに、そろそろあいつが来る頃だしな。罠を張るいい機会だったな。」
俺はもうそろそろ来る客人の為に家の周りに罠を張り巡らせていく。
お師匠様に修行を告げられてから数時間がたったが、僕は未だに光らせられずにいた。
「どうすれば光るんだろう?」
僕がいくら力を込めても光らずにずっと暗いままだった。そんな状態のまま夜まで続き、お師匠様が夜ご飯を持ってきてくれた。
「修行は上手く言ってないようだな。ナイダン。」
お師匠様が悔しそうな顔をしている僕の顔を見たのか修行について聞いてきた。
「はい。全然上手くできなくて。お師匠様、何かコツのような物はありますか?」
僕は少し悔しかったけど、出来ないよりはマシだと思ってお師匠様に聞いてみると、
「すまんが、俺はあまり教えるのに向いてないようでな、そのレベルの技術はすぐに出来ていたから、教えることが出来ないんだ。」
お師匠様は申し訳なさそうにそう言い、僕は肩を落とした。そんな僕を見てお師匠様はニヤリとしながら、
「問題ない。そろそろあいつが来る頃だからな。」
お師匠様はそう言って外の方に視線を向け、僕も釣られて外の方を向くと、
「ドォォォーーン!!!」
と、家の近くから爆発音がした。