圧倒
僕はリファの手を取り、すぐさま後ろに立たせ飛んできた魔法による攻撃を能力により強制的に破壊。その方向を見ると、エルフ、ドライアドの『使徒』が2人並んで立っていた。ただし、僕が氷で封じ込めた時とは違い、服装が変わっていた。エルフの『使徒』は白を基調とした際礼着のような服であり、ところどころに緑や青などの色が混じっている。ドライアドの『使徒』も同ような際礼着を着ていたがこちらは緑を基調としていて、少しだけ青が入っているのみである。『使徒』2人は勇者、聖女、お師匠様、そして僕とリファを忌々しそうに睨見つけながら虚空から取り出した杖を振り、新たな禁術を構成していた。
「させる訳がないだろうっ!」
お師匠様がすぐさま魔法を放ち禁呪の魔法陣に直撃。その隙に勇者さんが突撃するが、杖に弾かれ後退する。
「無駄だ。幾ら『聖剣』だろうが我々には届かんよ。『魔王』に対抗するために残してやろうと思っておったが、邪魔をするのであれば致し方なし。消すとしよう。」
エルフの『使徒』がそう言った瞬間禁術が輝きを放ち、その魔力の矛先がリファへと向く。勇者さんとお師匠様が再度『使徒』達へと剣を振り、魔法を放つも禁術が放つ魔力に防がれ後退する。
「無駄だ!お前達はあとで殺してやる。その前にまずは我が主を復活させるっ!」
『使徒』2人が更に禁術へ魔力を注ぎ込み、僕の隣にいたリファが急にしゃがみ込み両肩を震わせている。
「や、やめて…。こないでっ!わ、私が、私は?な…に…?エルフで?…精霊王で?」
リファはもう限界のようだった。恐らくは禁術により強制的に『始祖』の記憶と力を植え込まれているのだろう。禁術が発動してしまった以上壊すことは出来ない。そうすればリファも壊れてしまうからだ。僕はそこまで考えた上で、本能的に動いてしまった。
「こい。『世界』。」
その瞬間僕の魔力がごっそりとなくなり代わりに一振りの長剣が僕の手に握られていた。それは、見るものを魅了する美しい輝きを放ちながらも畏怖を抱かせる存在感を放っていた。『世界』を認識した瞬間『使徒』2人は固まり、勇者さん達は即座にその場を離れた。ただ変わっていないのは隣に蹲るリファだけである。僕は能力によりリファの精神へと直接干渉し、意識を一つ向かわせ『使徒』達へと向き、ただ剣を振る。それだけで魔力波が放たれ、硬直していた『使徒』2人を切り裂き、その先にあった禁術の魔法陣をも切断した。『世界』の能力により死なせず、また、再生も出来ないようにする。ただの一振りだけだった。それだけで僕は戦闘に勝利した。




