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第15話 問答

正直俺はこの後、どうするか迷っていた。もしナイダンが暴走していれば鎮圧出来るかも怪しいし、正気を保っているのなら何とかして救出しなければならなかった。だが、あり得ない事が起きた。六日目の修行では本気を出すだろうと思っていたから、かなりの強度で作った筈の空間が一瞬にして崩れたのだ。それも、ナイダンの手によって。俺は恐らく動揺を隠す事が出来ないほどに驚いていただろう。




僕が能力で空間を破壊し、戻ると全員が驚いた顔をしていた。

(まあそうか。何せついさっきまでほとんど何の力もなかったからね。)

僕はそんな事を思いながらもお師匠様の空間を壊せる程に強くなった事に歓喜し、お師匠様へと駆けて行こうとすると頭が割れそうなぐらい痛くなり、僕はその場に膝から崩れ落ちてしまった。そんな僕を見てようやく我に返ったのか聖女さんが慌てて僕に回復の能力をかけてくれ、フラノスさんとアナさんが慌てているが、勇者さんとお師匠様は何処か冷静で、恐らくは僕が倒れている原因を分かっているのだろう。そう思うと僕は安心してしまい意識を手放すことになった。




ナイダンが倒れ、慌ててフラノスが担ぎ部屋まで送り、聖女とアナがそれに付いていきその場に残ったのは俺と勇者だけになった。

「聞きたいことがある。」

勇者は簡潔にそれだけを言い、歩いて行き、俺はその後ろを追いかけていく。………家を出て勇者が聖剣に手をかけながら聞いてくる。

「幾つかあるが、まず一つ。あいつの『始祖返り』の力が完全に解放されたが、お前はお前本来の『使徒』の責務をどうするきだ?」

俺の本当の責務。『使徒』として、『始祖』様達を補佐し、それぞれの種族の存続を手助けするという責務。正直痛いところを突かれたと思った。俺が『使徒』である限り、この責務は永遠に続く。それこそ死なない限り。

「どうもしないさ。あいつは『始祖返り』であっても『始祖』様達ではない。俺が仕えるべきは『始祖』様達だけだ。」

俺がそう言うと、勇者は少しだけ緊張を緩ませて次の質問を口にする。

「二つ目。お前はあの能力と『竜器』をどうするつもりだ?あれは下手すれば人類を滅ぼしかねん代物だ。」

その質問も来ると思っていた。何せ俺でも驚いているのだから。一度はナイダンの魔力と同時に封印した筈の『竜器』が、能力が解放されるのに伴って解放されている。正直、どうしようもない。だから俺の答えは変わらない。

「それに関してもどうもしない。というかどうしようもない。あいつの能力が完全に解放されたのなら俺が関与すべき物は何もない。」

俺が毅然としてそう言うと、勇者は呆れたように頭を振り、聖剣から手を離した。

「俺からしてもあいつを殺すのは単純に嫌だ。……だから、お前がちゃんと制御の方法を教えておけ。師匠なんだからな。」

勇者がそう言いながら扉を開け、中へ入ると俺はどっと疲れたような感じがして、思わずため息をついてしまった。

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