第12話 守られるべき存在
基礎技術を習得し、第一の修行が終わり、次の修行が始まることになった。でも、僕には幾つか疑問があった。だから次の修行、具現の担当のお師匠様に聞くことにした。
「あの、お師匠様。少し疑問なのですが。」
「ん?どうした?」
僕が聞きに行くとお師匠様は僕から進んで質問をしたからか少し嬉しそうにしながら聞いてきた。
「なんで勇者さんは僕の修行に手を貸してくれるんですか?それに、勇者さん達も忙しいはずですよね?こんな所で修行をつけてもらっても良いんですか?」
僕がそう聞くとお師匠様は呆気に取られていた。恐らくは修行の内容についての質問だと思っていたから想定外の質問をされたからだろう。
「まさかそんな事を聞かれるとはね。少し驚いたよ。」
(どうやって言おうか。『始祖返り』と『竜器』の監視が目的なんて言えないからな。)
お師匠様は少し考えてから、
「まず、一つ目の質問だが、勇者の目的は俺だ。」
僕はそのお師匠様の言葉に驚きながらも腑に落ちた。だって勇者とその仲間なんて高貴な人達がこんな森の奥深くに潜る理由なんてほとんどない。それこそ、味方になり得る人知を越えた存在がいない限り。
「お前が考えている通り勇者の目的は俺を仲間にすることだ。だから俺はそれを利用し、お前の修行をつけさせるようにした。」
「でも、お師匠様。勇者さんの仲間になるってことは旅に出るんですよ。危ないし、研究も出来ないし。」
僕がそう言うと、お師匠様は僕の頭を撫でて言った。
「もともと何回も勧誘に来ていたんだ。俺はその誠意に応えただけだ。それに俺はお前に強くなって欲しいんじゃない。この世界で生きれるようになって欲しい。だから勇者達に頼んだんだ。」
その答えで僕は悟った。お師匠様にとって僕はこの先もずっと守るべき存在だ。守らなければならない程弱い存在何だと。僕は何も言えなくなっていた。だって僕はお師匠様のお荷物だって気がついたから。お師匠様はそんな僕をみたからか慌てて二つ目の質問に答えてくれた。
「続いて二つ目の質問だが、此処は俺の魔法で作った時間の流れが特殊な空間だ。此処では一日が一ヶ月になる。だからあいつらも一週間という期限付きで受けてくれたんだ。」
お師匠様はそう言い、僕の頭を撫でていた手を離し、改めて
「これからお前には現実での時間で一日一つの技術を身に着けてもらう。できるな?」
僕はまだ気を落としたままだったがお師匠様にそう聞かれて、気を切り替えて
「はい!」
と、威勢良く返事をした。その後の修行はかなりきつく、僕は修行が終わるなり倒れるように眠ってしまった。
ナイダンが寝てから、勇者達を呼び、これからの修行についての作戦会議をすることにした。
「これからの五日間順番に教えてもらうことになる。停滞は四日目。『竜器』は五日目にしたい。」
と、俺が言うとアナから順番に
「なら、私が一日目に行くわ。」
「では次の二日目は俺が貰おう。」
「それでは私が三日目ですね。」
とスムーズに決まり、作戦会議を終わらせようとすると、勇者が口を挟んできた。
「旅が始まる前に聞いていたいことがある。賢者、いや、『使徒』。答えてくれるよな?」
勇者がそう言った瞬間他の面々の空気が引き締まり、答えなければ殺されるのではないかといった空気になった。
「そうだな。答えられることに限度はある。がある程度なら大丈夫だ。」
そのまま俺は勇者達が知っている事の擦り合わせをすることになった。




