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第10話 トラウマの克服

目を覚ますと、隣の椅子にお師匠様が座っていた。僕が少し安心していると、お師匠様の横には勇者と呼ばれていた人がいた。その人を認識した瞬間僕の体は動かなくなった。

「おい賢者弟子がもう起きてるぞ。」

勇者さんがそう言うと、お師匠様がこちらの方を見て、頭を撫ででくれた。そのおかげで僕の体は少し動くようになったがそれでも僕の心から恐怖が消えることがない。

「随分と嫌われているようだな。勇者。」

僕の心を見透かしたようにお師匠様が勇者さんにそう言うと、勇者さんは呆れたように扉の方へ歩き始めて、

「そいつのトラウマがある限り俺達は教えることが出来ない。離れておくから早めに緩和させてくれ。俺達も早く旅に出たいからな。」

そう言って、部屋から出ていくと僕の心から恐怖は消え、安堵のため息が出た。そんな僕を見てお師匠様が少し笑っていた。

「そんなに怖いのか?勇者のことが。」

「はい。いい人なんだろうと思っても、何故だが体が動かないんです。お師匠様は大丈夫なのに。」

僕が疑問に思っていると、お師匠様が少し苦笑しながら、

「そのことなんだが、実はお前に魔法を既にかけていてな。その効果が、術者を好意的に見てしまう、という効果でな。恐らくその効果だろう。」

お師匠様が申し訳なさそうにそう言うと、僕は即座にお師匠様の手を取り、

「その魔法であの人達に恐怖を抱かないようにして下さい!」

僕がそう言うと、お師匠様は何か言われるとは思っていたのだろうけど、それがまさかの魔法をかけてくれだとは思いもしなかったのだろう。呆気に取られていた。

「本当に良いのか?お前自身の感情が無くなるのだぞ?」

お師匠様にそう問われても、僕の答えは変わらなかった。

「全然大丈夫です!僕はあの人達にも負けないぐらい強くなってお師匠様の役に立ちたいんです!」

僕がそう言うとお師匠様は嬉しそうな笑顔をしていてその顔を見た僕も笑顔になった。

「分かった。もともとあいつらにお前の修行を手伝ってもらうつもりだったからな。」

お師匠様はそう言いながら空中に魔法陣を描いていき、その魔法陣が僕の方へと向いた。

「最後に聞くが、本当に良いんだな。」

「はい!お願いします。」

僕がそう言うと、お師匠様は満足そうに頷いて魔法陣が発光し、次の瞬間には魔法陣が消えていた。お師匠様は僕の手を取って、扉の方へと歩き始めた。

「魔法はしっかり発動した。お前が自分自身でその効果を確かめてみろ。」

お師匠様が扉を開き、リビングの方へと向き、僕の背中を押した。僕は未だに怖かった。体は震えて、足が竦んでしまう。でも、お師匠様がかけてくれた魔法を信じて一歩一歩踏み出していく。そして、勇者さん達四人の前に立ち、しっかり深呼吸し、

「僕の名前はナイダンです。強くなるためにどうか、修行をつけて下さい!」

と、勇気を出し僕が言うと、勇者さんはしっかりと頷き、僕は安堵して腰が抜けてしまいそうになった。

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